こんにちは。甲斐です。
マーケテイング(広告)の分野を学んでいますと、ユーザーの心を動かす「コピーライティング」の分野も自然に勉強する事になると思います。
コピーライティングはいかに魅力的でインパクトがある言葉を使い、ユーザーに所定のアクションを取ってもらうかがポイントになります。
しかし、その表現方法によっては違法行為になり、行政からの指導等が入るのをご存知でしょうか?
今回はマーケティング(広告)では避けては通れない法律、「景品表示法(景表法)」のお話です。
1.景品表示法(景表法)の目的
景品表示法(景表法)は簡単に言えば、
「事業者の不当な顧客誘引(景品・表示)を防止し、消費者が合理的な商品・サービスの選択ができるようにする為の法律」です。
その昔、50円のチューインガムを買って1,000万円(今の価値で1億円)を当てようと言うキャンペーンがありました。
また同じ頃、牛肉の大和煮と表示されて販売されていた缶詰が、実は馬肉やクジラ肉が使用されていたと言う事件がありました。
このような不当な景品・表示に消費者がつられ、実際には質の良くない商品・サービスを消費者が選択し、消費者の合理的な判断が歪められる事を防ぐ為の法律が景表法です。
景表法は不当な「景品」・「表示」に関する法律ですが、この記事では広告等の表現方法について集中的にお話していきたいので、「不当表示」に関する事を取り上げていきます。
2.不当表示の3つのパターン
① 優良誤認表示
優良誤認表示とは、商品・サービスの「品質、規格、その他の内容」に関する下記の表示の事です。
(1)実際のものより著しく優良であると示す表示。
(2)事実に相違して競合他社のものより著しく優良であると示す表示。
(1)は商品・サービスの実際の品質等と広告に表示された品質等との違いが問題になり、(2)は広告に表示された商品・サービスの品質等と、競合他社の商品・サービスの品質等の違いが問題になります。
分かりやすく近年処分を受けた優良誤認の例を実際に見てみましょう。
【ダイエットパッチ】
実際には根拠がないのに、「貼るだけで痩せるってどういうこと?」等、ダイエットパッチを体に貼るだけで、貼った部分に短期間で著しいダイエット効果が得られるかのような表示をした。
【健康食品】
実際には根拠がないのに、「免疫力を高める」等、健康食品を摂取するだけで免疫力が高まり、病気の治療または予防の効果が得られるような表示をした。
【モバイル通信】
実際には特定の日時・場所での測定結果なのに、「業界最速の通信速度」等、他の格安SIM事業者の中で常に最速であるかのような表示をした。
② 有利誤認表示
有利誤認表示とは、商品・サービスの「価格その他の取引条件」に関する下記の表示の事です。
(1)実際のものより著しく優良であると消費者に誤認される表示。
(2)商品・サービスの価格その他の取引条件について、競合他社のものより著しく有利であると消費者に誤認される表示
(1)は広告に表示された取引条件と商品・サービスの実際の取引条件との違いが問題になり、(2)は広告に表示された取引条件と競合他社の商品・サービスの取引条件の違いが問題になります。
優良誤認と同じく、分かりやすく近年処分を受けた有利誤認の例を、実際に見てみましょう。
【収納サービス】
実際には期限を超えて申し込んでも割引を受けられるのに、〇月〇日までの申し込みで〇%の割引をするかのような表示をした。
【葬儀サービス】
実際には表示された価格以外に追加料金が発生するのに、「全てセットの定額」等、表示された価格以外に追加料金が発生しないかのような表示をした。
【ダイエット食品】
メーカー小売価格は設定されていないにも関わらず、「メーカー希望小売価格〇〇円↓↓↓【特別モニター限定価格】●●円」等の記載する事により、メーカー小売価格が設定されていて、実際の販売価格がそれより安いかのような表示をした。
➂ 公示指定表示
優良誤認表示や有利誤認表示のようなレベルとは言えない表示であっても、消費者が誤認するおそれがある表示として、下記6つの表示が公示により指定され、禁止されています。
- 無果汁の清涼飲料水等についての表示
- 商品の原産国に関する不当な表示
- 消費者信用の融資費用に関する不当な表示
- 不動産のおとり広告に関する表示
- おとり広告に関する表示
- 有料老人ホームに関する不当な表示
3.その他、問題になる表示
① 不当な二重価格表示
販売価格の安さを強調する為に、販売価格とは別の高い価格(比較対象価格)を併記して表示するのが二重価格表示です。
二重価格表示そのものは違法ではありませんが、消費者に誤解をさせるような二重価格は景表法上、違法となります。
例えば、一度も1万円で販売した事がないにも関わらず、現在の安売り価格として2,000円で商品を販売した場合、消費者は「8,000円引きされた著しく安い価格」だと誤解する可能性があり、NGです。
なお、過去の販売価格を比較対象価格とする場合、「同一の商品について最近相当期間にわたって販売されていた価格」である必要があります。
② 比較広告
景表法では比較広告そのものは禁止されていませんが、競合他社の商品・サービスと大きな違いがないにも関わらず、著しく優良・有利であると消費者に誤認される場合は不当表示となります。
適正な比較広告の要件は下記の通りです。
- 比較広告で主張する内容が客観的に実証されている事。
- 実証されている事実や数値を正確かつ適正に引用する事。
- 比較の方法が公正である事。
➂ 最高級表現
「最高」「最大」「最速」等の表現の事です。
これらの表現は競合他社の商品・サービスより優位であると言う趣旨なので、上記の比較広告の一種となります。
その為、比較広告の要件を満たす必要が出てきます。
4.景表法はB2Bは対象外か?
景表法は消費者保護の為の法律であり、いわゆるB2Bの取引については適用外とされています。
しかし、DMやSNS等で景表法に反する表現方法を行った場合、相手事業者から間違いなく「ちゃんとしていない会社、モラルが無い会社」のレッテルが貼られるでしょう。
またBtoBの場面で不当表示によって集客した場合、間違いなくやってくるのはビジネス初心者の情報弱者です。
(そりゃそうですよ。ある意味騙されてやってくるわけですから。)
信者ビジネスをやりたいのであれば別ですが、そうでは無いちゃんとしたビジネスを行いたい場合、BtoBであっても景表法を意識した情報発信をするのがセオリーでしょう。
5.まとめ
景表法には細かい論点がまだまだあり、商品・サービスの魅力を訴求する為のコピーライティング関連で悩ましい問題が出てくる事があります。
商品・サービスの魅力を強調しなければ売れませんが、その一方で景表法を意識しなければ「炎上」と言う事にもなりかねません。
この辺りのバランス感覚は試行錯誤して身に付ける必要がありますが、分からなくなった場合はお気軽にご相談下さい。
広告に関するリーガルチェックも積極的にやっています。
2020.04.30
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