会社設立の流れと登記。株式会社の作り方を司法書士が分かりやすく解説!

会社設立・商業登記

こんにちは。司法書士の甲斐(@tomoya_kai)です。

さて今回は、起業を考えている全ての方に対して、常日頃から会社設立を行っている、会社設立の専門家である司法書士が、会社設立(法人化)の全手順やそのメリット・デメリットについて分かりやすく解説していきたいと思います。

現在、会社設立に関する知識がインターネット等で簡単に手に入れる事が出来ますよね?また、ブログサービスやSNSの発展し、起業する事も簡単に出来る世の中です。

さらに、2020年から猛威を振るった新型コロナウィルスが経済をズタズタにし、「会社に頼らず、自分の力で稼いでいきたい!」と健全な危機意識を持たれる方が増えてきています。

実際に当事務所にも起業、副業、会社設立に関するご相談が増えご依頼を頂いている状態なのですが、起業家の動向をリサーチしていると、最近ある事を感じるようになりました。

それは、「(特にビジネス系インフルエンサーに)煽られて起業したけれど、全然事業が上手く行っていない起業家が多い」と言う事です。

「ブログは簡単!SNSは簡単!YouTubeは簡単!ビジネスなんて簡単!」って信じて独立したのに、全然簡単じゃないじゃん!!!」

確かに、これからはサラリーマンであっても起業家のように生きるのが重要になってきますし、タイミングを見て独立するもの重要になってきます。

しかし、起業や会社設立は正しい知識や手順で行い、正しい考え方でビジネスに取り組まなければ簡単に失敗するでしょう。

特に最近、

  • 本来は法律上会社設立を行う事が出来ない、司法書士ではない業者が
  • 格安で会社設立」を行う事を謳い文句に、
  • 多くの起業希望者を集客し、起業希望者がその業者の誘いに乗せられ、
  • 安易に会社を設立してしまい、

その結果、事業に失敗されている方のご相談も増えてきています。

司法書士ではない者が他人の依頼を受けて会社設立を行った場合、その会社設立行為は無効になる可能性があります。司法書士以外の会社設立代行業者には十分ご注意下さい。

人生において失敗をする事は必ずしも悪いわけではありませんが、会社を設立し事業で失敗する事は、あなたの人生に大きな傷を残す可能性があります。

今まで築き上げた人間関係が一瞬に崩壊する事や家族との仲が険悪になったり、人間不信に陥る事もありますので・・・。

そのような起業家をゼロにする為に、当事務所では起業や会社設立に関する相談を行っているのですが、本ページではその中から会社設立(法人化)の全手順とそのメリット・デメリットをお話していきたいと思います。

ビジネスを成功させるポイントは「すぐに鵜呑みにせず常に疑問を持ち、正しい情報を得て、正しい手順を行い自分の頭で考える事」です。

起業や会社設立に関する情報は「自称」専門家も含め玉石混交です。まずは「何が正しいのか?」をじっくりと見極めるようにしましょう。

それでは、スタートです!

1.会社設立(法人化)のデメリットとは?

① 個人事業主よりも、多くの金銭的コストが発生する

最初に会社設立(法人化)する際のデメリットからお話しましょう。

会社設立(法人化)すると、個人事業主の時より多くの金銭的コストがかかってきます。

まず、会社設立そのものにもコストがかかります。

株式会社を設立する場合、公証人や法務局への実費が約20万円(若しくは約24万円)、合同会社の場合、6万円がかかります。

これは手続き上必ず発生する実費であり、さらに司法書士に会社設立を依頼した場合、司法書士報酬がプラスで発生します。

司法書士報酬は、事務所により異なりますがだいたい10万円ぐらいです。これより高ければ何らかの付加価値がプラスされている可能性が高く、これより低ければ何らかの手順が簡素化されている可能性が高いでしょう。

ここから少し、残酷なお話をしますね。

株式会社を設立した場合、司法書士に依頼したらその費用は30万円を超えます。

これらの費用が「高いなー」と思った場合、会社設立するのは辞めた方が良いです(と、言うより、そもそも起業しない方が良いです)。

起業すると言う事は全ての責任を自分で負う事になります。ビジネスの場は基本的に誰も助けてくれない戦場ですし、将来の安定性もゼロです。

だから「稼ぐ事」が必要になってくるのですが、30万円ぐらいの金額を「高い」と感じる場合、絶対に稼ぐ事ができないので起業をしない方が良いです。

これはそもそもお金に対する考え方、マインドが「起業家」になっていないので、まずはそこから意識を変えていく必要があるでしょう。

② どんなに赤字でも、住民税が最低7万円発生する

実は会社も住民税を支払う必要があります。「法人住民税」と言うヤツです。

起業家自身も住民税を支払うのに、会社も支払う必要があるんですね。

そしてこの住民税、「均等割」と言う制度があり、会社が赤字であっても毎年約7万円の住民税を納付する必要があるのです。

個人事業主の場合、所得がゼロであれば所得税もゼロです。

➂ 社会保険はひとり会社でも強制加入!

