こんにちは。甲斐です。
「お前のアイディアは行き当たりばったりで、思いつきだ!」
あなたは会社の会議等で、こんな事を言われた事はありませんか?
また、一生懸命に仕事の事を考えているけれど、イマイチ考えがまとまらず、モヤモヤしている。
このようなお悩みがある場合、原因の一つとして「戦略的に考える」事が出来ていない事が挙げられます。
でも、言うは易く行うは難しで、そもそも「戦略的に考える」とは、一体どう言う事でしょうか?
今回はこの「戦略的に考える」事について、マーケティング視点で見て行きたいと思います。
この考え方が身に付けば、マーケターのように考える事ができ、フリーランスや副業(複業)で働く時の大きな武器となるでしょう。
1.どうしてビジネスは「戦略的」に考える必要があるのか?
理由は簡単ですね。「思い付き・行き当たりばったりでビジネスを走らせても成功する確率は低いから」です。
ちょっと私の昔話をします。
私はサラリーマン時代、主に営業を行っていたのですが、そこで常に言われていたのが、「結果が全て」と言う言葉です。
で、この「結果が全て」が口癖の営業マンは、確かに普通の人以上の結果を出していました。
でも、「結果が全て」が口癖の営業マンは、結果を出す事は出来ても、結果を出し続ける事は出来ていなかったんです。
また、結果を出した自身の営業ノウハウを社内全体のナレッジとする事が出来ないのです。
つまり、長期的に見れば会社(組織)の損失となるのです。
どうしてそのような事が起きるのか?
それは、「結果が全て」=「結果が出れば何でもOK」と言う思考に陥り、「どうやって結果を出すか」と言った戦略(プロセス)の部分をちゃんと考えていなかったんですね。
その結果、
- 元気だ。取り敢えず元気を出せば契約を取れる。
- とにかく量をこなせ。量さえこなせば何とかなる。
- 熱意だ。自分の熱意をひたすら伝えて自分のファンになってもらえ!
このように戦略とは言い難いフワフワした感じである為、結果が出なかった時の振り返りをやろうとしても、
「結果が出なかった」→「元気が足りなかったせいだ。もっと元気を出そう!」
と言った短絡的な思考に陥ってしまうのです。
これでは結果を出し続ける事も、組織のナレッジにする事も出来ません。
さらに偶然にも瞬間的に結果が出る場合がありますので、「オレのやっている事は間違っていない。」と言う、非常に危険なサイクルに陥ってしまうのです。
だからこそ、「戦略的に物事を考え、狙った結果を狙ったとおりに出す」これが重要になってくるのです。
では戦略的に物事を考えるとはどう言う事なのか?
それは「目的」→「目標」→「戦略」→「戦術」の順番に考え、それぞれの項目を具体的にする事です。
2.まずは「目的」「目標」「戦略」「戦術」を明確に
① 目的とは?
ビジネスにおける目的とは、達成したい事・達成すべき使命の事で、ビジネス上では最上位に位置する概念の事です。
例えば、
- 月収100万円を達成する。
- お金に振り回されない生活をする。
- 好きなお客さんとだけ仕事をする。
このような感じです。
② 目標とは?
ビジネスにおける目標は、目的を達成する為に、経営資源を投下すべき具体的な的の事を指します。
具体的に言えば、自社の製品やサービスの顧客は誰か?誰に対して売るのか(WHO)がこの「目標」に該当します。
③ 戦略とは?
ビジネスにおける戦略とは、目的を達成する為の経営資源配分の選択を行う事です。
【経営資源】
経営に必要な資源(リソース)の事です。
一般的には、カネ・ヒト・モノ・情報・時間・知的財産の事を指します。
具体的には目標となる顧客に対し「何を売るか?」(WHAT)を選択する事です。
④ 戦術とは?
ビジネスにおける戦術は、戦略を実行する為のより具体的なプランの事を指します。
具体的には、目標(WHO)に対して商品・サービス(WHAT)をどのように売るか(HOW)を考える事をです。
⑤ 小まとめ
このように「戦略的に考える」とは、
目的→目標→戦略→戦術
と言うように、「大きな概念から小さい・具体的な概念に向かって順番に考えていく」と言う事です。
- 目的:ケンカした彼女と仲直りしたい
- 目標:彼女
- 戦略:大好きなテーマパークで攻める
- 戦術:ディズニーランドでデートをする
このような感じです。
最初は難しいかも知れませんが、慣れてくると無意識でも出来るようになります。
次は「WHO」「WHAT」「HOW」について、より細かく触れていきたいと思います。
3.「WHO」ターゲットは誰か?(目標)
想定顧客、いわゆる「ペルソナ」を設定するフェーズです。
上記の戦略的に考える場合の「目標」になります。
集客やブランディングの事が書かれた本には「ペルソナは具体的に!」と良く書かれています。
その理由は、現代社会は情報が溢れかえっており、「特定の誰か」向けにとがった情報を発信しなければ、その情報が埋もれてしまうからです。
また、経営資源(リソース)は無限にありません。
その為、ターゲットを絞らずに無制限にリソースを投下すれば、その効果は非常に薄い物となってしまいます。
その為、ペルソナは具体的に!と言う話は現在のビジネスでは常識なのですが、ではどのように具体的にすれば良いのでしょうか?
