こんにちは。甲斐です。
「投資」と聞くとどんな事をイメージしますか?
株式、投資信託やFX、最近は暗号資産(仮想通貨)等がありますが、今回はベンチャーやスタートアップと言った企業に対する投資についてお話したいと思います。
アメリカはこのような企業に対する投資(エクイティ・ファイナンス)が盛んであり、日本もまだまだですが、エクイティ・ファイナンスが活用されつつあります。
銀行等の金融機関から融資を受け資金調達をする「デット・ファイナンス」と比較すると返済義務がありませんので、エクイティ・ファイナンスを利用する経営者、企業も一定数存在します。
なお、エクイティ・ファイナンスで投資をする方の主体になるのは、ベンチャーキャピタル(VC)やエンジェル投資家ですが、最近はいわゆる企業に投資した事がないけどお金を持っている「素人の投資家」も出てきています。
僕のところにも実際にVCやエンジェル投資家ではない素人の投資家から「投資するよ」と言われたけど、具体的にどのように手続きを進めれば良いか分からない!と起業家の方から相談を受ける事があります。
そこで今回は、このような「素人の投資家」とのトラブルを未然に防ぐ為の注意点をお話したいと思います。それなりに高いお金を投資してもらうのですから、しっかりと対策をするようにしましょう。
1.株式の持株比率や内容はしっかりと決める
株式会社では重要事項につき、株主総会での決議が必要になってきます。つまり議決権に関わるほどの持株比率を投資家に持たれると、会社経営にとって重大な影響が出てきます。
特に素人投資家の場合、経営についても素人である可能性が高いでしょう。「経営的にはこの選択肢が正しい」と思っても勘や思いつきで誤った判断をする危険性もあります。
また、株主総会における基本的な決議は過半数の持ち株比率があれば意思決定を行う事が可能です。つまり、素人の投資家の持ち株比率が多くなれば、あなたの会社を乗っ取られる危険性もあるのです。
(この点はVC等のプロの投資家でも同様ですが。)
そのような事を未然に防ぐには投資家に対する持ち株比率を調整する他、「株主総会の議決権がほぼない種類株式を発行する」と言う方法があります。
種類株式とは「権利の内容が異なる株式」の事で、株主総会での議決権がない種類株式を発行する事も可能です。
株主総会での議決権がない、さらに種類株主総会の決議も制限をかける事で起業家が経営に集中する事が可能になります。
種類株式についての詳細は下記の記事に書いていますのでご参照下さい。
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2.投資契約、株主間契約をきちんと締結する
投資に関する株式の内容を定めるのと同時に、投資契約と株主間契約をきちんと締結し、契約書を作成するのも重要になってきます。
投資契約とは投資を受ける企業(株式を発行する会社)、経営株主(創業者)と投資家との間で締結する契約です(株式引受契約とも言われます)。
主に企業や経営株主が投資の前提となる事実が真実である事を表明・保証し、投資家がいくら投資して何株取得するのか?と言った投資に関する事を決めます。
株主間契約とは、投資契約と同様に投資を受ける企業(株式を発行する会社)、経営株主(創業者)と投資家(その他の株主)との間で締結される契約で、こちらは主に企業のガバナンス等について決めます。
例えば、取締役会等の開催、取締役指名権、投資家の事前承諾事項等に関する事です。
なぜこのような細かい事を決め契約書と言う証拠を作成する必要があるかと言うと、言った言わないと言う事を防いだり、もし上手くいかなかった場合のルールを決めておく事で、契約当事者のトラブルを未然に防ぐ事が出来るからです。
特に素人投資家の場合は詳細に契約の内容を詰めておかなければ「そんな事は聞いていない。投資した金を全額返せ!」なんて理不尽な事を言ってくる可能性があります。
「お金を持っているが投資に関しては素人」の場合、VCやエンジェル投資家に通用する常識が通用しない危険性があります。
面倒であっても契約書はきちんと作成するようにしましょう。
3.まとめ
何事もそうですが、人は何百万円と言ったお金が絡むとトラブルになりがちです。
特に素人の投資家の場合、最初は「起業、頑張ってね。応援しているから」と言っても「何か儲からないから投資したお金返して」なんて無茶苦茶な事を言ってくる事もあります。
起業家にとって投資家は多額のお金を出資してもらえるありがたい存在ですが、何でもかんでもいいなりになる奴隷になる必要はありません。
その辺りはしっかりと意識するようにしましょう。