法人化をすると社会保険に加入する義務が発生します。

従業員を雇った場合は勿論、ひとり会社(代表取締役=唯一の株主)の場合でも、社会保険への加入は義務となります。

社会保険料は各従業員と折半となりますが、その金額は各従業員の年収に対して約14%です。

例えば一人で会社設立して、役員報酬を年500万円と設定した場合、500万円×14%=約70万円です。

結構高いですね・・・。

なお、社会保険は住民税と同様、会社が赤字であっても納付の義務があります。

社会保険についてサラリーマンの時は意識しておらず、むしろ「手取りが減る悪魔のような存在」のような感覚だったかもしれませんが、社会保険は会社を運営する上で大きなコストになるのです。

④ 専門家への依頼も多くなり、報酬も発生する

「会社は作ったらお終い!」ではなく、その後も様々な登記手続きが発生します。

・役員の任期が満了したら役員の就任、退任の登記申請。
・本店を移転したら本店移転の登記申請。
・株式を発行したら発行済み株式や資本金の増加の登記申請。

等々、細かな登記が発生する事が多々あり、その手続きを司法書士に依頼した場合、司法書士への報酬が発生します。

また、会社の規模が大きくなった場合、社会保険の手続きが煩雑になってきますので、社会保険労務士に手続きを依頼する事もあるでしょう。その場合も報酬が発生します。

さらに、経営者を悩ますのが確定申告です。個人事業主の所得税とは異なり法人税は若干難易度が高いため、日頃の会計業務を税理士にお願いする事もあるでしょう。

その場合の税務顧問料が毎月発生します。

なお、法律・税務に関する事だけでなく、経営コンサルタントやマーケティングの専門家の力を頼る事だってあるでしょう。

このように、会社としてビジネスをしっかりと回していく為には、外部の専門家に相談・依頼するコストが増えていきます。

なお、このような本業以外の業務について、何でもかんでも自分でやられる方がいますが、これはお勧めしません。

経営者はあくまで経営について専念すべきであり、その他の業務は外部の専門家を積極的に活用すべきです。

それが結果的に会社経営が上手く生き続ける秘訣なのですから。

➄ 会社を畳む(清算)時にも、コストが発生する

私の知り合いでもコロナ禍で会社を畳んだ方がいらっしゃるのですが、会社を畳む場合も費用が発生します。

会社を畳む(「清算する」と言います)場合、法務局に対して会社の解散の登記や清算結了に関する登記申請を行います。

また、解散時の確定申告も必要になりますので、登記や税務の事を司法書士、税理士にそれぞれ依頼した場合、それぞれの報酬が発生します。

赤字続きで会社を畳もうとしているのに、さらに金を取るつもりか!!!

と言う声が聞こえてきそうですが、ルールとしてそうなっているので仕方がないのです。


いかがでしょうか?

ここまで「デメリット!」「コスト!」と連発したら、何だかやる気が無くなってしまいそうですね。

確かに会社を作る事は簡単に出来ますが、会社を経営する事は非常に難しいのです。誰かに乗せられてノリで会社を作っても確実に失敗します。

でも、会社設立にもメリットがあるんです!

ここからは気分を変えて、会社設立のメリットのお話をしていきましょう。

2.会社設立(法人化)のメリットとは?

① 取引先からの信用が得られやすい

法人化の一番のメリットはこの「信用力」でしょう。

最近は個人事業主でも法人からの仕事を受注しやすくなっていますが、それでもそれなりの規模の企業では、会社(法人)相手でないと取引をしない。という会社が存在します。

例えひとり会社であっても、法人であるか否かの印象は全く異なってきますし、個人事業主とは比較にならないぐらいの「大きな仕事」を受注できるチャンスがあります。

② 銀行からの融資が受けやすくなり、許認可事業や事業承継も行いやすくなる

上記の「信用」にも関係してくるのですが、法人化すると個人事業主の時よりも融資を受けやすくなります。

銀行から見れば、個人事業主より法人の方が「ちゃんとビジネスするんだな」と見てくれるんですね。

さらに、許認可が必要な事業を法人で行う場合もメリットがあります。

例えば「不動産仲介業」を個人事業主で行った場合、その事業を子供に継がせたい場合は子供があらためて許認可を取る必要がありますが、法人で許認可を取っている場合、あらためて許認可を取り直す必要はありません。

法人とは法律上「一人の人間」であり、法人が得た許認可は法人のものであり、株主や取締役等の役員が変ったとしても「法人そのもの」は何も変わらないからです。

また、事業承継も個人事業主であれば業務に使用している全ての物を引き継がせる必要がありますが、法人の場合は基本的に株式を譲渡する事で事業承継が終了します。

➂ 責任が「有限」になる

個人事業主の場合、例えば取引先とトラブルとなり取引先に損害を発生させて場合、個人の財産でその損害を賠償する必要があります。

一方法人の場合であれば、原則として会社の財産で損害を賠償すれば良く、社長個人の財産で損害を賠償する必要はありません。

会社の財産でまかえない場合、会社は倒産するかも知れませんが、社長個人は支払いを免れます。

この点で言っても、法人と社長個人は「別人」なのです。

ただし、社長個人が連帯保証人等になっている場合は、社長個人の支払義務が発生します。

以上、会社設立(法人化)のメリットとデメリットをお話しました。

どうでしょう?起業するのは誰も助けてくれない怖さがある反面、依頼者の方の悩みをダイレクトに解決する事ができ、自分自身の力で稼ぐ事ができます。

会社設立のメリット・デメリットを良く考え「それでも起業したい!」と思われた場合は、是非会社を設立し、起業をしましょう!

3.会社設立はどこの誰に相談したら良いのか?

さて、会社設立のメリット・デメリットを理解した上で「会社を作ろう!」と思ったら、別の問題が発生します。

会社設立って誰に相談すれば良いのか?」と。

実際に様々な業種の人間が「会社設立の専門家」を謳っているのですが、実際に会社設立の手続きを行えるのは、法律上司法書士しかいません。

(登記だけではありませんよ。定款作成を含め、会社設立における全ての手続きを司法書士は代理可能です。)

それを踏まえた上で、司法書士以外の士業が会社設立においてどのように関わっているのか、本当の所を見て行きましょう。

① 行政書士が行う会社設立

会社設立における行政書士の仕事は「定款の作成」のみです。

登記申請に必要な書類を作成したり、登記申請を行う事は司法書士法違反(犯罪行為)となります。

つまり、行政書士は会社設立の途中までしか出来ないのです。

② 税理士が行う会社設立

会社設立を税務面からみてアドバイスは出来ますが、定款、登記申請に必要な書類の作成や登記申請を税理士が行う事は違法行為(犯罪行為)となります。

税理士事務所は良く「会社設立0円」と広告を打っていますが、これはあくまで提携している司法書士に仕事を流しているだけであり、狙いはあくまで会社設立後の税務顧問です。

