こんにちは。甲斐です。
独立開業や副業を行う上で、どのようなビジネスを行うのかは悩ましい問題の一つです。出来る限り小資本で楽をして・・・と言う本音もありますからね。
昨今はSNSやインターネット技術の発展で様々なビジネスを行う事ができますが、その中でもまだ根強い人気なのが「せどり・転売」のビジネスです。
取り扱う商品によっては小資本で行う事ができますし、上手くいけば利益も確保する事できる転売ですが、当然ながら「ビジネス」なので法律の規制の対象となります。
サラリーマンでも主婦でも、誰でも簡単に行う事ができる「せどり・転売」ですが、だからこそ忘れがちな法律の事について、分かりやすくお話していきたいと思います。
1.転売を行う上で意識すべき法律
① 古物商許可
ビジネスとして中古商品を仕入れ、転売するには古物営業法に基づく古物商の許可が必要です。典型的な例が古本屋で古本を仕入れ、それをAmazon等で売却するケースですね。
ここでのポイントの一つが転売を行う商品、つまり「何が古物にあたるか?」ですね。
古物営業法では、「古物」をこのように定義しています。
(定義)
第二条 この法律において「古物」とは、一度使用された物品(鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手その他政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、大型機械類(船舶、航空機、工作機械その他これらに類する物をいう。)で政令で定めるものを除く。以下同じ。)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。
前半部分は分かりやすいと思います。「一度使用された物品」ですので。
問題は後半の「若しくは~」以下ですね。ここは丁寧に理解する必要があります。
まず「使用されない物品で使用のために取引されたもの」の意味ですが、 「新品を使用する目的で購入したが、一度も使用していない状態のもの」を指します。新品未使用と言う感じですね。
「これらの物品に幾分の手入れをしたもの」は、上記の新品未使用について、「本来の用途や性質を変化させないまま、補修や修理を行ったもの」を指します。
逆に言えば、自分で使っていた物や無償でもらったものを売ったりする場合は。古物商の許可は必要ありません。
② デジタルプラットフォーム法
正式名称は「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律」で、これは転売業者を直接規制する法律ではなく、転売を行う場を提供するプラットフォーム側(メルカリ等)を規制する法律です。
具体的にはプラットフォームを提供する側に下記の努力義務があります。
- 消費者が販売業者等と円滑に連絡ができるようにするための措置
- 販売条件等に関する消費者からの苦情を受けた場合の、事情調査等の措置
- 必要に応じて販売業者の特定するための情報提供を求める措置
転売業者側としては、プラットフォーム提供者側からの事情調査等について協力する必要がありますが、適切な事業を行っている場合は問題になる事はないでしょう。
ただし、危険商品や詐欺商品を出品している悪質な取引販売業者にとっては、特定や出品停止がされやすい状況となりました。
2.店舗側の転売屋対策
インターネットを中心として「転売屋」に関してはネガティブなイメージを持たれやすくなっています。
コロナ禍の初期、マスクや消毒用アルコール、トイレットペーパー等を転売屋が買占め、Amazonやメルカリ等で高額で転売した事が社会問題になりました。
また、人気のTVゲームやガンプラが転売屋のターゲットとなっている状況を踏まえ、最近、一般店舗が「本当に必要としているお客様に商品が届かない」と、転売屋対策に本腰を入れてきています。
一人当たりの購入台数を制限したり、商品を渡す際に外装ビニールから出したり、商品の外箱に購入者の名前をフェルトペンで書いてもらったり・・・。
転売屋から見れば「転売は法律違反でもないし、こんな事されたら転売時の価格が下がる!」と頭にくるかもしれませんが、店舗側が誰にどのように売るのかは全くの自由であり、こちらも違法ではありません。
その為、起業・副業で転売を行うのであれば、このようなリスクも頭の片隅に入れる必要があります。
3.まとめ
せどり・転売はビジネスを行った事がない人でも比較的に簡単に行う事が可能です。ニーズがある商品を仕入れ、販売すると言う単純なスキームですので。
ただ「誰でも気軽に参入できる」からこそ、商売人としてのモラルや倫理が欠けた行為をやりがちになると言う側面もあります。
「違法じゃなければ良いでしょ?」と転売屋が良く言います。確かにその通りなのですが、それはあくまで転売屋側からの言い分であり「お客さん」側の視点ではありません。
ビジネスを行うのと言うのは「お客さんにとってどうなのか?」を真剣に考える事を常に意識する必要があるのです。