国家資格である士業の存在理由・使命とは?

法律知識一般

こんにちは。司法書士の甲斐です。

まずはこちらのツイートをご覧下さい。

これについては何人かの方からご指摘があり、私の認識が正しくない部分があったようです。税理士は納税の最小化を任務と考えていることが多いので、非課税事業者の消滅が不満なのかもしれません。

馬場正博  @realwavebaba

簡単に言うと「税理士は税金を安くするのが仕事」と言う趣旨の発言で、会社経営者の中にも「税理士は税金を安くしてナンボ。そうじゃない税理士に存在意義はない」なんて考えている人もいます。

同じく弁護士も「黒を白にするのが弁護士の仕事」と思っている人がいたり。

まぁ、実際にそのような士業がいるのは否定できませんが、士業の存在意義や使命の本当のところな何なのか?と言うのが今回のテーマになります。

1.士業の存在理由は法律にある

各士業は国家資格なのですが、国家資格とは、

日本では国家資格とは国の制度に基づいて、各種分野における個人の能力、知識が判定され、特定の職業に従事すると証明されるものとされる。また資格の制度に法的な裏付けが存在し、そこ(根拠法)に資格付与方法・資格付与基準についての明確な記述があり、中央省庁または都道府県レベルの地方自治体が所管する資格を指す。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

と言うのが一般的な定義です。

  • 資格の制度に法的な根拠があり
  • 各種分野における個人の能力、知識が判定される(試験がある)

と言うのが大きな特徴です。

資格制度が存在する究極的な理由は「人(会社等の法人も含む)の未来に大きな影響を及ぼす可能性がある」からです。

例えば離婚調停。

婚姻と言う重大な法律関係を消滅させる手続きですので、高度な専門的知識と判断力が必要になってきます。

だからこそ弁護士以外の人間が個別具体的な相談にのったり、代理人になる事ができないのです。

我々司法書士の登記業務もそうです。

自称「法律に詳しい人」が他人の登記申請を行った結果、当事者に重大な問題を引き起こしている事が良く起こっています。

このように「当事者の未来に大きな影響を及ぼす事がある」ので資格制度は存在しているのですが、その為の各士業の使命や目的と言うのが、実は各法律で規定されているのです。

2.各士業の使命・目的

① 弁護士

弁護士法の第1条にこのように規定されています。

(弁護士の使命)
第一条 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。
2 弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。

まず、「人権派弁護士」と呼ばれる(ときには揶揄される)弁護士がいますが、この使命規定を見る限り、全ての弁護士は基本的人権を擁護する必要があります。

「社会正義の実現」については様々な議論がありますが、先程お話した「黒を白に変えるのが弁護士」ではないのは、この条文から明らかでしょう。

② 税理士

税理士法第1条にこのように規定されています。

(税理士の使命)
第一条 税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。

憲法上、国民は納税の義務を負いますが、その納税義務の「適正な実現」を図るのが税理士の使命です。

「納税義務の適正な実現」なので脱税は当然NG。納税義務者の為に各種税法に基づき適切な手続きを行う(結果として税金が安くなる事はありますが)のが、税理士の使命であり存在理由となります。

③ 司法書士

最後に司法書士法を見てみましょう。司法書士法第1条です。

(司法書士の使命)
第一条 司法書士は、この法律の定めるところによりその業務とする登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家として、国民の権利を擁護し、もつて自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする。

登記も訴訟も当事者に対する影響が大きいですので、

  • 国民の権利を擁護すること
  • 自由かつ公正な社会の形成に寄与すること

が使命であると定められています。

物凄く壮大な使命であり、他の士業の使命・目的規定同様、非常に厳しくかつ重要な規定と個人的には考えています。

3.まとめ

今回ご紹介した以外の士業にも各法律に使命・目的規定が定められてします。

確かに、必要以上に税金を安くするだけに意識したり脱税を指南する税理士、黒を白に変えようとする弁護士は存在しますが、それはあくまで少数派です。

多くの士業は各士業の根拠となる法律に定められた使命・目的を大切にし、日々業務を行っていますのでご安心下さい。

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