コンサルティング契約書の作成ポイントを司法書士が解説!(ひな型あり)

契約書

こんにちは。司法書士の甲斐です。

「契約書をバカにする者は、契約書に泣くことになる。」

本業、副業を問わず、コンサルティング業務を行っているコンサルタントの方が増えてきていますね。

ひと昔前はコンサルタントと言えば「経営コンサルタント」だったのですが、今は

  • Webコンサルタント
  • SNSコンサルタント
  • 集客コンサルタント
  • 組織コンサルタント
  • 恋愛コンサルタント

等々、様々なコンサルタントが存在します(胡散臭いコンサルも存在しますが・・・)。

で、コンサルティングは長期間に渡る業務である為、クライアントとコンサルタントは契約書を交わすのが当たり前です。

契約書、交わしていますよね?コンサルティングで契約を交わさないのはハッキリ言って、ど素人、致命的ですよ!

ただ、コンサルティングは非常にオリジナル性が高い業務の為、契約書のひな型を探しても中々「しっくりとくる物」を見つけだすのは難しいのではないでしょうか?

そこで今回は、コンサルティング契約書の基本的な考え方やポイント、ひな型等をご紹介したいと思います。

1.そもそも「コンサルティング契約」とは?

そもそも「コンサルティング契約」とは、法律上どのような性質のモノなのでしょうか?

ここをしっかりと理解していないと、契約書を作ったは良いけど、法律上全く無意味な物(裁判で使えない物)が出来上がる危険性がありますので要注意です。

「コンサルティング」と言う言葉は世間一般的に知れ渡っている言葉(契約類型)ですが、実は法律上「コンサルティング」と言う言葉は存在しません。

近い言葉で言えば民法の「(準)委任」ですが、現実のコンサルティング契約は民法が規定している(準)委任よりも複雑になっています。

(委任)
第六百四十三条 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

(準委任)
第六百五十六条 この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。

実務上、コンサルティングとは

「コンサルティングの対象なる事項について、クライアントの現状を調査・問題点を把握し、その原因を分析して改善策を提案する事」

と言えるでしょう。その為、契約書にもこの内容を正確に盛り込む必要があります。

2.なぜ、コンサルティング「契約書」が必要なのか?

これ、たまに勘違いをされている人がいるのですが、コンサルティング契約は口頭の合意でも成立します。また、メールのやりとりであっても、合意があれば同様に契約は成立します。

それではなぜ、コンサルティング「契約書」を作成する必要があるのでしょうか?

大きな理由は、「法的トラブルになった場合の証拠として残す為」です。

法的なトラブルになった場合、当事者の主張のどちらが正しいのかを決めるのは、最終的に裁判所になります。

で、その時に必要になってくるのが契約書を始めとした「証拠」なんです。

裁判所は当事者にどのような約束事があったのか直接見ていないので分かりません。その為、裁判所が事実関係を判断する為に契約書等の証拠が必要になってくるのです。

もう一つの理由が、「民法等とは異なるルールを合意した事を記録に残す為」です。

どのような契約もそうですが、当事者が決めなかった事については、基本的に民法等のルール(一般的な契約や準委任といった個別のルール)に従う事になります。

しかし、民法等の一般的なルールでは当事者がビジネスを行う上で不都合な状況になる事があります。

その場合、民法とは異なるルールにしたり、民法以上に細かいルールにする事があるのですが、その「当事者で決めたルール」を書面等の記録として残して置くと、後で振り返って確認する事が容易ですし、民法の一般ルールとは異なる部分が分かりやすくなります。