➂ その他、良く分からないコンサルタント

士業ではないのですが、「会社設立の専門家」と謳っているコンサルタントがいますが、当然定款も登記申請に必要な書類を作成する事は出来ません。

何だか良く分からないコンサルタントには十分ご注意下さい。

4.会社を自分で設立する?それとも司法書士に頼んで設立する?それぞれのメリットとデメリット

司法書士と司法書士以外の会社設立の専門家(?)の違いは以上ですが、「そもそも司法書士に依頼せず、自分で会社設立手続きを行う」と言う選択肢もあります。

それでは、司法書士に会社設立を依頼する場合のメリットとデメリットを見て行きましょう。

① メリット

会社設立は勉強さえすれば自分でも出来ますが、専門家である司法書士に依頼した場合の一番のメリットは「時間の節約」です。

司法書士であれば会社設立の手続きの全てを代理する事が可能です。

その為、定款の作成や登記申請のための勉強をする必要はありませんし、公証役場や法務局に行く必要はありません。

あなたは会社経営者としての本来の仕事に集中する事が出来ます。

② デメリット

司法書士に会社設立を依頼した場合のデメリットは、「報酬が発生する」事です。

司法書士事務所により異なりますが、会社設立の代理手続きはだいたい10万円前後です。

この費用を節約されたいのであれば、時間をかけて勉強し、ご自身で会社設立手続きを行っても良いでしょう。

③ freeeやマネーフォワードで誰でも簡単に会社設立できるのか?

「自分で会社設立手続きをやろう!」と考えた場合、freeeやマネーフォワードと言ったツールの利用が考えられます。

これらは元々会計ツールなんですが、自分で会社設立が出来ちゃうツールもあって、その為「会社設立なんて簡単」と言う情報が出回っているんですね。

では本当に誰でも簡単に出来るのかと言うと、実際にfreeeやマネーフォワードの画面を見た事がある人は分かると思うのですが、

・ここに会社名入力してね。
・ここは本店所在地だよ。
・この項目には会社の目的を入れてね、この中から選んでも良いよ。

・・・と言った感じで、会社設立に必要な情報を入力するシステムになってるんですね。

つまり、会社名とか会社の目的とか事業年度とかは、あらかじめ自分で決めておく必要があるんです。

その必要項目は法律上・税務上の論点があるのですが、freeeやマネーフォワードはその必要項目について、法律上・税務上の論点から適切なのかを判断してくれませんし、責任も持ってくれません。

ただ必要事項を入力して、そこでお終いです。

また、設立登記の審査を行う法務局も、提出された書類があくまで登記申請上適切かどうかを判断するだけで、「会社法、商業登記法上問題ないけど他の法律上問題があったり、会社運営上こうした方が良い」と言ったコンサルティング的な判断は行ってくれません。

なので、「会社設立の事は全く分からない!」と言うレベルの人には、正直使いこなす事が出来ないシステムなので、その点は十分ご注意下さい。

5.会社設立をする場合「株式会社」か「合同会社」のどちらかを選択

さて、ここからいよいよ会社設立の本題に入って行きます。

会社法上、会社の種類として「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」の4つの形態があります。

実際は「合名会社」「合資会社」を設立するメリットはほぼありませんので、「株式会社」か「合同会社」のどちらかを選択する事になります。

では、株式会社と合同会社の違いを見て行きましょう。

① 株式会社とは?

株式会社は教科書的に言えば「出資する人(株主。会社の所有者)」と「経営をする人(取締役)」が別人である事を前提とした会社です。

「所有と経営の分離」と言うヤツです。

会社に対する重要な意思決定は株主(株主総会)で行うのが基本ですが、「取締役会」を設置すると、多くの意思決定は取締役会で行う事になります。

「株主」と「取締役」が別人である事が前提ですが、日本の多くの中小企業は「株主=取締役」となっています。

日本の会社形態では一番多いのがこの株式会社です。

② 合同会社とは?

合同会社は株式会社とは異なり、「出資する人」と「経営をする人」が同じ人である事を前提とした会社の形態です。

有名な会社で言えばAmazonやAppleの日本法人、スーパーでおなじみの西友が合同会社です。

合同会社の株式会社との主な違い(メリット)は下記の通りです。

・設立費用(実費)が安い。
(株式会社:約20~24万円。合同会社:約6万円。)
・公証人による定款の認証の必要がない。
・役員の任期がない(重任登記を行う必要がない)。
・決算の公告義務がない(決済書類の作成は必要)。

➂ 「株式会社」「合同会社」どちらを選択すれば良いか?

株式会社と合同会社、どちらにした方が良いのか?と言う点ですが、そのポイントは、あなたのビジネスは「対外的な見た目を重視すべきか?」と言う点です。

昔と比べ合同会社は認知されるようになりましたが、知らない人は「合同会社って何?」と思うでしょう。さらに、人間は自分が知らない事に対して良く調べもせず「胡散臭い」と感じる生き物です。

また、銀行から融資を受ける必要があるビジネスも注意した方が良いかも知れません。銀行全体として合同会社に理解はあっても担当者によっては合同会社に対する理解がない事があり得ます。

その為、

・新規案件を獲得する為、積極的に対外的な信用を得る必要がある。
・銀行から多額の融資を受ける必要がある。

このようなケースであれば、株式会社がお勧めです。

逆に

・紹介営業や経営者個人のキャラクターで営業が十分成り立つ。
・銀行から融資を受ける必要がない。

・このようなケースであれば、合同会社でも良いでしょう。

なお、設立後に対する税金の負担は株式会社と合同会社、違いは全くありません。

また、合同会社を設立して、後から株式会社に組織変更をする事も可能です。
(ただし、その時は費用が発生します。)

