経済産業省が創設したスタートアップの法務支援を行う専門家チームとは?

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こんにちは。甲斐です。

スタートアップ段階では様々な事を考慮する必要がありますが、いわゆる「攻め」の部分に注力しがちになり、法律を初めとする「守り」の部分はどうしてもおろそかになりがちです。

ただ、本来は守りをしっかりと固めて攻めに転じるべきであり、守りを固めないと言う事は穴の空いたバケツに水を入れまくるのと同じです。

どんなに頑張ってもバケツに水を入れても、バケツに穴が空いていれば水は貯まらない=意味がない、と言う事ですね。

ただ、リソースに限りがあるスタートアップ段階においては法律面の対応はどうしても遅れがちになりますし、規制対応のための様々な制度の活用もハードルが高く十分な活用に至っていないのが現状です。

こうした状況を踏まえ、スタートアップで規制に関する相談対応、グレーゾーン解消制度・新事業特例制度・規制のサンドボックス制度等の規制対応の制度の活用促進を行うため、専門の弁護士からなる「スタートアップ新市場創出タスクフォース」が設置されました。

今回はこの制度の概要についてお話していきたいと思います。

1.スタートアップ新市場創出タスクフォースにどんな事を相談できるのか?

ザックリ言いますと、スタートアップ段階での法的な規制に関するリーガルサポートを受けられる制度です。

新たな市場創出に取り組むスタートアップにとって、様々な既存の規制への対応は重要な課題となっています。一方、経営資源に限りがあるスタートアップにおいては法務面での対応は遅れがちで、規制対応のための制度の活用もハードルが高く十分な活用に至っていないとの指摘もあります。

こうした状況を踏まえ、スタートアップの新市場創出の推進に向け、規制に関する相談対応、グレーゾーン解消制度・新事業特例制度・規制のサンドボックス制度等の規制対応の制度の活用促進を行うため、専門の弁護士からなる「スタートアップ新市場創出タスクフォース」を設置します。

経済産業省HP「スタートアップの法務支援を行う専門家チームを創設します」より引用

上記で紹介されている、

  • 規制に関する相談、グレーゾーン解消制度
  • 新事業特例制度
  • 規制のサンドボックス制度

等に関する論点整理・提示をタスクフォースが行います。

2.グレーゾーン解消制度

グレーゾーン解消制度」とは、ビジネス面における日本の規制を是正し産業競争力を強化することを目的として、経済産業省が運用する制度の事です。

この制度は、新事業活動を実施しようとする企業が、その新事業を管轄することとなる主務大臣に対し、規制の解釈と法令適用の有無について確認を求めることができる制度で、簡単に言えば、新しい事業を行おうとしたけど、

「この事業、〇〇法に抵触するんじゃないか?」

と思った時に、その新事業を管轄する省庁に対して、新事業が〇〇法に照らし合わせてOKかNGかの確認を求める事ができるのです。

このグレーゾーン解消制度を活用しようと思ったときに、タスクフォースに論点整理を求めることができるようですね。

グレーゾーン解消制度については下記のページでも詳しく解説していますので、よろしければご覧下さい。

3.新事業特例制度

新事業特例制度」とは、新規事業にチャレンジする事業者が、規制の特例措置を提案し、安全性等の確保を条件として企業単位で規制の特例措置の適用を認める制度です。

事業者が新たな規制の特例措置の求めを政府に照会し、特例措置の設置の可否を回答した上で、新たな規制の特例措置を設けるための所要の法令改正を行うものです。

「こう言う風にちゃんとするから特例として認めてほしい!」と事業者側が提案し、法令改正まで行うと言う、良く考えると結構すごい制度です。

具体的な事例を一つ挙げますと、下記ページの「電動キックボード」に関する規制があります。

電動キックボードの運転時には、ヘルメットの着用が義務となっていますが、とある事事業者からヘルメットの着用を任意とする提案がなされました。

4.規制のサンドボックス制度

規制のサンドボックス制度」とは、新たな技術の実用化や新たなビジネスモデルの実施が、現行規制との関係で困難である場合に、新しい技術やビジネスモデルの社会実装に向け、事業者の申請に基づき、規制官庁の認定を受けた実証を行い、実証により得られた情報やデータを用いて規制の見直しに繋げていく制度です。

  • ⽬指す新技術・新事業、規制との関係が問題となる場合に、
  • 期間や参加者を限定し「実証」を⾏い、
  • 実証でデータを集め、それを基に規制改⾰に繋げる。

という制度です。

IoT、ブロックチェーン、ロボット等の新たな技術の実用化やプラットフォーマー型ビジネス、シェアリングエコノミーなどの新たなビジネスモデルの実施が現行規制との関係で困難である場合、まずは規制官庁の認定を受けて行動し、その結果を踏まえて規制改革に繋げる、と言う制度です。

時代の流れが早い現代社会では、新しい技術やビジネスモデルが次々と生まれる一方、それらの規制した法律の改正が追いつかない事があります。

その為、規制官庁の認定を受けて実証、市場調査を行い規制緩和に繋げる、と言う意味合いがあります。

規制のサンドボックス制度の具体的な活用事例は下記のページをご参照下さい。

5.まとめ

当ブログでは何度かご紹介していますが、ビジネス=取引を行うと言うことは「法律行為」であり、ビジネスは法律を意識せざるをえません。

またビジネスを規制する法律とはまさにビジネスにおける「ルール」であり、このルールをしっかりと抑えていないと足元をすくわれる可能性があります。

攻めも大切ですが、ビジネスでは法律等の「守り」も大切である事を意識しましょう。

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甲斐 智也

甲斐 智也

表現者。元舞台俳優。演劇を活用した論理と感性のハイブリッドコンサル。趣味はキックボクシングとランニング

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甲斐 智也

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表現者。元舞台俳優。演劇を活用した論理と感性のハイブリッドコンサル (詳しい自己紹介は画像をクリック!)。

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