こんにちは。司法書士の甲斐です。
会社を作り事業を継続していくと、既に登記された会社の項目について変更したい時、もしくは変更が必要になってくる時があります。
例えば、ブランディング戦略の為、会社名をもっと分かりやすくしたり。戦略上、会社の目的の変更が必要になったり。
変更の理由は様々ありますが、会社名(商号)や会社の目的は後から変更する事が可能です。
そして、その為には会社法及び商業登記法上のルールに則った手続きが必要になってきます。
そこで今回は、会社の登記申請を常日ごろから行っている司法書士が、会社名(商号)及び会社の目的の変更に関する手続きを、分かりやすく解説していきます。
1.会社名・会社の目的を変更する場合の注意点
① 会社名
法律上、同一の所在地で同じ名前の会社は登記する事が出来ません。
その為、変更しようとしている会社名が、同一所在地で既に登記されていないか確認する必要があります。
② 会社の目的
会社の目的は「適法性、営利性、明確性」と言う要件を満たす必要があります。
「適法性」は、違法行為を会社の目的とする事はNG。
「営利性」はボランティア等の非営利活動を目的とする事はNG。
「明確性」は誰が読んでも理解できる明確な内容を目的としなければいけない、と言う意味です。
また、会社の目的は許認可に関連する事ですので、許認可の要件を落とさないような目的にする必要があります。
2.会社名・会社の目的を変更する手続き(株主総会)
会社名や会社の目的は定款の記載事項です。
その為、株主総会の特別決議で定款の変更手続きを行う必要があります。
【特別決議】
議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要となる決議です。
【株主総会議事録サンプル】
臨時株主総会議事録
令和2年7月15日午前10時00分当会社本店において臨時株主総会を開催した。
株主総数 3名
発行済株式の総数 300株
議決権を行使できる株主の数 3名
この議決権の数 300個
出席株主数(委任状による者を含む) 3名
この議決権の数 300個
出席取締役(3名) 山田太郎、山田二郎、山田三郎
議長兼議事録作成者 山田太郎上記のとおり定足数にたる株主の出席があったので、代表取締役山田太郎は議長席に着き、議事に入る。
第1号議案 定款変更に関する件
議長は、下記の通り当会社の定款の変更を行いたい旨を述べ、その可否を議場に諮ったところ、満場一致の決議をもって原案どおり可決確定した。
1 定款第1条を次のとおり変更すること。
(商号)
第1条 当会社は,商号を株式会社ヤマダ商会と称する。2 定款第2条を次のとおり変更すること。
(目的)
第2条 当会社は,次の事業を営むことを目的とする。
1 医療用機器の製造販売
2 健康食品の売買
3 前各号に附帯する一切の事業以上で本日の議事を終了し、議長は午前10時30分閉会を宣した。
上記の決議を明確にするため、本議事録を作成し、議長及び出席取締役が記名押印する。
令和2年7月15日
株式会社 ヤマダ商会 臨時株主総会において
議 長・代表取締役 山田太郎 ㊞(会社実印)
取締役 山田二郎 ㊞
取締役 山田三郎 ㊞
3.会社名・会社の目的を変更する登記申請
会社名や会社の目的の変更の効力が発生してから2週間以内に、管轄の法務局に対して登記申請を行います。
株式会社変更登記申請書
1.会社法人等番号 0000-00-000000
フリガナ ヤマダショウカイ(注1)
1.商 号 株式会社ヤマダ商会
1.本 店 東京都町田市〇〇一丁目2番3号
1.登記の事由 商号の変更 目的の変更
1.登記すべき事項 別紙のとおりの内容をオンラインにより提出(注2)
1.登録免許税 金6万円(注3)
1.添付書類
株主総会議事録 1通
株主リスト 1通上記のとおり登記の申請をします
令和2年7月15日
申請人 東京都港区港町北南三丁目4番5号
株式会社ヤマダ商会
東京都町田市町田町一丁目2番3号
代表取締役 山田 太郎 ㊞(会社実印)
連絡先の電話番号 〇〇〇ー〇〇〇ー〇〇〇〇〇〇地方法務局 御中
注意1・・・フリガナは「株式会社」を除いた部分で大丈夫です。
注意2・・・登記すべき事項はCD-Rでの提出も可能です。
注意3・・・商号変更(3万円)+目的変更(3万円)=合計6万円です。
どちらか一方のみ変更する場合は3万円です。
【登記すべき事項】
「商号」
株式会社 ヤマダ商会
「原因年月日」令和2年7月15日変更
「目的」
1 医療用機器の製造販売
2 健康食品の売買
3 前各号に附帯する一切の事業
「原因年月日」令和2年7月15日変更
登記申請に関する詳細は、下記法務省のホームページもご参照下さい。
4.まとめ
会社名や会社の目的を変更する場合、基本的には「定款変更手続き+登記申請」と言う流れになります。
しかし、会社の現状によっては他の手続きが必要になる場合もありますので、ご自分での手続きが不安な場合、一度司法書士に相談する事をお勧めします。
当事務所でも会社の登記に関するご相談は随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。