その切り口として考えられるのが、「属性」と「嗜好」です。
① ペルソナの属性
年齢、性別、居住地、職業、趣味、家族構成等、パッと見て分かりやすい項目です。
例えば40代歳男性と20代女性では、生活様式から色々な事まで、全く異なります。
その為、属性で分ける事は「とがった情報発信」を行う上で重要な要素の一つになります。
② ペルソナの嗜好
価値観、性格、願望、課題、ライフスタイル等、人の内面に着目した要素です。
質実剛健で石橋を叩いても渡らない人と、見たくない事には目をつぶり、宵越しの銭は持たない破滅的な生活の人では、必要な商品やサービスは全く異なるでしょう。
その為、ペルソナの嗜好にも目を向ける必要があるのです。
③ インサイトも必要
具体的なペルソナを設定し、そのペルソナにあわせた商品開発や情報発信をすれば良いのですが、実はそれだけでは不十分なのです。
例えば、下記のようなペルソナを設定したとしましょう。
・40代男性。妻と子供(小学生低学年)がいる。
・仕事はオフィス機器の営業で管理職(課長)。
・昨今の不況から収入が少なくなってきたが、新型コロナの影響でますます収入が厳しくなり、副業を考えている。
・会社側も重い腰をあげ副業を推進しているが、実際に何をすれば良いかが分からず困っている状況。
・今まで他の会社に勤めたいた事はなく、基本的には保守的・安定志向である為、今さら副業と言われても正直戸惑っている。
このようなペルソナを設定し、あなたが「副業コンサル」として副業に関する様々な情報発信をするのは良いのですが、より結果を出す為にはもう一歩踏み込む必要があります。
それが「インサイト」の把握です。
インサイトとは、顧客がその商品を購入したり、サービスを利用した時の奥底にある、本人も意識していない本音、無意識の心理を指します。
インサイトは良く潜在的ニーズと同じと思われますが実際は違います。
例えば、「痩せたい」という表面に現れているニーズがあります。
なぜ痩せたいのかさらに掘り下げると、「モテたい」「おしゃれな服が着たい」等といった潜在的ニーズが見えてくるでしょう。
このように、潜在的ニーズは欲求があるのにそれに気付いていない状態を指すのに対し、インサイトはまだ欲求さえない状態を指しています。
インサイトをつくと顧客の認識が大きく変わったり、感情を大きく揺さぶる事が出来ます。
「ペルソナを設定する事」は現在有名になっており、ペルソナを設定している事業者は沢山いるのでペルソナを設定しただけでは、正直差別化が難しくなっています。
その為、競合他社より一歩も二歩を先に行く為には、このインサイトを掘り下げる事が必要不可欠となります。
例えば、上記のペルソナのインサイトを考えた場合、本人が望む副業に関する情報発信も重要なのですが、万が一会社が倒産等をした場合に備え、いつでも独立出来る能力を身に付ける事も重要になってくるでしょう。
4.「WHAT」何を顧客に売るか=顧客に与える価値は何か?(戦略)
「WHAT」は上記の戦略的に考える場合の「戦略」に該当します。
WHATはいわゆる「売る物」ですが、重要なのは売り物そのものではなく、売り物を通して顧客に提供する価値です。
つまり、顧客に「未来的にこうなって欲しい」と言う企画を売ると考えて下さい。
マーケティングの本ではペルソナ、つまりWHOが重要であると書かれた本が沢山あるのですが、実は一番重要なのがこのWHATです。
何故なら、どんなに頑張って商品やサービスを考えたとしても、それが顧客から見て魅力がない物であれば、どんなにプロモーションをかけても売れないからです。
逆を言えば、WHATをしっかりと作り込む事で、集客に力をかけなくても勝手に売れる事になります。
それほど、重要なフェーズとなってくるのです。
では、具体的に「WHAT」をどのように作っていくか?
現代社会は色々な商品やサービスが溢れかえっており、「コモディ化」が激しく進んでいます。
そのような状態でも価格競争に巻き込まれず、ブルーオーシャン的なビジネスを行う為の方法としてよく使われるのが「掛け合わせ」です。
例えば
- 投資×心理学
- 恋愛×ファッションデザイナー
- カメラ×ブランディング
あなたが他の人よりも少しでも得意とする、複数の知識やノウハウを掛け合わせる事で、新たな商品やサービスを開発すると言う発想です。
なお、ここで掛け合わせた商品・サービスはあくまで仮定であり、実施にニーズがあるかと言った市場調査を行う事を忘れないようにして下さい。
5.「HOW」どのようにして売るか?(戦術)
「HOW」は上記の戦略的に考える場合の「戦術」に該当します。
「WHO」に対してどのように「WHAT」を届けるかを考えるフェーズです。
「HOW」を考えるにあたり、昔から良く使われているフレームワークがマーケティングミックス(4P)です。
4Pは「Product(製品)」「Price(価格)」「Promotion(宣伝活動)」「Place(流通)」の頭文字を取ったもので、販売する商品、提供するサービスについて、広告宣伝や営業活動などの戦略を落とし込んでいくための手法です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9
最近では広報活動の武器としてTwitter等のSNSを使用している企業も多く、目的から考え、「WHO」に対してどのようなツイートをどれくらいの頻度で行うか?等と言った戦術が立てられています。
6.まとめ
ビジネスでは行き当たりばったりではなく、「戦略的に物事を考え、狙った結果を狙ったとおりに出す」事が必要になってきます。
その、「戦略的に考える」とは、
① 目的
② 目標(WHO)
③ 戦略(WHAT)
④ 戦術(HOW)
このように大きな概念から考えていく事が必要になってきます。
※ただし、最近のスモールビジネスでは、WHAT→WHOの順番に考えた方が良い場合があります。
なぜなら「WHO」をどんなに考えても、結局は自分の中にあるノウハウやスキルを元に商品やサービスを開発する必要があり、その為には「WHAT」を先に考えるべきだからです。
この辺りはご自身のビジネスに照らし合わせて、臨機応変に対応すべきでしょう。