合同会社から株式会社に変更(組織変更)する方法を解説します

会社設立・商業登記

こんにちは。司法書士の甲斐(@tomoya_kai)です。

合同会社は設立時の費用を抑える事ができ、スモールビジネスを行う上で良く利用されている会社の形態です。

ただ、事業が順調に成長し、「やっぱり株式会社にしたい」と思う事もあるでしょう。

そこで本ページでは合同会社から株式会社へ変更する手続き(これを「組織変更」と言います。)を分かりやすく解説して行きたいと思います。

1.組織変更計画書の作成

合同会社から株式会社へ組織変更する上でまず必要になってくるのが、組織変更計画書の作成です。

組織変更計画書には、株式会社に変更した場合の基本事項を記載する必要があります。

【組織変更計画書で定める事項】

・株式会社の目的
・株式会社の商号
・本店の所在地
・発行可能株式総数
・組織変更後の株式会社の定款で定める事項
・取締役の氏名
・会計参与の氏名(会計参与設置会社である場合)
・監査役の氏名(監査役設置会社である場合)
・会計監査人の氏名(会計監査人設置会社である場合)
・合同会社の社員が組織変更に際にして取得する組織変更後の株式の数又はその数の算定方法
・上記株式の割当に関する事項
・合同会社の社員い対してその持分に代わる金銭等を交付するときはその内容
・上記の金銭等の割当に関する事項
・効力発生日、等
株式会社の設立とは異なり、合同会社が株式会社へ組織変更をする場合、公証人による定款の認証は必要ありません。

2.組織変更計画について、社員全員の同意を得る

組織変更計画書の作成が終わると、次はその計画書について、組織変更の効力が発生する前日までに合同会社の社員全員の同意を得る必要があります。

「合同会社の社員」とは従業員の事ではなく、合同会社に対して出資した者の事です。株式会社で言えば「株主」に近い存在です。

「全ての社員の同意書」は登記申請の添付書類となりますので、必ず作成する必要があります。

なお、その同意の方法は、

  • 社員全員からそれぞれ個別に同意書をもらう方法
  • 1枚の紙に社員が連名で同意の意思を示した書類を作る方法

どちらでも大丈夫です。

3.債権者保護手続きを行う

組織変更を行う合同会社は、次の事項を官報に公告して、合同会社が知っている債権者には個別に催告する必要があります。

もし債権者に内緒で会社が組織変更を行ってしまうと、変更内容にもよりますが、債権者の権利を侵害してしまう可能性があるからです。

【公告の内容】
・組織変更を行う旨
・債権者が一定の期間(1ヶ月を下る事ができない)内に異議を述べる事が出来る旨。

なお、組織変更を行う合同会社がこの公告を官報の他、定款の定めに従い時事に関する事項を掲載する日刊新聞又は電子公告によって行うときは、個別の催告は不要とされています(会社法779条)。

債権者から異議があった場合

官報への公告または個別に債権者へ催告をした結果として債権者より異議が出た場合、組織変更をしても異議を申し出た債権者に損害を与えるおそれがないときを除き、異議を申し出た債権者に対して支払い等を行う必要があります。

「債権者が異議を申し出た場合、組織変更を行う事はできない」と解説している一部サイトがありますが、それは誤りです。支払い等、会社法所定の行為を行えば組織変更を行う事が出来ます。

4.登記申請を行う

債権者保護の手続きを行い、組織変更の効力発生日から2週間以内に登記申請を行います。

株式会社への組織変更は文字通り、会社としての実態を合同会社から株式会社へ変更する手続きですが、登記上は株式会社の設立登記と合同会社の解散登記を同時に行う手続きになります。

(なお、印鑑届も新たに行う必要があります。)

登記申請の詳細は、下記法務局のサイトをご確認下さい。

商業・法人登記の申請書様式:法務局

法務局によって多少異なりますが、手続き完了までに1週間前後かかりますので、お急ぎで組織変更を行いたい場合、速やかに登記申請を行うようにしましょう。

5.組織変更に必要な書類

合同会社から株式会社への組織変更する場合、下記の書類が必要になります。

・組織変更計画書
・定款
・総社員の同意書
・代表取締役の選定に関する書類
・取締役、代表取締役の就任承諾書
・取締役の本人確認証明書
・公告及び催告をしたことを証する書面、等

6.組織変更に必要な費用

実費(登録免許税と債権者保護公告費用)で合計約10万円程かかります。

まず、組織変更にあたり必要な登録免許税が合計6万円です。

・株式会社設立の登記にかかる登録免許税:3万円(※)
・合同会社解散の登記にかかる登録免許税:3万円

※株式会社設立の登記にかかる登録免許税は、資本金の額に1000分の1.5をかけた額です。この金額が3万円未満の時は、一律3万円となります。

また、先ほどお話したとおり、債権者保護手続きの為、官報へ組織変更の公告を行う必要があります。

こちらは、官報販売所へ掲載を申し込むのですが、1行につき単価が設定されていますので、掲載行により前後しますが、3万5,000円~4万円程度になります。

従いまして登録免許税と組織変更公告費用の合わせて10万円程になります。

また、手続きを司法書士に依頼した場合、司法書士の報酬も発生します。

7.まとめ

合同会社から株式会社への組織変更は、官報公告の関係上、1ヶ月以上の期間が必要になりますので、早急に組織変更されたい方はこの期間にご注意下さい。

なお、上記の法務局のサイトをパッと見て「何だ。書類自体はとっても簡単じゃん」と思われた方もいらっしゃると思います。

実際に一部サイトでは「組織変更はそう難しい手続きではない」と断定しているケースが見受けられますが、組織変更は会社の形態を根底から変える重要な手続きであり、書類をパッと見ただけで「簡単」と判断するのは大変危険です。

ご自身で勉強されるのは良いのですが、「本当にこれで大丈夫なのか?」と少しでもご不安な場合、司法書士にご相談する事をお勧めします。当然、当事務所でも大丈夫です。

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