6.株式会社の設立方法(設立の流れ)

それでは、実際に会社設立(株式会社)の流れをお話しましょう。

なお、ここから先の情報は公証人や法務局と実際にやりとりを行っている司法書士ならではの視点が入っています。

実務を行っていなければ知り得ない情報も入っておりますので、何度も読み返す事ができるよう、ブックマーク等を行う事をお勧めします。

【会社設立の流れ】

  • Step1
    必要事項を決め、定款を作成する。
  • Step2
    公証人の定款の認証をしてもらう。
  • Step3
    会社実印等の作成を行う。
  • Step4
    資本金の払い込みを行う。
  • Step5
    その他、登記申請に必要な書類の作成を行う。
  • Step6
    印鑑届出書、印鑑カード交付申請書の作成
  • Step7
    その他、管轄法務局へ登記申請を行う。

7.【Step1】必要事項を決め、定款を作成する

定款とは会社のルールを定めた物です。また、株式会社を設立する場合、定款を作成し管轄の公証人から認証を受ける必要があります。

まずは必要事項を決め、定款を作成する事が会社設立の第一歩となります。

定款には、

  • 絶対的に記載しなくてはいけない「絶対的記載事項」
  • 定款に必ず記載しなければいけない事項ではありませんが、定款に記載がなければ、その定めの効力が生じない「相対的記載事項」
  • 法律に反しない内容であれば、会社が任意で決めた事項を定款に記載することができる「任意的記載事項」

があります。

【絶対的記載事項】
・商号(会社名)
・目的
・本店の所在地
・設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
・発起人の氏名または名称及び住所
・発行可能株式総数

まずは以上の項目を決めていきましょう。

① 会社名(商号)を決める

会社名は起業家の「思い」が詰まった重要な項目です。

テキトーな名前を付けている人が多いのですが、取引先等から

「どういう思いで会社名を付けられたのですか?」

と質問される事が多々ありますので、以下のポイント・注意点を抑えた上で、あなたらしい会社名を付けましょう。

前株か後株かもしっかりと決める

会社名は株式会社であれば「株式会社」、合同会社であれば「合同会社」を付ける必要があるのですが、前につけるのか後につけるのかもしっかりと決めましょう。

例えば「株式会社ビジネス」と「ビジネス株式会社」と言った感じです。

なお、会社名には「ひらがな」「漢字」「ローマ字」及び一部の符号が使用出来ます。

会社名で使用できる符号は下記の通りです。

「&」(アンパサンド)
「’」(アポストロフィー)
「,」(コンマ)
「-」(ハイフン)
「.」(ピリオド)
「・」(中点)

上記の符号は、文字を区切る際の符号として使用する場合に限り用いることが出来ます(商号の先頭や末尾に用いることはできません)。

ただし、ピリオドについては省略を表現するものとして、商号の末尾に使用する事が出来ます。

なお、商号で使用できる文字、符号を使用したとしても、公序良俗に反するような商号の場合は登記が認められません。

同一所在地で同一の会社名はNG

会社名は登記されるのですが、そのルールとして「同一所在地で同じ会社名は登記できない」と言うルールがあります。

その為、会社名の候補を考えたら「同一所在地で同じ会社がないか?」を必ずチェックしましょう。

調査方法は最寄りの法務局で会社の登記事項証明書を取得します(同一本店、同一商号の会社が無ければ、登記事項証明書が取得できないハズです。)。

また、登記情報提供サービスに登録する事で、インターネットで同一本店、同一商号の会社が無いかをチェックする事が出来ます。

【登記情報提供サービス】
登記所が保有する登記情報をインターネットを通じて、パソコン等の画面上で確認できる有料サービスです。

この「同一所在地、同一商号」のチェックを怠り万が一登記が出来なかった場合、全ての手続きを一からやり直す必要があります。

この会社名の調査は絶対に行うようにして下さい。

良く「Google等の検索エンジンで同一所在地・同一商号のチェックをすれば大丈夫」と解説しているWebサイトがありますが、これは大きな誤りです
Webサイトで公開している本店所在地と登記上の本店所在地が異なる会社は沢山存在します。その為、必ず法務局や登記情報提供サービスで同一所在地・同一商号のチェックを行うようにしましょう。

会社名の候補が「商標登録」がされていないかチェックを行う

候補とした会社名が商標登録をされている場合、その名前を使用する事が難しくなりますので、商標登録がされていないかのチェックも必ず行うようにしましょう。

商標登録については、以下のようなWebサイトで調べる事が出来ます。

商標を検索してみましょう | 経済産業省 特許庁

同一所在地ではなくても、同じ会社名がないかチェックを行う

同一所在地であれば同じ会社名を登記する事は出来ませんが、少しでも位置がずれていれば同じ会社名で登記を行う事は可能です。

とは言え、例えばインターネットで検索したら、同じ会社名が本店所在地予定の近くにある場合、注意が必要です。

なぜなら、登記は出来ますが相手先企業から損害賠償をされる可能性があるからです。

「会社名」はブランドそのものであり、同じ会社名を付けると言う事は相手先の企業から「自社のブランドを毀損された」と受け取られる可能性があるからです(不正競争防止法、等)。

