個人事業主が利用できる「商号登記」とは?

会社設立・商業登記

こんにちは。司法書士の甲斐です。

個人事業主は株式会社や合同会社とは異なり、登記をする義務はなく気軽に起業する手段としては優れています。

とは言え登記の義務が無い=株式会社と比較してどうしても信用面に関するデメリットがあるのですが、この信用面を補う事ができる「商号登記」と言うのが存在するのをご存じでしょうか?

この商号登記、法務局での登記申請は株式会社と比べて少ないのですが、それなりのメリットもあります。

今回は個人事業主が利用できる、この商号登記についてお話していきたいと思います。

1.「商号登記」とは?そのメリット

商号登記とは、個人事業主の屋号を法務局に登記できる制度です。

株式会社や合同会社とは異なり、個人事業主は登記申請の義務はありませんが、商号登記を行う事により、個人事業主として活動している事を広く認知させる事ができ、取引先にとっても安心材料を与えると言うメリットがあります(登記事項証明書も取得できますので)。

また、株式会社や合同会社と同様、印鑑(印影)を届け出ることにより、その印鑑を事業用の実印として使用する事ができます(印鑑証明書も法務局から発行されます)。

取引先によってはこの「事業用の実印や印鑑証明書」を求めてくる場合がありますので、個人的にはこの「印鑑を届け出ることができる」は商号登記の最大のメリットだと思います。

2.登記すべき事項

商号登記で登記すべき事項は以下のとおりです(商業登記法第28条第2項)

・商号
・営業の種類
・営業所
・商号使用者の氏名及び住所

ここでポイントになるのは2番目の「営業の種類」です。株式会社で言う「会社の目的」に似ているように思えますが、実は異なります。

ここでいう営業の種類の「営業」とは商法上の「商行為」の事で、つまり、登記をする営業の種類は商法上の商行為である必要があります。

商法上の商行為は商法第501条~503条で定義されており、これらの条文に記載されている内容を登記します。

例えば飲食店の場合、株式会社であれば目的として「飲食店の経営」で良いのですが、個人事業主が商号登記を行う場合、営業の種類として商法第502条第1項第7号の「客の来集を目的とする場屋における取引」が該当します。

【場屋(じょうおく)】
客の来集を目的とする場所です。旅館や飲食店等がこの場屋に該当します。

しかし、実際に営業の種類を実際にどのように登記するのかは、専門書籍で調べる必要があるでしょう。

3.商号登記のやり方、必要書類

商号登記の申請方法は会社の登記と基本的には同じで、上記の登記事項を記載した登記申請書を作成し、個人事業主の営業所を管轄する法務局へ提出します。

なお、商号登記の登記申請書は法務局のWebサイトでは公開されていませんので、会社の登記申請書を変更して作成するようにして下さい(登録免許税は3万円です)。

また、登記申請と併せて印鑑届出書と印鑑カード交付申請書も提出しましょう。その際、個人の印鑑証明書が必要になってきますので時間がある時に取得しておきましょう。

印鑑届出書の具体的な記載方法は下記法務局のWebサイトを参照して下さい。

【印鑑届書(商号使用者・記載例)】

4.まとめ

先ほどお話したとおり、商号登記は株式会社や合同会社の登記と比べて、法務局への登記申請の件数が非常に少なく、インターネット上でも情報があまり公開されておりません。

その為、普段から各種法律の条文と照らし合わせて会社の登記を行うと言った事に慣れていない場合、思うように作業が進まない事もあるでしょう。

商号登記の事でお困り・お悩みの場合は、お気軽に司法書士にご相談下さい。

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熱き志を持つ起業家を法律とマーケティングで支援する司法書士。趣味はキックボクシングと朗読。

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