このような視点から見ても、契約書を作成する必要があるのです。

そして、私が考えた、契約書を作成すべき本質的な理由は「クライアントに対する誠意の証の為」です。

後ほど詳しくお話しますが、契約書を作成すると言うことは、あなた自身を守るだけではなく、あなたのクライアントを守る事にも繋がるのです。

3.コンサルティング契約書に記載すべき内容

① 当事者

当事者、つまり「誰と誰」が契約当事者なのかが不明確であれば、そもそも法的効果が発生しない可能性があります。

法人、個人問わず、必ず住所(本店所在地)、氏名(会社名)等で当事者を特定しましょう。

個人事業主は「屋号」だけでは当事者の特定に問題が生じる事があります。必ず、「屋号+個人の本名」で契約するようにしましょう。

② コンサルティングの内容

コンサルティング契約において、最重要な部分がこの、「コンサルティングの内容」です。

当事者がどのような事を行うのか、その範囲を明確にしていなければ、確実にトラブルになります。

例えば、業務内容として「コンサルティング業務」としか明記していない場合、

「〇〇もやってくれるって言いましたよね?」
「いえいえ、そのような事は契約の内容に入っていません!」

なんて事にもなりかねませんので、必ずコンサルティングの内容と頻度等を具体的に定めましょう。

こんな感じです。

(委託業務の内容)
第〇条 本契約において、乙が甲に対して提供する業務(以下、「本業務」という)は次の通りとする。

⑴ 甲の〇〇事業に関するWebサイト、ブログ等を利用した集客に関する助言
⑵ 甲の〇〇事業に関するSNSを利用した運用に関する助言
⑶ 甲の〇〇事業に関する集客を目的とする上記Webサイト等のアクセス解析
⑷ 甲の〇〇事業に関するブログ記事の作成代行、SNSの運用代行
⑸ その他上記に関連する一切の相談についての助言

(委託業務の遂行方法)
第〇条 乙は少なくとも週1回以上、甲への訪問、電話、zoom等の方法により、本業務の進捗・方針に関するミーティングを行う。

➂ 報酬金額、支払時期

(準)委任契約は原則として無報酬なので、報酬金額及びその支払い時期は必ず契約書に明記する必要があります。

一括払いなのか分割払いなのか等、細かい部分まで決めます。

(報酬と報酬の支払時期)
第〇条 甲が乙に支払う本業務に関する報酬は、月額●●万円(税別)とする。乙は、当月分の報酬を甲に請求し、甲は、請求対象月の翌月末日までに、乙の指定する金融機関口座に支払うものとする。
2 報酬の支払に必要な振込手数料は、甲の負担とする。

④ コンサルティング期間(契約期間)

コンサルティングは継続的に行われるのが一般的で、その場合は期間を必ず定めるようにしましょう。

また、期間が経過した場合、自動的に契約が終了するのか?それとも継続するのか?と言った点も明確にしましょう。

(契約期間)
第〇条 本契約の有効期限は本契約締結日より1年間とする。但し、契約期間満了の1か月前までに甲乙双方特段の申し出がなければ、自動的に1年間延長されるものとし、以降も同様とする。

その他、契約の解除に関する事、秘密保持に関する事、反社排除条項等が必要になってきます。

4.印紙について

「契約書には印紙を貼る」と言う事を知識として知っている方もいらっしゃると思いますが、それではコンサルティング契約書にはいくらの金額の印紙を貼れば良いのでしょうか?

実は、ほとんどのコンサルティング契約書では印紙の必要はありません。

印紙については「印紙税法」と言う法律で決められているのですが、コンサルティング契約については印紙税法で定められた契約書に該当しない為、印紙を貼る必要がないのです。

ただし、例外があります。それはコンサルティング契約が「請負に関する契約書」に該当する場合です。

請負とは、何らかの仕事を完成させる事を目的とした契約で、例えばコンサルティングの結果、最終的に何らかのレポートを作成する場合、請負に関する契約書に該当します。

詳しくは下記、国税庁のHPに載っていますので、お手すきのときにでも確認してみて下さい。

No.7102 請負に関する契約書|国税庁

5.コンサルティング契約書ひな型

それでは、コンサルティング契約書のひな型をご紹介します。

※ご使用時は個別具体的な事情を考慮し、必ず修正・変更を行い、自己責任のもと使用するようにして下さい。

委託者、株式会社A(以下「甲」という。)と受託者、山田太郎(以下「乙」という。)は、以下のとおりコンサルティング業務契約(以下「本契約」という。)を締結する。

(契約の目的)
第1条 本契約は、甲が行っている〇〇事業に関する乙のコンサルティング業務について、その基本的な条件を定めることを目的とし、もって乙が甲の事業に貢献することを目的とする。