長すぎる名前はNG。覚えやすい会社名にする

稀に長すぎる会社名(10文字以上とか)にする方がいらっしゃいますが、あまりに長い会社名だと当然ながら電話応対等で自社名を名乗るのにも一苦労します。

その為、会社名は長すぎず、取引先等から覚えて貰いやすい名前にしましょう。

【商号のポイント】
・テキトーに付けず、こだわりの名前にする。
・商号調査は絶対必須!素人はこの商号調査を甘くして後々トラブルになる事も。

② 事業目的を決める

会社は目的の範囲内でのみ活動を行う事ができます(目的外の行為を行った場合、その行為は無効となります)。

事業目的は将来行う予定の事業を含め、いくつでも登記する事が出来ますが、あまりにも多いと銀行やその他取り引き先から、

「この会社は結局何をやっている会社なのか?」

と不審に思われる可能性がありますので、多くても10個程度にしましょう。

登記された目的の一部を変更する際、変更しない目的も含めすべて抹消し、あらためて全ての目的を登記し直す必要があります。例えば、目的が20個あってその内の一つだけを変更したくても、手続き上は20個を全て抹消し、20個の目的を新たに登記します。
その為、目的の数が多いとこの作業が煩雑になりますので、この視点から考えても目的は多くしない方が良いのです。

また、許認可が必要な事業を行う場合、適切な目的を定めておかなければ許認可が降りません。

その為、事前に許認可の要件を確認し、それに則した事業目的を定めましょう。

なお、事業目的を定めるにあたって、「適法性、営利性、明確性」と言う要件を満たす必要があります。

適法性

殺人とか詐欺とか賭博とか違法な行為をイメージする事業目的は、登記する事が出来ません(まぁ、当たり前と言えば当たり前ですが・・・)。

営利性

株式会社や合同会社等は、利益を得ることを目的としています。その為「ボランティア事業」などの非営利事業を会社の目的とすることはできません。

明確性

会社の目的は、誰が読んでも理解できる明確な内容でなければなりません。例えばその業界の人間にしか分からない用語がある場合、広辞苑やその他の辞典などに記載されている言葉で表現し直す必要があります。

この事業目的は銀行や取引先企業から「この会社と取引しても良いのか?」と判断されるポイントの一つであり、会社設立において最重要事項になってきます。

相手の立場になって考えれば当然ですよね?

事業目的をパッと見て何をやっているか良く分からない会社、そんな独りよがりな会社とは付き合いたくないですよね?

だからこそ、事業目的は会社設立において最重要項目であり、真剣に考える必要があるのです。

【★実務の視点その1★】そもそも、定款に記載する「会社の目的」とは?

ほとんどの定款には目的の欄について「当会社は下記の事業を行う事を目的とする。」と記載されています。つまり、定款に記載すべき会社の目的とは「事業」なんですね。

会社の目的で良く「〇〇コンサルタント」と記載されたものを見かけますが、「コンサルタント」は職業、職能であり事業ではありません。その為、この場合は「〇〇コンサルティング」等とすべきです(でも「コンサルタント」でも登記できますが・・・)。

その他、「〇〇の経営」「〇〇事業」「〇〇業務」と言ったように、あくまで「事業」を記載すべきです。細かい部分ですが、このような事を丁寧に考える事で対外的に「しっかりとした会社」と見られるのです。

【★実務の視点その2★】法人口座の開設を断られるのは、ぶっちゃけ会社の作り方が悪いから

Twitter等でたまに「銀行から法人口座の開設を断られた!」なんてツイートを見かける事があります。

銀行から断られた理由が「実績が無いから」と言うのが多いのですが、実はこれは建前の理由で、本当の原因は他にあります。そもそも、会社設立当初は「実績が無い」のが当たり前ですので。

銀行が新規に法人口座を開設する際の懸念点は下記の2点です。

・「ちゃんと法人としての実体があるのかな?反社会的勢力の隠れ蓑じゃないのかな?」
・「開設した口座が悪用されないかな?」

この懸念点を払拭できる要素の一つが「目的」なのです。

目的を見ても何をやるのかよく分からない会社(「各種サービス業」のようにザックリとしすぎていたり、目的が多すぎていたり)は、口座開設においてマイナスポイントになる可能性があるのです。

③ 事業目的を決める上での考え方はズバリこれ!

会社の目的はネットで検索するとサンプルらしいものが出てくるのですが、それらのサンプルを継ぎはぎして作っても一貫性がない目的になります。

一貫性を持たせた会社の目的にする為には、まずは主な業務を2、3個決めて、その主な業務について付属的にやりたい事をストーリで考え膨らませると言うやり方がベターでしょう。

例えば「喫茶店」の経営をしたい場合、まずは会社の目的として「飲食店の経営」が考えられるでしょう。

お店で作っているデザート等をテイクアウトやその他のイベントで販売したい場合は「食料品の販売」。

インターネットで商品を販売したい場合「インターネット等を活用した通信販売」。

経営者として結果を出し、そのノウハウを公開したいのであれば「飲食店関連のセミナーの企画、開催及び運営」「飲食店の集客等のコンサルティング業務」。

このような流れで考えると一貫性があり、他の人が登記事項証明書を見てもその会社がやりたい事が一目瞭然です。

1.飲食店の経営
2.食料品の販売
3.インターネット等を活用した通信販売
4.飲食店関連のセミナーの企画、開催及び運営
5.飲食店の集客等のコンサルティング業務
6.上記各号に附帯関連する一切の業務

どうでしょう?一貫性やストーリーがあって、会社がやりたい事が明確に分かる目的だと思いませんか?

会社の目的はひな型的な物を利用すれば頭を使う事なく出来てしまいますが、それでは会社設立上問題がなくとも、「見た目」として第三者から拒否される可能性もあります。

会社の目的は思いっきり頭を使って、「ブランディング」を意識する必要があるのです。

【目的のまとめ】
・目的で会社の見た目の9割が決まる。
・事業に幅を持たせる為、ある程度抽象的にすべきだが、ザックリすぎるのは避けた方が良い。
(例:〇飲食店の経営 ×店舗の経営
・目的は詰め込みすぎない。多くても10個程度に収める。20個も30個もある会社は怪しさが倍増する。法人口座の開設を断られる事も。

