会社設立手続きを0円で行っている税理士の目的・注意点とは?

会社設立・商業登記

こんにちは。司法書士の甲斐(@tomoya_kai)です。

会社を作りたいと思った時、その作り方を調べようとインターネットで検索すると、「会社設立手続きの手数料が0円」と言う税理士事務所が良く出てくるのをご存知でしょうか?

「会社設立手続きが0円!ラッキー!少しでも節約したかったんだ!」

と思ったあなた、ちょっと待って下さい。

「タダより高いものはない」と言う言葉がある通り、会社設立手続きを0円で行っている税理士にはある目的があるのです。

今回は、「会社設立手続き0円」を謳っている税理士の目的と注意点をお話ししたいと思います。

1.大前提 会社設立登記は司法書士の独占業務

まず、大前提のお話しをしたいと思います。

会社は設立の登記が行われる事で成立します(会社法第49条)

そして、この登記申請については、原則として司法書士の独占業務となっているのです(司法書士法第3条)。

(業務)
第三条 司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一 登記又は供託に関する手続について代理すること。
二 法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第四号において同じ。)を作成すること。ただし、同号に掲げる事務を除く。

(非司法書士等の取締り)
第七三条 司法書士会に入会している司法書士又は司法書士法人でない者(協会を除く。)は、第三条第一項第一号から第五号までに規定する業務を行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
第七八条 第七十三条第一項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

このように、司法書士は依頼者から依頼を受け、登記手続きの代理や登記申請に必要な書類の作成が出来る事が法律上明文化されています。
さらに、司法書士以外の者が登記手続きの代理や、登記申請に必要な書類の作成を行う事が禁止されている事についても法律上明記されています。
そもそも司法書士の制度として、登記手続きを代理で行う事が想定されており、その為に必要な知識(不動産登記法や商業登記法等)を司法書士試験で問われるのです。
司法書士が登記申請の代理を行うのは、制度の趣旨から考えて当然と言えば当然なのです。
その為、会社設立手続きを行う場合、最終的にはご自身で登記申請を行うか、若しくは司法書士に登記申請を依頼するかのどちらかの対応が必要になります。

2.税理士が会社設立手続きを0円で行う理由

上述したとおり、「会社設立」でインターネット検索をしてみますと、「会社設立手続き0円」とか、手数料が著しく低額な税理士事務所が良く出てきます。

会社設立には何かとお金がかかりますので、少しでも節約したい起業家にとってみれば非常にありがたい存在なのですが、疑問に思いませんか?

何で会社設立手続き費用が0円なのか?」と

これらの税理士事務所は、会社設立手続きをボランティアとして行っているのでしょうか?

もちろん、そんな事はありません。

これらの税理士事務所の目的はただ一つ、会社設立後の税務顧問契約の締結です。

だからこそ、会社設立手続きを0円(もしくは著しく低額)で行っているんですね。

会社設立手続きを「フロントエンド商品」、税務顧問を「バックエンド商品」と考えると非常に分かりやすいと思います。

その為、「会社設立手続きが安く出来るなんてラッキー」と何も考えずにいると、思わぬしっぺ返しをくらう事になるのです。

3.税理士に会社設立手続きを依頼する場合の注意点

ここで思い出してほしい事があります。

会社は設立登記を行う事で成立し、その登記申請は原則として司法書士の独占業務です。

つまり、税理士は登記申請を行う事は出来ません。

登記申請に必要な書類を作成して登記申請をサポート・・・と言う形式ですら司法書士法違反になります。

その為、あなたがもし、税理士事務所に会社設立手続きを依頼しようと考えているのであれば、その税理士事務所に確認してほしい事があるのです。

それは、

・登記申請に司法書士は関わるのか?その報酬はいくらなのか?
・司法書士が関わるとして、どのタイミングで司法書士と会えば良いのか?

この2点です。

① 司法書士の関与について

何度も言いますが、登記申請はご本人か司法書士が行う必要があります。

その為、税理士に依頼した会社設立手続きの中で司法書士が全く関与しないと言う事は、登記申請に必要な書類作成や登記申請を、税理士が行っている事になります。

つまり、違法な登記申請です。

その為、会社設立手続きの中で司法書士が関与するのか、関与するのであれば報酬はくらになるのかを必ず確認するようにして下さい。

② 司法書士の本人確認義務について

会社設立手続きの中で司法書士が関与するのであれば、その司法書士と会うタイミングはいつなのかを必ず確認するようにして下さい。

なぜなら、司法書士は登記申請の代理を依頼された場合、その依頼者の本人確認や意思確認を必ず行う義務があるからです。

その為、税理士から「こちらで全て行いますので、司法書士とは話さなくても大丈夫ですよ。」なんて言われたら要注意です。

4.まとめ その税理士にコンプライアンス意識はあるか?

司法書士の関与について、話しを濁す税理事務所は要注意です。

違法な登記申請を行う事をやってはいけないのは勿論なのですが、それ以外にも問題を孕んでいるからです。

それは、「コンプライアンス意識の欠如」です。

違法な登記申請を行う(若しくは、そもそも違法である事を認識していない)と言う事は、コンプライアンス意識が欠如していると言う事ですので、その後の税務顧問の場面でも大きな問題が発生します。

その税理士は、何だか良く分からない脱法的な節税をあなたに勧めてくるかもしれません。

その結果、あなたの会社が税務署から脱税を追求される可能性があるのです。

最悪、逮捕ですね。

苦労して作った会社がそんな事になるの、嫌に決まっているじゃないですか。

だからこそ、「会社設立が0円!ラッキー!!」と単純に思わずに、きちんとその裏側まで読み取るようにして下さい。

それが出来る者が、本当の意味での起業家なのですから。

※当事務所でも会社設立手続きを行っております。

詳細は下記ページをご覧下さい。

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