一人会社が取締役を追加したい場合の役員変更登記の注意点とは?

会社設立・商業登記

こんにちは。司法書士の甲斐(@tomoya_kai)です。

一人で会社を設立した場合、当然役員である取締役も一人なのですが、事業が順調に成長していく過程で、「優秀な取締役を迎え入れたい」と思う事が出てくるかと思います。

新しい取締役をビジネスパートナーとして迎え入れる事で、会社の更なる発展が期待できますから。

そうすると、当然新しい取締役の追加について、登記申請を行う必要があるのですが、「ただ単純に追加すれば良いのか?」と言う疑問点も当然出てくるでしょう。

そこでこのページでは、一人会社の状態から取締役を追加する場合の登記申請の手続きに関する注意点について、分かりやすくお話していきたいと思います。

1.まずは定款と登記事項証明書をチェック

新たな取締役を追加したい場合、いきなり登記申請をするのではなく、必ず定款と登記事項証明書をチェックするようにして下さい。

取締役を追加する前提として行う手続きは何かないか?を見落とすと登記申請が却下される事もありますし、その他、想定外の不利益が発生する可能性もあります。必ずチェックは行うようにしましょう。

① 取締役の任期について

例えば取締役の任期が10年の場合、「追加する取締役の任期も10年で良いのか?」を再検討しましょう。

追加した取締役に何かしらの問題があり解任したくなった場合、解任に正当な理由が無ければ残存任期に関する報酬を支払う必要が出てくる場合があります。

新たな取締役との関係性もありますが、定款を変更し取締役の任期を短縮する等の対応も検討すべきです。

② 取締役の人数について

定款に取締役の人数について規定がある場合、変更が必要になってくる場合があります。

例えば「取締役の人数は3人以内」と言う定款の規定があり、取締役を3人追加して合計4人とする場合、この定款の規定を変更する必要が出てきます。

③ 重任登記を失念していないか?

登記事項証明書をチェックして、現在の取締役(つまり、あなたの事です)の任期が過ぎているにも関わらず、登記申請をする事を忘れていないか確認して下さい(重任登記)。

この重任登記が漏れている場合、新たな取締役を追加する前提として、現在の取締役の重任登記を行う必要があります。

④ 取締役の任期のゴールはどうなっているか?

取締役は株主総会で選任され、取締役として就任する事について承諾した時から任期がスタートします。

つまり、取締役毎に任期のスタート時期が異なるのが原則である為、任期のゴールも取締役毎に異なってきます。

しかし、これだと取締役の任期の管理が煩雑になりますので、定款に「新たに追加された取締役の任期は、既にいる取締役の任期と同じとする」規定を入れ、任期のゴールを全員同じにする方法があります。

定款にこの規定が無ければ、定款を変更してこの規定を入れる事を検討しても良いでしょう。

2.新たに追加された取締役は、代表取締役となるのか?

もう一つの論点がこれです。

一人会社は取締役会を設置していない会社です(取締役会を設置するには3人の取締役が必要になってくるため)。

取締役会設置会社の場合、選任された取締役は代表権を有する取締役となるのが原則です。

と言う事は、新たに追加した取締役と、既に取締役であるあなたの二人が代表取締役となるのです(代表取締役は必ず一人!と言う法律上のルールはありませんので)。

それでも良いと言うケースもありますが、「相手には代表権は持たせたくない!」と思うケースがあるでしょう。

その場合、定款に「取締役が複数いる場合、その中から代表取締役を決める規定」を入れる必要があります。

【例】
取締役が2名以上ある場合は、そのうち1名を代表取締役とし、取締役の互選によってこれを定める。

定款に既にこの規定があれば良いのですが、この規定が無い場合、定款の変更を検討しても良いでしょう。

3.新たに追加した取締役に株式を渡した方が良いのか?

会社法上は取締役と株主は別人です。

その為、「新しい取締役に対して株式を発行し、株主となってもらうべきか?」と言う悩ましい問題も出てきます。

株主になると言う事は経営権を握ると言う事ですので、仮に株主になってもらう場合でも、あなたが保有する株式の割合は注意しなくてはいけません。

基本的な事項を決める場合、過半数の議決権が必要になってきますので、その辺りは意識して株式を渡す方が良いでしょう。

4.取締役を追加する場合の役員変更登記申請

以上の点を踏まえ、取締役の追加を行う場合、株主総会を開催して取締役を選任し、登記申請を行う流れになります。

具体的な方法は下記のページをご覧下さい。

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5.まとめ

単純に取締役を追加する場合でも、実はこれだけの論点があります。

まずは現状把握として定款と登記事項証明書(両方とも最新の物)をチェックする必要がありますが、普段から定款や登記事項証明書を見慣れていない場合、思わぬ落とし穴に引っかかる事があります。

少しでも「分からないなぁ」と思われた場合、お気軽にお問い合わせください。

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