こんにちは。甲斐です。
クライアントから仕事を受注したとき、契約書は仕事を依頼したクライアント、仕事を受注したあなた、どちらが作成するべきなのでしょうか?
結論を言えば、どちらが作成しても良いのですが、理想は「仕事を受注するあなた」でしょう。なぜなら、(当然ですが)仕事を受注する方がその仕事内容を熟知しているからです。
しかし、場合によってはクライアントが契約書を用意する事もあります。
で、経験がある方もいらっしゃるかも知れませんが、クライアントが契約書を作成して「確認をお願いします」と言われた場合、「何を確認すれば良いのか?」と困った事がありませんか?
出来れば「全体をくまなくチェックする」のが理想ですが、契約書の作成に慣れていなければそれも難しいと思います。
そこでこのページでは、クライアントから契約書のチェックを求められた場合のポイントを分かりやすくお話していきます。
1.まずは契約書の「5大要素」をチェックする
まずはこのブログでも何度もご紹介している、契約書の「5大要素」についてチェックしましょう。
「いつ」「誰が」「誰に」「何を」「どうするのか」
① 「いつ」
- 仕事の納期がいつなのか?
- 報酬の支払時期がいつなのか?
と言った「時期」に関する事が明確になっているか確認します。
「いつ」が明確になっていないと、いつまでに仕事を終えれば良いのか、いつになったら報酬を支払って貰えるのかが分かりませんからね。必ずチェックしましょう。
② 「誰が」「誰に」
契約当事者を明確に定めましょう、と言う意味です。
この契約当事者を明確にしておかなければ(個人なのか法人なのかを含めて)、トラブルになって裁判を行う場合に、本人の特定性について非常に困難になる場合があります。
③ 「何を」
仕事内容の事です。
仕事内容が曖昧になっていると、クライアントから「これも契約の内容だよね?」と言った感じでドンドン仕事が追加される事になります。
仕事の内容は具体的に言語化されているか、その範囲は明確になっているか?と言う視点でチェックします。
④ 「どうする」
仕事の遂行方法や成果物の納品方法の事です。
コンサルのような仕事の場合、月に何回クライアントとミーティングを行うのか?と言った事が明確になっているかチェックをします。
③の仕事の内容「何を」と組み合わせてチェックするようにしましょう。
2.その他の重要事項
① 報酬に関する事
当たり前ですが、報酬に関する事が明確になっているか確認しましょう。
具体的な金額になっているか?具体的な金額ではなくその都度算定する場合、算定方法は明確なのか?と言った視点でチェックします。
② 条項の主語が当事者の一方になっていないか?
条項の主語が当事者の一方の場合、当事者の一方に有利になっていたり、逆に不利になっている場合があります。
例えば、仕事を受注するあなたが主語になっている場合、「一方的な義務が課せられていないか?」と言う点です(「~をしなければならない」等)。
逆にクライアントが主語の場合、クライアントにとって通常以上の権利が与えられている可能性があります。
③ 損害賠償に関する事
損害賠償の額は予め決める事ができるのですが、その金額が不当に高くないかチェックしましょう。
また、「理由の如何を問わず」等の文言が入っている場合、例えばクライアントの指示に問題があったとしても、あなたが損害を賠償する責任を負う可能性がありますので要確認です。
④ 「責任を負わない」と言った免責に関する事
免責規定、つまり「責任の免除に関する規定」です。
契約書の条項に「その責任を一切負わない」「(クライアントの)過失を問わず」と言う文言があった場合、あなたはどのような状況でも(クライアントに故意や過失があっても)、クライアントに対して損害賠償を出来ない可能性があります。
この免責規定も要チェックです。
⑤ 「第三者」が登場している場合
契約は当事者で締結し、当事者を拘束するものですが、そこに契約とは関係がない「第三者」が登場してくる場合があります。
この「第三者」が登場してくる条項もチェックが必要で、例えばあなたが第三者に対する責任を負うような条項になっている可能性があるからです。
3.まとめ
相手方が作成した契約書をチェックするのは専門家でも骨が折れる作業です(自分が普段使っていない表現等が含まれる為)。
とは言え「きっと大丈夫だろう」とチェックを軽く考えていると、相手方との信頼関係が崩壊するレベルのトラブルに発展する可能性があります。
相手方が作成した契約書をチェックする事も、ビジネスにおける大切な仕事です。上記の内容を参考にし、じっくりとチェックするようにしましょう。
どうしても自分では難しい場合は、お気軽にご相談下さい。