(委託業務の内容)
第2条 本契約において、乙が甲に対して提供する業務(以下、「本業務」という)は次の通りとする。

⑴ 甲の〇〇事業に関するWebサイト、ブログ等を利用した集客に関する助言
⑵ 甲の〇〇事業に関するSNSを利用した運用に関する助言
⑶ 甲の〇〇事業に関する集客を目的とする上記Webサイト等のアクセス解析
⑷ 甲の〇〇事業に関するブログ記事の作成代行、SNSの運用代行
⑸ その他上記に関連する一切の相談についての助言

(委託業務の遂行方法)
第3条 乙は少なくとも週1回以上、甲への訪問、電話、zoom等の方法により、本業務の進捗・方針に関するミーティングを行う。

(再委託)
第4条 乙は本業務の一部を第三者に委任し、又は請け負わせようとするときは、あらか  じめ甲の承諾を得なければならない。
2 乙は、再委託を行った場合には、直ちに再委託先の名称及び再委託した本業務の内容を書面にて甲に通知するものとする。

(契約期間)
第5条 本契約の有効期限は本契約締結日より1年間とする。但し、契約期間満了の1か月前までに甲乙双方特段の申し出がなければ、自動的に1年間延長されるものとし、以降も同様とする。

(報酬と報酬の支払時期)
第6条 甲が乙に支払う本業務に関する報酬は、月額●●万円(税別)とする。乙は、当月分の報酬を甲に請求し、甲は、請求対象月の翌月末日までに、乙の指定する金融機関口座に支払うものとする。
2 報酬の支払に必要な振込手数料は、甲の負担とする。

(秘密保持)
第7条 本契約において、「機密情報」とは、甲および乙が本契約に関連して知りえた相手方の技術上・経営上の一切の秘密、及び甲乙間の取引内容に関する情報をいう。ただし、以下のものはこの限りでない。
⑴ 相手方から知得する以前にすでに所有していたもの
⑵ 相手方から知得する以前にすでに公知のもの
⑶ 相手方から知得した後に、自己の責によらない事由により公知とされたもの
⑷ 正当な権限を有する第三者から秘密保持の義務をともなわずに知得したもの
2 本契約において「個人情報」とは、個人情報の保護に関する法律第2条1項に定める情報をいう。
3 甲及び乙は相手方より受領した機密情報及び個人情報を厳に秘密として保持し、善良なる管理者の注意をもって管理・保管するものとする。
4 甲及び乙は、本件取引の遂行以外のいかなる目的のためにも機密情報及び個人情報を利用してはならない。
5 甲及び乙は、本件取引の遂行のために第三者に機密情報又は個人情報の全部又は一部を開示する場合には、事前に書面による相手方の許可を得なければならない。また、開示の範囲は必要最小限の範囲とし、かつ、当該第三者に対し監督その他必要な措置を講ずるものとする。
6 甲及び乙が、法令、官公庁又は裁判所の処分・命令等により機密情報又は個人情報の開示要求を受けた場合、当該開示要求に対し、必要最小限の範囲及び目的に限り、機密情報又は個人情報を開示することができるものとする。この場合、できる限り早い時期に相手方に対して当該開示について通知するものとする。

(契約の解除)
第8条 甲または乙は、一方当事者が次の各号の1つに該当したときは、催告なしに直ちに本契約の全部または一部を解除することができる。
⑴ 本契約に違反し、相当の期間を定めて相手方に対して、その是正を求めたにも関わらず、相手方がその違反を是正しないとき
⑵ 相手方の信用、名誉または相互の信頼関係を傷つける行為をしたとき
⑶ 破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始、その他倒産手続開始の申立があったとき
⑷ 差押え、仮差押え、仮処分、競売の申立、租税滞納処分その他これに準ずる手続があったとき
⑸ 支払停止もしくは支払不能に陥ったとき、または、手形または小切手が不渡りとなり、手形交換所より銀行取引停止処分を受けたとき
⑹ 合併、解散、清算、事業の全部もしくはその他重要な事業の一部を第三者へ譲渡し、またはしようとしたとき
⑺ 監督官庁より営業許可の取消し又は営業停止処分を受けたとき
⑻ その他前各号に類する事情が存するとき
2 前項に基づく解除は、相手方に対する損害賠償請求を妨げない。
3 甲が第1項の各号に該当し、本契約が解除された場合、乙が受領済みの費用・報酬は返却しないものとし、既に完了している業務に関しては、乙は報酬の請求をすることができる。

