資本金が1円の会社の問題点。安易に考えるのは危険ですよ

財務・会計・税務

こんにちは。甲斐です。

その昔、株式会社を設立する時には資本金が最低でも1,000万円必要でした(ちなみに、取締役も3人必要でした)。

ところが新しい会社法が施行され、この資本金の最低額が撤廃され、「資本金が1円」の会社でも設立する事が可能となりました。

私自身も実際に資本金が1円とか数万円と言った会社の登記事項証明書を何社も見たことがあります(資本金が1円の会社の設立には携わった事はありませんが・・・。)。

資本金が1円とか数万円と言った低額の場合、簡単に会社が設立する事が出来て起業家にとってはメリットがあるような感じがしますが、果たして資本金が1円の会社にはデメリットはないのでしょうか?

今回は、そんな資本金が1円の会社のデメリットのお話になります。

1.資本金とは?

資本金とは簡単に言うと「会社が事業を行う上で元手となるお金」の事です。

会社はこの元手を使ってパソコン等の必要な備品を購入し、仕入れを行い、商品を販売し利益を増やしていきます。

なお、資本金についての詳しい情報は、下記のページをご覧下さい。

さてこの元手ですが、1円や数万円と言った低額の場合、具体的にどのような問題が出てくるのでしょうか?

それでは実際にその問題点を見て行きたいと思います。

2.資本金が1円の会社のデメリット

① 会社(あなた)にとってマイナスブランディングになる

一番のデメリットはこれであり、今回お伝えしたい話の全てです。

資本金が1円の場合、「会社(あなた)にとってマイナスブランディング」になります。

会社の登記事項証明書は法務局で簡単に取得する事ができます(郵送でも取得する事が可能です)。

企業同士の取り引きの場合、事前に必ず「この会社と取り引きをしても良いのか?」と言う調査が行われ、登記事項証明書も必ずチェックされます。

その時に取引先予定の会社の資本金が1円とか数十万円の場合、高確率で取り引きする事を拒否されるでしょう。

「資本金なんてただの数字。大切なのは経営者の人間性!」

と言う考えの方もいるでしょう。しかし、これは企業間の取り引きでは大きく間違っています。

企業間の取り引きではトラブルを未然に防ぐ事が何より求められており、会社として少しでも見栄えが悪いようであれば、門前払いされるのが当たり前なのです。

あなたがどんなに「人間性だ!」と思っても意味はありません。大切なのは相手にどう思われるか?です。

資本金1円の会社は、客観的にはマイナスブランディングにしかならないのです。

② 許認可が必要な事業は一定の額の資本金が要求される

例えば建設業や派遣事業を行いたい場合、一定の資本金が必要になってくる事があります。

このように資本金が低額な場合、やりたい事業ができないと言う事も起こり得るのです。

③ 銀行からの融資が下りない

銀行は慈善事業でお金を貸すのではなく、あくまでビジネスとしてお金を貸します。

つまり、「きちんと返してくれる会社にお金を貸す」のですが、資本金が1円の場合「本当にこの会社大丈夫なのか?」とやはりマイナスブランディングになってしまうのです。

その為、いざ「お金が必要!」と思った時に身動きが取れなくなってしまうのです。

④ 簡単に債務超過に陥ってしまう

債務超過とは簡単に言うと「負債が資産を上回っている状態」の事を指します。

債務超過になればすぐに倒産するわけではありませんが、やはり見栄えが悪い状態であり、銀行でお金を借りようとしても、まず断られるでしょう。

3.ではどうすれば良いか?

このように資本金が1円とか数十万円の場合、デメリットが非常に大きいのですが、その解決策はあります。

そう、増資をすれば良いのです

例えば新規に株式を発行し、資本金を増やす事で会社としての見栄えは良くなるでしょう。

(ただし、増資しすぎると消費税等、色々な問題が出てきますので、増資する金額には要注意です。)

4.まとめ

起業はある意味簡単に出来ますが、簡単である事=何も考えなくても良い訳ではありません。

特にビジネス系インフルエンサーは

「会社なんて簡単に出来る。起業なんて簡単に出来る」

と煽るような主張をしますが、これらの主張に載せられて中身のない会社を作ってしまう事は、正にマイナスブランディングとなります。

マイナスブランディングはデジタルタトゥー化しやすく、何年何十年もあなたを追い詰める事になりますので、「起業する意味」はしっかりと考えるようにしましょう。

【お気軽にお問い合わせ下さい】
起業やパーソナルブランディングに関する提供中サービスはこちら。

甲斐 智也

甲斐 智也

表現者。元舞台俳優。演劇を活用した論理と感性のハイブリッドコンサル。趣味はキックボクシングとランニング

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甲斐 智也

甲斐 智也

表現者。元舞台俳優。演劇を活用した論理と感性のハイブリッドコンサル (詳しい自己紹介は画像をクリック!)。

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