「そんな事言ってはいない!」は通用しない?法的視点の炎上マーケティング

マーケティング・集客

こんちには。司法書士の甲斐です。

随分前ですが、とある旅館に泊まった人のツイートが炎上しました。

経緯をザックリとまとめると、こんな感じです。

・万座亭(と思われる)と言う旅館に泊まった人が「食事が多くて食べきれない。廃棄前提」趣旨の内容をツイート。これが少し炎上してしまう。
・田端信太郎氏が「田端大学で請け負った万座温泉の炎上マーケティングだよ」とツイート。元ツイの人も田端大学の関係者である事が判明し、大炎上。
・旅館側がWebサイトでそのような事実はないと否定。
・田端氏は「万座亭さんから依頼を受けたなんて、誰も言ってないのにw」と言う趣旨のツイートを行う。

まぁ、最初のツイートは「メシが多い!」と文句を言っただけで法的に責任があると言うのは考えにくのですが、問題は田端氏の一連のツイートが、旅館に対して何らかの法的責任を負わないか?と言う点です。

旅館側から見れば、田端氏にステルスマーケティングを依頼したと誤解されかねない内容ですからね。

実は名誉棄損系の裁判では、今回の炎上マーケティングのように「そんな事を言っていない。勝手に他の人がそう解釈しただけ」とい言う主張が訴えられた側からなされる事があります。

では、そのような主張は本当に通用するのでしょうか?その答えはズバリ、「法律はそんなに甘くはない」です。

1.そもそも名誉棄損や業務妨害に該当するのか?

今回のケースは名誉毀損か業務妨害に該当する可能性を巡って、一部の弁護士が議論を行っていました。

名誉毀損は、旅館側が(本当は違いますが)ステマを田端大学に依頼して、その結果社会的評価が下がったと言えるか、(もしくは、その危険性を生じさせたか)です。

ステマは一般的にはあまり良い評価でありません。その為、(ウソであっても)それをしているとされた旅館側は、社会的評価の低下を招くおそれがあります。

業務妨害に関しては、「あの旅館はステマをしている!けしからん!!」と思った人が一斉に旅館に電話したり、旅館側に嫌がらせをした事により、旅館側が本来行う必要がない事を行った場合、成立する余地はあるでしょう。

その他、細かい論点は色々あるのですが、今回一番言いたいのは、そこではなく、田端氏の

「旅館からは依頼を受けたとは言っていない。だからセーフ。」

と言う主張が、実は成り立つのは難しいと言う事です。

2.文言だけではなく、その意味について総合的に判断する

実際のツイートをもう一度見てみましょう。

「田端大学で請け負った万座温泉の炎上マーケティングだよ」

「万座亭さんから依頼を受けたなんて、誰も言っていないのにw」

はい、確かに「万座温泉」とツイートしているので、旅館名は一言もいっていません。

じゃあセーフかと言えば、法律の世界はそんなに甘くはないんですね。

これ、判例上は田端氏の主観は一切関係なく、田端氏のツイートの前後を見た時に、一般人から見て「万座温泉」=「万座亭」と認識する事が出来れば、「旅館名」を言っていなくても「アウト」になります。

文言そのものに着目するだけではなく、文章全体やその前後の文章等から総合的に考え、判断すると言う意味です。

なので、これは今回の炎上マーケだけの話ではなく、情報発信をしている人は全員気を付けるべきなんですね。

「いやいや、そんな事は言ってないでしょ?」

と自分では思っても、文脈や発言の前後について、一般の方の見方をすれば「言っている」事になる可能性があるんです。

特にTwitterって140文字しか使えませんし、敢えて言葉足らずにした方がバズるのですが、その分、余計なトラブルに巻き込まれる可能性も高いのです。

そんなときに「いやいや、そんな事は言っていないでしょ?」と思っても、あなたの主張が通用しない事があると言う事です。

3.まとめ

炎上マーケティングについては「フォロワーを獲得する為の手法としては有効。むしろ炎上しなければ発信に意味はない」と言った主張がなされるケースがありますが、それはもはや「マーケティング」ではありません。

SNSやブログで情報発信が簡単にできるようになりましたが、情報発信する前に「一般の方の見方をすればどうか?」をちょっと意識した方が良いかも知れませんね。

判例だって「一般人から見ればどうか?」と言う考え方を重要視していますので。

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熱き志を持つ起業家を法律とマーケティングで支援する司法書士。趣味はキックボクシングと朗読。

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