④ 本店所在地を決める

次に決めるのが「本店所在地」つまり、会社の住所です。

この本店所在地も会社名と同様、注意点・ポイントがありますので、分かりやすくお話していきます。

事務所を借りる場合は、必ず「商号調査」を行ってから借りること

同一所在地では同じ会社名を登記する事が出来ません。

その為、事務所等を借りる場合は必ず上記の商号調査を行い、問題が無い事を確認した上で事務所を借りる様にして下さい。

自宅を本店にする場合は、大家さんの許可を必ず取る

事務所を借りなくても自宅を本店所在地とする事は可能です。

ただし、自宅が賃貸物件の場合、必ず大家さんの許可を得るようにして下さい。

賃貸借契約上、居住用として物件を借りているので、違う用途で賃貸物件を使用すると言う事は、場合によっては賃貸借契約解除の事由になります。

その為、必ず大家さんの許可を得るようにしましょう。

バーチャルオフィス、コワーキングスペースを本店にする場合

最近は登記ができるバーチャルオフィス、コワーキングスペースが増えていますが、バーチャルオフィス、コワーキングスペースは会社設立後の法人口座開設が出来ない場合があります。

つまり、「本当に実態がある会社なのか?」と銀行の審査で落ちる可能性があるんですね。

その為、バーチャルオフィス、コワーキングスペースを利用する場合は「法人口座が開設できた実績があるのか?」と言う点も調べましょう。

許認可が必要な事業は、事前に許認可の要件をチェック

許認可が必要な事業を行う場合、本店の所在地や床面積等が許認可の要件となっている場合があります。

その為、これらの細かい要件もしっかりと抑えるようにしましょう。

賃貸借契約は個人名で契約

会社は登記される事で誕生します。

その為、会社設立の登記がされる前はこの世には会社は存在しない為、事務所の賃貸借契約は個人名で行う必要があります。

賃貸借契約を提携する際、会社が成立した後から契約を会社名義に変更したい事を事前に不動産会社に説明しておきましょう。

(なおその場合、名義変更に関する費用が発生する事があります。詳細は必ず不動産会社に確認するようにしましょう。)

定款や登記上の本店所在地は、省略できる項目がある

本店所在地は定款の記載事項ですが、定款に記載する場合は最小行政区画(●●市。東京都であれば●●区)まででOKです。

このように最小行政区画までにしておくと、同じ行政区画で本店移転した場合、定款の変更を行わずに済みます。

また、登記上の本店は番地(〇丁目〇番〇号)まででOKで、マンション名や建物名を省略して登記する事が出来ます。

ただし、登記上はマンション名・建物名は省略しても、Webサイトや名刺にはマンション名・建物名はしっかりと表記するようにして下さい。

来客される方が困ってしまいますからね。

【★実務の視点その3★】本店所在地はビル名も入れた方が良いのか?の最適解

定款に記載する本店所在地は最小行政区画まででOKですが、登記事項としては住所全てを登記する必要があります。

ただし、上記の通り建物名(〇〇ビル等)は省略でき、実務上も建物名を省略して登記している会社も多いと思います。

ただ、一点だけ注意点があります。それは、「法務局や税務署等の官公署は、登記上の住所宛てに郵便物を送付する」と言う点です。

つまり、ビル名がなければこれらの官公署からの郵便物が届かないと言う可能性が出てきます。

そのビルに自社名の看板や郵便ポストに社名を張っていれば郵便物は配達してくれると思いますが、それが出来ない場合、建物名や部屋番号も登記した方が良いでしょう。

⑤ 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額

これは資本金の事です。昔は資本金の額について最低額が定められていたのですが、現在は法律が改正され、資本金は1円でも大丈夫です。

しかし資本金は登記されますし、「資本金1円」の会社は見栄えが良くありません。

相手の立場にたって考えれば「資本金1円の会社」とは取り引きしたくないでしょう。

さらに、許認可や融資の関係で一定以上の資本金が必要になる事がありますので、低すぎる資本金はお勧めしません。

一般的に多いのが300万円とか500万円ですが、最低でも100万円はあった方が良いです。

なお、資本金は1株いくらの株式をいくら発行するかによって決まります。良くあるパターンが1株を1万円や5万円にし、発行する株式を決めて、資本金を決定する方法です。

(例)1株を5万円とし100株発行=500万円が資本金。

(1株をいくらにするかについて、特にルールはありませんが、あまり低い金額で設定すると発行する株式が多くなります。一般的な1万~5万円内で設定するのがお勧めです。)

なお、資本金は上記の通り、融資を受ける時に重要になってきますが、起業当初は出来る事であれば融資は避けるべきです。

と言うのも、最近の起業家の方は「事業用の借金は悪ではない」と言う意識が強すぎて、「どうやって返すのか?」と言う認識がそもそも甘いからです。

しかし、事業で借金をする目的は「その借金でビジネスを行い、借金以上の金額を稼ぐ事」にあります。

最初から融資ありきで起業する人はこの意識が非常に甘く、結果的に借金の返済に苦労されている人が多いのです。

だからこそ、「まずは事業コンセプトをしっかりと固め、借金をしっかりと返していける体制を作る」事が必要になってくるのです。

【★実務の視点その4★】お金がないのであれば、そもそも会社を作っちゃダメ

たまーに資本金を借入金で用意しようとする人がいるのですが、それは絶対にNGです。

資本金とは返済する必要がないお金であり、借入金で資本金を用意する事は「見せ金」に該当し、違法行為になります。

【資本金のまとめ】
・1円とか1万円とか、あまりにも低い資本金は対外的な信用はない。
・事業資金の借り入れや許認可にも関係してくる可能性あり。
・借り入れ金から資本金を用意するのは絶対NG

⑥ 発起人の氏名または名称及び住所

「発起人」とは、設立後の株式会社の株主であり、かつ実際に会社の設立の手続きで動く人の事です。

一人起業の場合、発起人=代表取締役と分かりやすいのですが、数人の仲間と起業する場合、もしくは一人起業であっても他に出資者を募る場合、その出資割合には注意が必要です。

