種類株式とは?種類株式の内容と発行の手続きを解説します

法律知識一般

こんにちは。司法書士の甲斐です。

株式会社では「株式」を発行するのが当然ですが、実はこの株式、異なる内容、複数の種類の株式を発行することが出来るのをご存じでしょうか?

通常「株式」と呼ばれているものは「普通株式」の事です。

1つの株式に与えられている権利は平等であるのが原則です(株主平等の原則)。

その為、株主はその保有する株式数に応じて、株主総会での決議権を有したり、配当を受け取けとる権利を持っています。

とは言え、株主によっては

「経営には特に興味がないけど、配当は普通の株主より優先的に欲しい!」

と言う場合もあるでしょう。

このように、法律(会社法)では普通株式とは別に「権利の内容が異なる株式」を発行することが出来るようになっています。これを「種類株式」と言います。

この種類株式を上手く活用する事により、効率的な会社経営が可能となってくるのです。

種類株式は、以下の9つ権利について、内容の異なる株式を発行することが可能となっています(この9つの権利はそれぞれ組み合わせる事も可能です)。

それでは、一つ一つ分かりやすく見て行きましょう。

1.種類株式の種類

① 剰余金の配当

剰余金の配当(株主配当)について、他の株式より優先したり、または劣後する株式の事です。

上記で少しお話した「会社経営に興味がないけど、配当は沢山欲しい」と言う場合に、この「配当優先株式」が使われます。

具体的には株主総会について決議権がない「無議決権株式」と「配当優先株式」を組み合わせます。

② 残余財産の分配

会社を解散して清算を行った場合の残った財産の分配について、他の株主より優先したり、またはは劣後する株式の事です。

上記の「剰余金の配当」に関する種類株式と性質は同じです。

③ 議決権制限種類株式

株主総会の決議事項の全部又は一部について、議決権を行使することができない株式の事です。

また、議決権を制限する具体的な事項(例えば、役員選任決議など)を細かく設定する事も可能です。

全ての株式に譲渡制限がついている会社(非公開会社)は、特に制限なく議決権制限種類株式を発行できますが、公開会社においては、議決権制限種類株式の総数は、発行済株式総数の2分の1を超えて発行することはできません。

④ 譲渡制限種類株式

その譲渡について会社の承認を要する種類株式の事です。

なお、種類株式発行後、ある種類株式を譲渡制限とする場合は、その種類株主総会の特殊決議が必要になり、それに反対の株主は、会社に対して自分が保有する株式を公正な価格で買い取ることを請求する事が出来ます。

⑤ 取得請求権付種類株式

この種類株式を株主が保有している場合、株主が会社に対してその取得を請求することができる内容の種類株式です。

取得対価として会社の他の株式、現金、新株予約権、社債等を設定することが可能です。

⑥ 取得条項付種類株式

会社が、この種類株式を保有している株主に対し、一定の事由が生じたことを条件として会社がこの種類株式を取得することが出来る内容の株式です。

「取得請求権付種類株式」が株主側からアクションを起こすのに対し、「取得条項付種類株式」は、会社側からアクションを起こす違いがあります。

⑦ 全部取得条項付種類株式

会社が株主総会の特別決議により、その全部を取得することができる種類株式です。

上記の「取得条項付種類株式」との違いは、会社が取得する際に株主総会が必要か否かと言う点です。

会社が取得する場合、「取得条項付種類株式」は一定の事由の発生、「全部取得条項付種類株式」は株主総会の決議が必要になります。

⑧ 拒否権付種類株式

株主総会又は取締役会において決議すべき事項のうち、その株主総会の決議のほかに、種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を必要とする旨の定めが設けられている株式の事です。

一定の事項について、株主総会だけではなく、その種類株式を保有している株主の「種類株主総会」を必要とする為、決議要件を厳しくしたいときに使われます。

⑨ 役員選任権規定に関する種類株式

この種類株式を保有している株主を構成員とする種類株主総会で、取締役又は監査役を選任することができる種類株式です。

指名委員会等設置会社及び公開会社は、役員選任権規定についての定めがある種類の株式を発行することができません。

2.種類株式の発行方法

普通株式しか発行していない会社が種類株式を発行したい場合、発行する種類株式の内容と発行可能株式総数を定款に規定する必要があります。

つまり、株主総会の特別決議で定款を変更する必要があり、その後に登記申請と言う流れになります。

【特別決議】
株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要。

【株主総会議事録の例】

第1号議案  定款一部変更の件

 議長は、種類株式の発行をすることに伴い、当社の定款を次のとおり変更したい旨を述べ、その賛否を議場に諮ったところ、満場一致をもって承認可決された。

【現行定款】

(発行可能株式総数)
第●条 当会社の発行可能株式総数は、1000株とする。

【変更案】

(発行可能株式総数及び発行可能種類株式総数)
第●条 当会社の発行可能株式総数は200株とし、発行可能種類株式総数は、次のとおりとする。

普通株式  1000株
甲種類株式 1000株

(甲種類株式の内容)
第●条 当会社が剰余金を配当するときは、甲種類株式を有する株主(以下、「甲種類株主」という。)又は甲種類株式の登録株式質権者に対し、普通株式を有する株主に先立ち、甲種類株式1株につき年●円の剰余金を配当する。
2 甲種類株主は、株主総会において議決権を行使することができない。
3 甲種類株主は、会社法第322条第3項但書の場合を除き、甲種類株主を構成員とする種類株主総会において議決権を行使することができない。

(以下1条ずつ繰り下げる)

第2号議案  募集株式の発行に関する件

 議長は、第1号議案が承認されたことに伴い、資本金の額を●●万円増加して●●万円としたい旨を述べ、下記の要領により募集株式を発行したい旨を述べ、その可否を議場に諮ったところ、満場一致をもって承認可決された。

 

1 募集株式の数 甲種類株式●●株
2 募集株式の発行方法 第三者割当てとする。
3 募集株式の払込金額 1株につき金●万円
4 募集株式と引換えにする金銭の払込期日 令和3年●月●日
5 増加する資本金額及び資本準備金額 金●●万円(資本準備金 金0万円)
6 払込取扱金融機関 株式会社●●銀行●●支店

 第3号議案  募集株式割当ての件

 議長は、第2号議案にて可決された「募集株式の発行に関する件」に関しての割当事項を以下のとおりとしたい旨を述べ、その可否を諮ったところ,満場異議なくこれを承認可決した。

 

1 募集株式の数 甲種類株式●●株
2 割当て方法  第三者割当とし、発行する募集株式を次の者に与える。

東京都町田市町田中央北南一丁目2番3号
山田 太郎  ●●株

3 条件 上記第三者から申込みがされることを条件とする。

※上記の通り、発行可能株式総数及び発行可能種類株式総数の定款変更を行う必要があります。

3.まとめ

この9種類の種類株式を上手く使い分けたり、組み合わせたりすることで、さまざまな経営上の問題を解決する事が可能となります。

さまざまな経営上の問題について、この種類株式の活用を一つの手段として検討してみても良いと思います。

この記事の執筆者(文責)
司法書士 甲斐智也

起業支援と商品・サービスのコンサル化のお手伝いもする司法書士|マーケティング思考でコンセプトをしっかりと考えた会社設立します|2級FP技能士|たまに心理カウンセラー|某球団マスコットの中の人の経験あり

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