こんにちは。甲斐です。
僕は会社設立のご相談を多く行っているのですが、個人事業主の方からのご相談も良くあります。
その中で顧問税理士がいるかいないか?と言う話もするのですが、顧問税理士がいない個人事業主の方って少なくないんですよね。
で、色々と調べてみると、ただ単に顧問料をケチりたいだけで税理士をディスっている「勘違い」した個人事業主の人も結構いたり・・・。
それはどのような勘違いなのか?分かりやすくお話したいと思います。
1.自分で記帳作業&青色申告できるから
昔は確定申告やその為の仕訳は経理や税務についてある程度勉強する必要がありましたが、最近ではfreeeやマネーフォワードと言ったクラウドソフトが発達し、少し勉強すれば誰でも簡単に記帳や確定申告を行う事ができるようになりました。
ただ、多くの人が勘違いしているのが、記帳や確定申告が出来た事と、「それが税法上正しく出てきた事」とはまったくの別問題である、と言う点です。
そもそも、freeeやマネーフォワードは仕訳や確定申告書が「税務上」正しいかどうかは判断してくれません。
その為、忘れたころに税務調査がやってくる、なんて可能性もゼロではないのです。
なお、「ウチは売上はそこまで無いし、税務署はそこまで暇じゃないんだから、税務調査なんて来るわけないじゃんw」
なんて思う人がいるかも知れませんね。確かに税務署から指摘されなければ間違っていてもそのままですし。
でもその考え方は最終的にはあなたのお客さんに迷惑をかけるかも知れません(詳細は最後の「まとめ」で)。
2.税理士の「立場」を尊重するのが大変だから
これも非常に勘違いをしている人がいます。
税理士は依頼者の味方ではなく、税務署の味方に近い存在であると。
その理屈はこうです。
「税理士が税務顧問を行っている以上、税務署から否認されそうな経費は付けさせたくない。変な経費が計上されていると、税務調査の際に税理士である自分の立場が危うくなる。だから無難に業務を遂行したい税理士は多い」
自分は経費として認められると思っているのに、税理士は経費としては認められないと頑なに拒んでいる。何かあったときに資格がはく奪されるので、税理士は無難に仕事をしたくて当然。
まぁ、こんな感じでしょう。
確かに、このような税理士はいるかもしれませんが、ハッキリ言って少数派です。
そもそも、税理士が「これは経費に計上できません」と言うときは、それなりの根拠があります。税法や税務通達であったり。
税理士は税法や税務通達を十分に分析・検討した結果、結論を出すのです。
もしあなたが「これは経費に計上できる!」と考えた場合、同様に税法や税務通達を分析・検討する必要があるのです。
そこまでやって初めて、「これは経費に計上できる!」と言えるのです。
「自分は経費と思っても税理士は経費じゃないと言ってくる。だから顧問税理士は必要ではない。」
そう思うのは自由ですが、「経費と思う」のであれば、当然その根拠が必要になります。なお、「ネットに書いてあった」は根拠にはなりませんからね。
— 甲斐智也@起業支援もする司法書士 (@tomoya_kai) May 20, 2021
3.顧問料がもったいないから
税理士にもよるのですが、顧問契約を行った場合、月1~5万程度、確定申告で数十万円の報酬を支払う必要があります。
自分で出来るので、顧問料がもったいないと考える人がいるのですが、これも正直「どうかな?」と思います。
上記でお話しましたが、そもそも「税法上」適切に仕訳や確定申告が行われているかどうか不明です。
さらに記帳や確定申告の作業についてご自身で行う時間も必要になります。
「税務上」適切なのかどうか分からない上に時間もそれなりに取られる、これって問題ではありませんか?
4.税務調査と戦うのは自分だから
「最終的に税務署と戦うのは自分だから、税理士は必要ない」こんな意見もありますね。
まぁ、税理士がちゃんと顧問についていれば、税務調査もきちんと対応してくれます。対応しない税理士の方がレアキャラでしょう。そんな税理士と顧問契約したあなたが悪いのです。
仮に自分自身で税務調査を乗り切らなくてはいけない場合でも、自分の主張を正当化する根拠が必要になってきます。
そう、上記でお話した税法や税務通達です。
税法や税務通達は1回読んだだけでは理解できません。何度も何度も読み、条文や通達が何が言いたいのかを理解・解釈し、自分の主張を論理構成をする必要があります。
顧問税理士であればその根拠を武器として戦ってくれますが、顧問税理士がいない場合、税務調査があれば百戦錬磨の税務署職員と全く関係がない話をせず、税法・税務通達の話しをあなが論理的に行う必要があります。
想像してほしいのですが、あなたにはそれが出来ますか?
5.まとめ
ちゃんとご自身で勉強して適切な仕訳や確定申告を行えば別に良いのですが、何も勉強せず上っ面の知識だけで「多分大丈夫でしょ?」と言うノリでやってしまうと、後から痛い目に会う事があります。
幸運にも税務署から指摘がなくても「多分大丈夫でしょ?」と言う不誠実なノリは、本業でも悪影響を及ぼす恐れがあるんです(お客さんに損害を与えたり等)。
もう一度言いますが、ちゃんと勉強して自分の責任で仕訳や確定申告を行うと言う覚悟があれば全然良いのです。
しかし、ただ顧問料をケチりたい「だけ」の独りよがりのマインドは、やはり問題であると言えるでしょう。