考える力の根幹をなすものは「正しく疑う事」

コンサルティング・問題解決思考

こんにちは。甲斐です。

「考える力が重要!」と言う主張が方々から出てくる現代社会。

私の記憶では、この言葉はバブル経済崩壊後から良く耳にするイメージがあります。

これからは前例の無い、答えがない時代に突入した。答えのない問題に答えを導き出すには考える力が必要だ!

と言う具合です。

確かにその通りで、考える力はこれからの激動の時代を生き抜く為に必要なスキルの一つでしょう。

でも、考える力を身に付ける為には、具体的にはどうすれば良いのでしょうか?

  • ビジネス書や自己啓発本を沢山読む?
  • SNSで沢山情報発信する?
  • 友達と時事問題についてディスカッションをする?

色々なトレーニング方法はあるのですが、もっと本質を探ってみると、一つの答えにぶつかります。

それが、今回ご紹介する「正しく疑う力」です。

1.日本人が「正しく疑う力」を持つ事ができない根本的な理由

いきなり皆さんのやる気を削ぐような話しになりますが、「考える力」の根幹をなす「正しく疑う力」、日本人がこれを持つ事は中々難しいんです。

それはなぜか?

子供の時、良くこのような言葉を聞かされていませんでしたか?

  • 「親の言う事をキチンと聞きなさい。」
  • 「先生の言う事をキチンと聞きなさい。」
  • 「言い訳をしない、大人の言う事をキチンと聞く良い子になりなさい。」

そして大人になって会社に就職すれば、

  • 「上司の言う事は黙って従い、スピーディに行動する事。」
  • 「批判をするな!批判をするヤツは仕事が出来ない無能なヤツだ!」

日本の社会は上からの指示を何の疑問も持たず、忠実に実行する人間が「優秀な人間」とされています。

「指示待ち人間はいらない!自分で考え、行動する人間が優秀な人間である。」

と言う声も実際は挙がるのですが、経営者や管理職から見れば、使い勝手が良い人間は、結局は自分の言う事をその通りに黙って従ってくれるYESマンなんです。

そして、上記のような言葉を、毎日毎日シャワーのごとく浴びまくるのですから「疑う事」をしなくなるのは当然です。

このように、我々はある意味DNAレベルで、「人の話しを黙って素直に聞き、自分の意見を言わず忖度する人」=善、「正しく疑い、自分の意見をキチンと主張し、批判精神がある人」=悪である事が刷り込まれているのです。

2.考える力を身につけるには、意識的に疑う事(反論する事)が必要

ではどうすれば、我々は正しく疑う事が出来る様になるのか?

これは普段から意識して疑うトレニーングを行うしかありません。

一番良い題材はニュースでしょう。

最近のニュースはロクに一時情報を確認しなかったり、記者の都合が良いように切り取られた上で情報発信がされる事があります。

その為、

  • 「このニュースはそもそも本当なのか?」
  • 「このニュースで語られていない事実は何なのか?」

と意識的に考えるのです。

これが「正しく疑う」と言う事です。

例えば、新型コロナウィルス関連で「トイレットペーパーが無くなる」と言うデマがその昔流れた時、YouTuberのヒカキンが「トイレットペーパーを買い占めている!」と言う情報が流れました。

このニュースを見た時に、「YouTuberが炎上目的で動画アップしたのか。何やってんだか。」と思考停止状態で脊髄反射するのではなく、「え、それ本当?ちゃんと事実を確認してみよう」と情報を正しく確認しようとするのでは、考える力に雲泥の差が生じるのです。

(なお、この件は当然デマです。ネット上に流れたヒカキンの画像は4年前のものでした。)

3.「正しく疑う」とは、人間不信になったり、人格攻撃をする事ではない

ここで注意点をお伝えしたいと思います。

それは、「正しく疑う事」は、人間不信になったり、人格攻撃をする事では無いと言う点です。

我々は子供の時から「人(身近な人)を疑ってはいけない」と教えられます。

その為、疑うと言う事にためらいを持つ人がいるのかも知れません。

しかし、正しく疑うと言うのは、あくまで事実関係を正確に把握したり、本質を見抜く「考える力」を身に付ける為に行うものです。

誰かの人間性を否定したり、人格攻撃をする事ではないと言う事は、常に頭の隅に置いておく必要があるでしょう。

4.疑う事と素直さは両立できる

ここまで、「正しく疑う事」の重要性をお話ししてきましたが、それでも「人の話しを素直に聞く事」が重要である事は間違いありません。

「え?疑う事と素直さって両立できるの?矛盾しているのでは?」

と思われた方がいらっしゃるかも知れませんが、疑う事と素直さは両立できます。

例を出しましょう。

武道や芸能など世界で「守破離」と言う言葉が良く使われます。

  • 「守」は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。
  • 「破」は、他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。
  • 「離」は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階。

つまり、最初から疑い、自己流にアレンジしてもダメ。教わった事を徹底的に守る必要があるんです。

でも「守」だけではダメなんです。

教わったものを本当に自分のモノにする為には、「破」も「離」も必要。

その為には、教わった事について正しく疑い、批判する事が必要になってきます。

素直でありながら、かつ正しく疑う。

とんでもない高次元の思考のように見えますが、意識的に行うトレーニングを繰り返す事で、絶対に身に付ける事が出来るのです。

5.まとめ

会社経営・個人事業主・正社員からパートの方まで、「考える力」さえあれば、自分のビジネスや人生をより豊かにする事が出来ます。

その第一歩が「正しく疑う事」なんです。

「正しく疑う事」そのものは、実は特に難しい事ではありません。

しかし、意識的に行う事については難しさがあるでしょう。

人間の脳は過剰なストレスがかかるのを避ける為に、極力楽をするように出来ています。

その自然な状態について、あえて逆らう必要があるのです。

日常的に溢れかえっている情報について、脳が楽をしようとしている所にあえてブレーキをかけ、意識的に疑問を投げかけ考えるトレニーングを行う。

非常に難しいのですが、習慣にしてしまえば簡単です。

お金もかかりませんし、少しの時間でも効果はあります。

まずはチャレンジしてみては如何でしょうか?

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甲斐 智也

甲斐 智也

表現者。元舞台俳優。演劇を活用した論理と感性のハイブリッドコンサル。趣味はキックボクシングとランニング

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甲斐 智也

甲斐 智也

表現者。元舞台俳優。演劇を活用した論理と感性のハイブリッドコンサル (詳しい自己紹介は画像をクリック!)。

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