不動産の相続税対策で株式会社やその他の法人を設立する場合の注意点

会社設立・商業登記

こんにちは。司法書士の甲斐(@tomoya_kai)です。

ある程度の年齢の方である程度の資産がある場合、将来的な悩みとして相続税の事が挙げられるでしょう。

特にアパート等の投資用物件を所有している場合、「一体いくら相続税がかかるのか?」と不安になっても不思議ではないでしょう(相続税における不動産の評価って分かりづらいですからね・・・)。

また、具体的に相続税の試算が出来た場合、

「こんなに相続税支払う現金は無いので、どうにか対策できないか?」

と言った別の問題が出てきます。

このときに良く使われるのがアパートを株式会社や合同会社と言った法人名義する相続税対策のスキームで、書店にも関連する書籍が沢山あります。

しかし、相続税対策の為に株式会社・一般社団法人と言った法人を設立する場合、注意点があるのですが、世の中の節税コンサルタントはこの注意点にあまり触れる事はありません。

そこで今回は、なぜ株式会社や一般社団法人を設立すると相続税対策になるのか?そしてその注意点についてお話したいと思います。

1.相続税対策で法人を設立するメリット

法人設立による相続税対策の最も大きなメリットは、

(生前贈与による)贈与税を支払わずに、相続人へ財産を渡す事ができる。

という点です。

例えばアパートを所有しているのがAさん、Aさんの(推定)相続人が子供のB、C、Dさんとします。

  • アパートの名義を法人への売却若しくは現物出資等でAさんから設立する法人に変更。
  • 法人の役員を推定相続人であるB、C、Dさんとする。

その結果、家賃収入は法人の物になり、そこから「役員報酬」と言う形式で相続人に支払います(この役員報酬を将来発生する相続税の納税資金に充ててもOKです)。

これは親から子への生前贈与の形に見えますが、あくまで法人からの役員報酬なので、親から子供への贈与と言う問題は発生しません。

(ただし、所得税の問題は発生します。また、株式会社の場合は会社の株式をどうするか?と言う点も対処する必要があります。)

いわゆる「資産の分散と納税資金の確保」が法人設立のメリットですが、その他、死亡退職金の非課税を有効利用できるのも、相続税対策における法人設立のメリットです。

2.相続税対策で法人を設立する注意点

このように法人を設立する相続税対策は一般的に行われていたのですが、最近は単なる相続税対策の為の法人設立は、「法人としての実体がない(活動がない)」と言う理由で、税務署から否認される可能性があります。

また、一般社団法人を利用した節税スキームは前々から問題視されていた為、平成30年度税制改正により、一般社団法人を使った相続・贈与税対策が非常に難しくなりました。

一般社団法人を使った相続対策が封じられる その内容は? | 相続,税理士,弁護士,司法書士の実務の不安解消レガシィクラウド

一般社団法人に移した不動産などの資産について相続税が課されなかったのですが、この点を悪用し相続人に税金の負担なく財産を引き継ぐ相続税対策が広がっていた為、親族が役員の多くを占める法人の財産に相続税を課すことになったのです。

このように、相続税対策の為「だけ」の法人設立は今後も何らかの形で規制させる可能性があるので要注意です。

3.まとめ -良く分からない節税コンサルタントには要注意-

このような複雑な相続税の節税スキームを提案するのは、「節税コンサルタント」を名乗る人達ですが、実は彼らは税理士のような税の専門家でなく、勝手にコンサルタントを名乗っているに過ぎません。

税金の個別具体的な相談については税金や税実務に関する深い知識が必要であり、税理士以外の者が行うと税理士法違反になります。

節税コンサルタントは国家資格者ではありませんし、国家資格者ではないと言うことは、そもそもあなたに何かあった場合にも責任を取りません。

税金の事は専門家であり国家資格者では税理士に必ず相談するようにして下さい。

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