契約書のひな形を利用した場合に陥りやすいミスとは?

契約書

こんにちは。司法書士の甲斐(@tomoya_kai)です。

ビジネスを行う上で必要になってくる物の一つが契約書ですが、最近は書籍やインターネット等で様々な契約書のひな形が紹介されています。

その為、契約書そのものを作成するのは一昔前に比べて簡単になっていますが、実際に「使える」契約書となると話しが変わってきます。

私は良く契約書のリーガルチェックを行っているのですが、当事者としては「これで大丈夫!」と思っても、契約書のひな形を使ったり、ひな形をツギハギして作った契約書は様々な問題を抱えていて大変危険なのです。

今回はそのような「契約書のひな形を利用した場合に陥りやすいミス」についてお話したいと思います。

1.当事者も良く分かっていない用語を使っている

例えばコンサルティング契約書で、このような条文がありました。

本契約の報酬は下記のとおりとする。
月額 金●万円
契約保証金 金●万円

この契約書をリーガルチェックしていたときに「この契約保証金って何ですか?」とお客さんに質問したら、「さぁ・・・。ひな形に書いてあったのでそのまま使ったんですが、コンサルティング契約では使わないのですか?」と言う答えが返ってきました。

また、バナー広告に使う画像の作成契約で、このような条文がありました。

委託者は受託者から納品された画像について、独自にサイズ・色等の変更を行う事ができる。ただし、当該画像の本質的部分の変更を行う場合、予め受託者の許諾を得る必要がある。

この条文について「本質的部分」とは、具体的にどのような事を指すのでしょうか?とお客さんに質問したところ、上と同様な回答が返ってきました。

当事者からしてみれば自分達が行う「コンサルティング契約」「画像作成契約」の契約書のひな形を使えば問題はないのでは?と言う感覚だったのだと思います。

しかし、契約書ひな形の中には通常その契約では使用しない、意味が良く分からない文言が入っているケースがあり、その文言の解釈を巡ってトラブルになる危険性があるのです。

2.主語が抜けている(もしくは主語が不明確)

契約書と言うのは当事者の権利や義務を決めた内容を書面にした物です。

権利や義務を決めた場合、必ず「主語」があるはずなのですが、結構な確率でその主語が抜けている契約書があります。

これも契約書ひな形あるあるなのですが、主語が無ければ誰が権利・義務があるのかが分かりません。

権利・義務を決めた条文については主語が抜けていないか、必ず確認するようにしましょう。

3.定義した言葉をちゃんと使っていない

契約書の中では言葉の定義を行うことが多いのですが、その折角定義した言葉を使っておらず、他の言葉を使い、契約書全体がカオス状態になっている物もあります。

例えば、画像の作成を依頼した場合の、受託者が完成させた画像を「成果物」と条文で定義しているにも関わらず、後から同じような趣旨の言葉として

  • 制作物
  • 完成品
  • 納品物
  • 著作物

等と言った似たような言葉を使っているケースです。

これは複数の契約書ひな形をツギハギした結果発生する現象ですが、違う言葉を使用すると混乱の原因となってしまうのです。

4.矛盾した内容になっている

これも、複数の契約書ひな形をツギハギして作った結果発生する現象です。

例えば、著作権の譲渡に関する事です。また画像作成を例にしたいと思います。

受託者が委託者より依頼されて作成した画像の著作権は受託者側にありますが、そのまま著作権が受託者側に残ったままだと、委託者が画像を自由に使えない事があります。

その為、著作権を譲渡する内容(及び著作者人格権の不行使)を契約書の中に盛り込む事があるのですが、その一方で「画像のサイズや色を変更する場合、受託者の承諾を要する」と言う条文が入っている場合があります。

画像の変更等を行う権利を受けたはずなのに、一方で変更等を行う場合は許諾が必要、ひな形をツギハギした段階では分からないけれど、全体を俯瞰して見ると明らかな矛盾が生じているケースがあるのです。

5.まとめ

契約書のひな形を使うと、一から条文を作成する手間が省けますので非常に効率的です。

しかし一方で、契約書ひな形を信じすぎるばかりに、その内容を良く読まずに「まぁ、大丈夫だろう。このひな形使っている人も多いだろし」と過信すると、想定外のトラブルが発生する危険性があります。

ひな形を使って契約書を作成した場合、少なくとも上で挙げた4項目について問題がないか、全体をよく読んでチェックする必要があるでしょう。なお、それでも

  • 「自分達では難しい」
  • 「本当に問題がないか不安」

と思われる場合は、お気軽にご相談ください。

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