株式会社は様々な事について株主総会で決めていく事になりますが、取締役の解任は過半数以上の株式を持っていれば可能になります。

つまり、あなたが代表取締役であり、他の株主が過半数の株式を有する場合、株主総会でいつでもあなたを解任する事が可能になってきます。

なお、解任のための正当な理由がない場合には、解任された元取締役は損害賠償請求権を有します。

取締役の選任・解任以外にも、株式会社の主だった事項については、過半数の株式を所有する株主の賛成が必要なってきます。その為、例えば友達と二人で出資し、その割合が50:50の場合、意見の不一致があれば何も決められない状態になり、会社運営が滞る事になります。

このように、自分以外の人が発起人となる場合、様々なトラブルに発展する可能性がありますので、出資比率には十分に注意するようにして下さい。

基本的には誰かが全株式の過半数を取得するようにして下さい。

⑦ 発行可能株式総数

発行株式総数は文字通り、「発行する事ができる株式の総数」です。

会社設立に際して発行する株式数未満にする事ができないのは当たり前ですが、会社設立後に株式を発行する事があるのか?と言った視点で決めると良いでしょう。

なお、後からご紹介する「公開会社」の場合、発行可能株式総数は、発行済の株式総数の4倍を超えることができません。

⑧ 事業年度

ここから先は定款の絶対的記載事項ではありませんが、実務上記載されている事が当たり前となっている項目をご紹介します。

事業年度は「いつからいつまでを1事業年度とするか?」を決める事であり、会社の決算のタイミング(決算期)を決めることです。

日本では3月決算の会社が多いのですが、別に3月にする必要はなく、どの月にしても大丈夫です。

とは言え、事業年度は決算作業の円滑を図る視点と消費税の納税の視点、この二つの視点で決める事が重要になってきます。

決算作業の円滑を図る視点

会社にとって決算は1年に1回必ず行う必要がありますが、大きな事務負担が伴いますので、下記のような決算期は避けた方が良いでしょう。

・繁忙期、在庫が多い時期。
・設立直後に決算期が来る場合。
・顧問税理士の繁忙期

消費税の納税の視点

消費税は「基準期間」における売上高が1,000万円を超えると納税義務が発生します。

「基準期間」とはその事業年度の前々事業年度です。つまり、2年前の売上高で判定するのですが、会社設立時は2年前の売上高はありません。

その為、会社を設立すると、原則として消費税の納税義務が2事業年度免除されますので、会社設立の際は第1事業年度が出来るだけ長い期間になるよう、設立日から遠い日を決算日とした方が良いでしょう。

例:令和2年5月10日を設立日とする場合、毎年5月1日~翌年4月30日を事業年度とする。

【★実務の視点その5★】売上高と給与等の支払いが早々に1000万円を超えそうな場合

実は消費税に関しては、上記の「基準期間」以外にも「特定期間」と言う別の判定期間が存在します。

「前年または前事業年度の上期」(特定期間)において、売上高および給与等の支払いが1,000万円を超える場合、消費税の納税義務が発生します。

例:令和2年5月10日を設立日とし、毎年5月1日~翌年4月30日が事業年度。設立から10月末(上期)までに売上高と給与等の支払いが1,000万円を超えた場合、消費税の納税義務が発生します。

このように会社設立から半年間で売上高および給与等支払額が1,000万円を超えた場合、免税期間が第1期のみとなります。

しかし、消費税法は前事業年度が7ヶ月以下の場合、その事業年度は特定期間に該当しないと規定しています。

そこで、設立初年度開始日から6ヶ月の間に売上高と給与等支払額が1,000万円を超える見込みがある場合、設立初年度を7ヶ月以下になるよう事業年度を設定すると(2年間でありませんが)1年7ヶ月を免税にする事が可能になります。

設立する会社の実情にあわせて、事業年度をどうするかを考えた方が良いでしょう。

⑨ 株式を非公開(譲渡制限付き)にするか?

株式は自由に譲渡する事が出来るのが原則ですが、小規模な会社の場合、予期せぬ株主が現れる事により会社運営上不利益になる事があります。

その為、「株式を譲渡する場合、会社の承認を要する」等、株式に譲渡制限を付ける事で予期せぬ株主の出現を未然に防ぐ事が出来ます。

※全ての株式について譲渡制限がついた会社を実務上「非公開会社」と呼びます。

広く投資を募る事を予定していない場合、株式は譲渡制限付きの非公開会社にした方が良いでしょう。

⑩ 役員の任期

取締役や監査役と言った役員を誰にするのかを決めます。

【取締役】
会社の業務執行をしたり、意思決定をする人です。なお「社長」と言う言葉は法律(会社法)では出てきません。あくまで(代表)取締役です。

【監査役】
取締役の業務や会計の監査をする人です。会社のチェック係です。

一人で起業するのであれば、株主=(代表)取締役と分かりやすいのですが、何人かと起業する場合、その出資者も取締役とするのか?と言った検討が必要でしょう(株主が必ず取締役になる必要はありません。)

また、会社の規模や取締役会を設定した場合、監査役を必ず設置する必要がありますので、その点も注意しましょう。

8.【Step2】定款の認証

上記の定款に必要な情報を決めたら、定款を作成します(定款に必要な情報をしっかりと考えたら、freeeやマネーフォワード等を利用して定款を作成しても良いと思います。)

定款を作成したら、管轄の公証人に連絡を取り、定款認証の為の予約を取ります。またその際、作成した定款をFAXもしくはメール等で公証人に事前に見て頂き、問題が無いかをチェックしてもらって下さい。

予約日時が確定したら、当日必要な手数料と必要書類を聞いて、当日忘れないように持参しましょう。

ここでの公証人のチェックは、会社設立における法的な問題をチェックするだけです。会社設立以外の隠れた法的問題や経営上の問題はチェックの対象になりませんのでご注意下さい。公証人の管轄は下記のサイトから確認する事ができます。

公証役場一覧 | 日本公証人連合会
全国各地の公証役場のご紹介です。日本公証人連合会。

また、「実質的支配者となるべき者の申告書」も必要になってきますので用意しましょう。

7-4 定款認証 | 日本公証人連合会
公証事務に関する疑問にお答えいたします。日本公証人連合会。

【★実務の視点その6★】公証人は職人さん?

