水を1万円で売る?商品・サービスの価値の作り方とは?

マーケティング・営業

こんにちは。甲斐です。

営業マン界隈でちょくちょく話題になる「普通の水(ミネラルウォーター)を1万円で売るにはどうすれば良いか?」と言うのをご存じでしょうか?

YouTubeとかで営業マン同士が良くロープレを行っているのですが、文字通り、コンビニで売っているような普通の水をどうやって1万円と言った高額で売るのか?と言う内容です。

およそ100倍の金額なので、いかにして付加価値を付けるか?と言うのがポイントになってきます。

しかし、実際は効能について嘘を言っていたり(消費期限がないとか)、水以外のプレゼント(1万円以上)を付けていて、本来の趣旨とは大きくかけ離れているロープレが結構あるんですね。

そもそも何でそんな事になっているかと言うと、営業マン側が「価値」についての理解が不十分である事が挙げられます。

では商品・サービスの価値とは何なのか?どうやって作れば良いのか?今回はそのお話をしていきたいと思います。

1.そもそも「価値」とは?

商品・サービスの価値とはずばり、お客さんが感じることが出来て、かつ価格に反映できるものです。

当たり前のことですが、お客さんが価値として認識できないものは、そもそも価値ではありませんし、価格にも当然反映することは出来ません。

どんなに営業マンがトークを頑張っても、営業マンが独りよがりの価値を提案してしまえば、全く意味がないのです。

ただ、この説明だけだとザックリしすぎるので、価値をもう少し掘り下げると、二つに分ける事ができます。それが機能的価値と情緒的価値です。

① 機能的価値

機能的価値とは、商品、サービスの機能面や品質面において、お客さんに提供できる価値のことです。水で言えば、

  • 乾いた喉を潤す事が出来る
  • 炭酸飲料ではないので、ごくごく飲める
  • 厳しい品質管理による、安心・安全な水

と言ったところでしょう。

ただ、これだけだと他の水と何も変わりがないですよね?その為、次の情緒的価値がポイントになってくるのです。

② 情緒的価値

情緒的価値とは、商品、サービスについて、お客さんが体感できる精神的な側面での価値のことです。

機能的ではないけれど、その人にとっては重要な意味がある価値です。

水で言えば、ボルヴィックの「1L for 10L(ワンリッター・フォー・テンリッター)」です。

これは、「ボルヴィックが1L売れるたびに、アフリカで10Lの清潔で安全な水が生まれる」と言う意味です。

アフリカでは清潔な水を飲む事の難しさについて、多くの人が知っているでしょう。

しかし、ボルヴィックを飲むだけでアフリカに清潔な水を届ける事ができる=小さいながらも社会貢献ができる、と言うストーリを描き、情緒的価値を作り上げることに成功したのです。

2.機能的価値と情緒的価値はさらに2つに分かれる

機能的価値と情緒的価値はさらに顕在的か、潜在的かによって分ける事ができ、合計4つの価値にまとめる事が出来ます。

(出展:マーケターのように生きろ 井上大輔著)

顕在的で機能的な「実利価値」
→水で言えば、乾いた喉を潤すことが出来る部分です。

潜在的で機能的な「保証価値」
→水で言えば、品質管理を徹底していて安心・安全、と言う部分です。

顕在的で情緒的な「評判価値」
→水で言えば、健康に気をつけている人がいつも持ちあるく事で「あの人はいつも活発で健康だ」と思ってもらえる為のアクセサリー的な意味合いです。

潜在的で情緒的な「共感価値」
→水で言えば、先程の「1L for 10L(ワンリッター・フォー・テンリッター)」です。

このように、価値は4つに分ける事ができますが、特に物やサービスで溢れている現代社会においては、機能的価値で差をつけるのは中々難しいので、評判価値や共感価値といった「情緒的価値」が重要な地位を占める事になるでしょう。

3.価値をどうやって作っていくか?

商品・サービスの価値について明確にしたところで、では実際にどうやって4つの価値を作っていくかが問題になってきます。

この問題に対する答えですが、このブログで何度も出てくる「お客さんへのインタビュー(ヒアリング)です。」

営業マンは聞くのが仕事!と良く言われますが、この意味は商品の売り込みをする為に聞くのではなく、「お客さんが何について価値を感じているのか?」を徹底的に掘り下げる為に行うのです。

インタビューした結果出てきた価値を「仮説」とし、商品・サービスに盛り込み、さらにインタビューを行い・・・と言った活動を行う事で、商品・サービスの価値を作り上げていくのです。

4.まとめ

今回お話した内容は、ゴリゴリ新規契約系の営業マンにとってみれば「とっても生温い事」に聞こえるでしょう。

しかし、最初にご紹介した「水を1万円で売る」ロープレについて、上記の4つの価値について営業マンは深く論じていないんです。

その為、「どんな物でも売るスーパー営業マン」を名乗る人でも、身内で盛り上がっただけの全く無意味なロープレになっているのを理解していますでしょうか?

営業マンは応酬話法等のトークにやたらと力を入れがちですが、本来掘り下げるべきものは、商品・サービスの価値であり、それをお客さんに徹底的にインタビューすべきです。

4つの価値について深く掘り下げる事で、初めてお客さんから信頼を得る事ができます。それこそ、単なる営業マンで終わるか、そこから脱却しお客さんのエージェントとなり得るかの大きな分岐点になるのです。

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甲斐 智也

甲斐 智也

表現者。元舞台俳優。演劇を活用した論理と感性のハイブリッドコンサル。趣味はキックボクシングとランニング

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甲斐 智也

甲斐 智也

表現者。元舞台俳優。演劇を活用した論理と感性のハイブリッドコンサル (詳しい自己紹介は画像をクリック!)。

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