オリンピック組織委員会の例で見る、意思決定のプロセスの透明性について

ビジネスマインド・ビジネス一般

こんにちは。司法書士の甲斐です。

すったもんだが色々とありましたが、東京オリンピックの開催がいよいよ間近に迫ってきています。

コロナ禍の影響があり、様々議論があった東京オリンピックですが、一時期は会長の選定について非常にゴタゴタしていましたね。

元々は森喜朗氏の女性軽視的な発言から端を発した一連の事件で、森氏が後任として指名した川淵三郎氏が会長職を就任する事について辞退する展開になりました。

結局、橋本聖子氏が会長に就任したのですが、森氏の女性軽視と取れる発言は当然問題ですが、その後の会長職の選定をめぐる動きにも問題が隠れています。

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は法人であり、株式会社の組織運営についても、非常に似通った問題がでてきます。

良い機会ですので、今回はオリンピック組織委員会の例を挙げて、企業のガバナンス的なお話しをしたいと思います。

1.組織委員会の会長選定のプロセスの何が問題だったのか?

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(長いので以下、「組織委員会」とします。)は財団法人です。

 財団法人とは簡単に言えば、一定の目的のもとに拠出された「財産」の集まりに法人格が与えられた団体の事です。

そして「公益」財団法人とは、行政庁から公益認定を受けた財団法人の事を言います。

財団法人の会長(代表理事)は、理事会が設置されていれば、理事会で決める必要があります。なお、組織委員会の定款にもその旨がしっかりと記載されています。

(第24条2項です。)

https://gtimg.tokyo2020.org/image/upload/production/dnibzgn6uy1agqu6oynt.pdf

これが今回の会長の選定に関する最大の問題です。

森氏が自身の後任として(多分、理事会に相談する事なく)川渕氏を指名してしまったんですね。

株式会社で言えば、取締役会で何も相談する事なく代表取締役が勝手に後継者を決めてしまった感じです。

ただ、実際は代表理事が辞任する場合、後任に関しては内々で決めていて、後は理事会で承認、と言う流れのはずです。

(でなければ組織運営が止まってしまいますので)

しかし、組織委員会は公益財団法人です。公益財団法人は税制優遇措置や公金の支出があるため、株式会社よりも運営の透明性を確保することが大切です。

だからこそ、会長選定のプロセスの不透明さが問題視されているんですね。

(騒ぎを起こした張本人が後継者を指名するのはかしい!と言う議論も出ています。たしかに、そりゃそうだと言う感じですね。)

森氏はもしかしたら、

「組織委員会は自分の物。後継者を指名するのは当然自分である!」と

思っていたのかも知れませんね・・・。

2.株式会社だって同様の問題が発生する可能性がある

今回のお話は公益財団法人の事でしたが、株式会社であっても組織運営の透明さは必要になってくるでしょう。

特に数人の仲間と会社を立ち上げた場合、取締役の決議(取締役会)や株主総会等で、会社における様々な意思決定を行う必要があります。

その意思決定のプロセスで何らかの不透明さがあれば、お互いの信頼関係が損なわれ、最悪の結果として決議無効の争いが行われるかも知れません。

「気の知れた仲間であれば、そんな事は関係ない!」と言う意見もありますが、気の知れた仲間であるからこそ、意思決定におけるプロセスの透明さは会社の為、お互いの為に重要になってくるでしょう。

なお、例え一人会社であっても、会社は自分とは違う「別人」ですし、顧客等の利害関係人は沢山います。

大切な顧客の為にも、会社運営についてどのような意思決定を行ったのか?と言う点は一人会社であっても重要になってきます。

だからこそ株主総会の開催のプロセスや株主総会議事録と言った記録を残すのは当然なのです。

公益財団法人ほどでないにしても、組織運営の透明性は常に意識した方が良いでしょう。

3.まとめ

仲間内や一人で会社を経営していると、その意思決定についてつい「なあなあ」になりがちですが、好き勝手なことをやってしまうと仲間からは勿論、顧客や金融機関等からの信頼関係が破壊される可能性があります。

起業する人の大多数が「好きな事をして起業する」事を夢いていると思いますが、好きな事をする=好き勝手に生きて良い、と言うわけではありません。

会社を作って起業するのであれば、その最低限のルールがあります。そのルールを大切にして、社会に認められる会社を作っていきましょう。