(反社会的勢力の排除)
第9条 甲および乙は、それぞれ相手方に対し、次の事項を確約する。
⑴ 自らが、暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係者、総会屋その他の反社会的勢力(以下、総称して「反社会的勢力等」という)ではないこと
⑵ 自らの役員が反社会的勢力等ではないこと
⑶ 反社会的勢力等に自己の名義を利用させ、この契約を締結するものでないこと
⑷ 反社会的勢力等に対して資金等を提供し、又は便宜を供与するなどの関与をしていないこと
⑸ 反社会的勢力等と社会的に非難されるべき関係を有しないこと
⑹ この契約に関して、自らまたは第三者を利用して、次の行為をしないこと
ア 相手方に対する脅迫的な言動又は暴力を用いる行為
イ 偽計又は威力を用いて相手方の業務を妨害し、又は信用を毀損する行為
2 甲および乙は、相手方が次の各号の1つに該当する場合、何らの催告を要さずに、本契約を解除することができる。
⑴ 前項⑴ないし⑸の確約に反することが判明した場合
⑵ 前項⑹の確約に反する行為をした場合
3 前項の規定により、本契約を解除した場合には、相手方に損害が生じても解除者は何らこれを賠償ないし補償することは要せず、また、かかる解除により解除者に損害が生じたときは、相手方はその損害を賠償するものとする。

(協議)
第10条 本契約に定めのない事項又はこれらの解釈に関する疑義については、甲乙双方が誠意をもって協議して解決するものとする。

(合意管轄)
第11条 甲および乙は、本契約に関して紛争が生じた場合には、乙の本店所在地を管轄する簡易裁判所又は地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることに合意する。

以上、本契約の成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙各記名押印のうえ、各1通を保有する。

令和〇年〇月〇日

甲:委託者

(本 店):東京都〇〇〇〇〇
(商 号):株式会社A
(代表者):代表取締役 鈴木 一郎 

乙:受託者

(住 所):横浜市〇〇〇〇〇
(氏 名):山田 太郎 
(屋号:コンサルティングスタジオB)

6.まとめ -契約書はクライアントに対する誠意の証-

コンサルティング契約書のポイントは、実際に行うコンサルティング業務の内容です。

この部分が不明確であれば、コンサルタントが債務不履行責任を問われる可能性が高くなります。

「何をどのようにどれくらいの頻度で行うのか?」

この点は契約書のひな型でも出てこない部分ですので、当事者が頭を使って考える必要があります。

また、契約書は法的トラブルに発展した場合にあなたを守ってくれるものですが、同時にクライアントへの誠意の証でもあります。

合意した内容について契約書と言う形にする事で、クライアントに対して忠実にその職務を全うする事を誓約するものであり、契約書はその誠意の証なのです。

クライアントの事を大切にするのであれば、契約書を作成しないと言う結論はあり得ません。

とは言え、契約書の作成は慣れていなければ時間も手間もかかってしまいます。もし「ちょっと難しいな・・・」と思われたら、お気軽にご相談ください(zoom等で全国対応可能です)。

私自身、コンサルティング業務を行っておりますので、契約書に記載すべき業務範囲等、実務上で問題なく使える内容のご提案をさせて頂きます。

契約書のチェック(リーガルチェック)
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この記事の執筆者(文責)
司法書士 甲斐智也

起業支援と商品・サービスのコンサル化のお手伝いもする司法書士|マーケティング思考でコンセプトをしっかりと考えた会社設立します|2級FP技能士|たまに心理カウンセラー|某球団マスコットの中の人の経験あり

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