定款を事前に公証人にチェックしてもらった場合、法律上何も問題がなくても公証人から「この部分をこのように訂正して」と指示がされる事があります。

特に職人気質(?)の公証人は一文字一文字にこだわりがあり、細かく修正を求めてくる場合がありますが、「法律上何も問題ないじゃん!」と思って公証人とケンカしても仕方がないので、大人しく指示に従うようにしましょう。

9.【Step3】会社実印等の作成

定款認証の予約日時は公証役場の込み具合にもよりますが、若干日にちが空きますので、この期間を利用して会社実印等を作成しましょう。

インターネット上で「会社実印セット(実印、銀行印と認印のセット)」と言うのが販売されていますので、そちらを利用すると良いでしょう。

なお、会社実印の作成は必ず「商号調査」を行い、問題がないと判明した後に作るようにしましょう。

先走って印鑑を作ってしまい、後からその商号が使えないと分かった場合は、印鑑を作り直す手間が発生してしまいます。

10.【Step4】資本金の払い込み

定款を作成し、公証人にチェックしてもらい問題がないようであれば、資本金の払い込みを行います。

資本金の払い込みは、公証人の定款の認証の後ではなく、定款の作成後で大丈夫です。

【発起人が一人の場合】
一人会社の場合であれば個人の通帳(口座)に対して払込をします。その方法は「振込み」でもOKですし、「預入れ」でもOKです。

【発起人が複数の場合】
発起人が複数いる場合は、資本金の払い込み方法にご注意下さい。

一つの方法は発起人それぞれの口座にそれぞれの出資金を払い込む方法です。

例えば発起人Aが70万円、発起人Bが30万円を払い込む場合、AがAの口座に70万円、BがBの口座に30万円をそれぞれ払い込みます(振込みでも預入れでもどちらでもOKです)。

もう一つの方法は、全ての発起人が一人の発起人の口座に払込を行う方法です。

上の例で言えば、Aの口座に対してAが70万円、Bが30万円を払い込む方法です。

なおこの場合、「誰が払い込みをしたのか?」を明確にする必要がある為、AもBもAの口座に対して「振込み」を行い、通帳上に名前が残るようにする必要があります。

資本金の払い込みが完了したら、通帳の

・表紙
・表紙から1ページ目をめくった部分
・振り込み内容が記帳されているページ
を鮮明にコピーし、下記「資本金の払込があった事の証明書」を表紙にして左側をホッチキスでとめ、会社実印で各ページを契印します。

【資本金の払込があった事の証明書(例)】

証明書

当会社の設立時発行株式については以下のとおり、全額の払込みがあったことを証明します。

設立時発行株式数    500株
払込みを受けた金額   金500万円

令和2年9月3日

株式会社スターダスト横浜

設立時代表取締役    山田太郎 (注:押印する印鑑は会社実印です。)

【★実務の視点その7★】資本金の払い込みはいつするの?

資本金の払い込みは上記の通り、定款の作成が終わった(公証人のチェックが終了し、定款に作成年月日を入れた後)に資本金の払い込みを行うようにしましょう。

この順番を間違えると資本金の払い込みをやり直したり、最悪の場合は会社設立の登記申請を取り下げる必要が出てきます。

11.【Step5】その他、登記申請に必要な書類の作成

定款の認証、資本金の払い込みが終了したら、登記申請に必要な書類を作成します。

実務上良く使われるのが、「設立時取締役選任及び本店所在地決議書」と「資本金の額及び資本準備金の額に関する同意書」です。

下記にサンプルをご紹介します。

あくまでサンプルです。会社の状況、形態により必要書類が異なってきますのでご注意下さい。

設立時取締役選任及び本店所在地決議書

令和2年9月4日株式会社スターダスト横浜創立事務所において、発起人全員出席し、その全員の一致の決議により、次のように設立時取締役を選任及び本店所在地を決定した。なお、被選任者は即時に席上で就任を承諾した。

設立時取締役  横浜市泉区和泉中央北南123番地4 山田 太郎

本店所在地     横浜市泉区いずみ台一丁目2番3号

上記決定事項を証するため、発起人の全員は次のとおり記名押印する。

令和2年9月4日

株式会社スターダスト横浜

発起人 山田 太郎 

同意書

本日発起人全員の同意をもって、下記事項について定める。

1  資本金の額        金500万円

1  資本準備金の額    金0円

上記事項を証するため、発起人全員記名押印する。

令和2年9月4日

株式会社スターダスト横浜

発起人 山田 太郎 

注:両書類とも、押印する印鑑は発起人の実印

12.【Step6】印鑑届出書、印鑑カード交付申請書の作成

会社設立登記を申請する場合、同時に会社実印の印影を届け出る必要があります。

その為の書類は「印鑑届出書」、印鑑証明書の発行に必要がなのが「印鑑カード交付申請書」になりますので、この2つの書面も事前に作成しておきます。

申請書は下記法務局のサイトをご確認下さい。

登記事項証明書(商業・法人登記)・印鑑証明書等の交付請求書の様式 :法務局

登記事項証明書(商業・法人登記)・印鑑証明書等の交付請求書の様式 :法務局

【★実務の視点その8★】印鑑届は、一応任意だけど・・・

現在の法律では印鑑の届出は任意になっていますが、その原則と例外が非常に入り組んでおり、規定が分かりにくくなっています。

また、銀行等から融資を受ける際やその他、重要な契約を行う場合、会社の印鑑印鑑証明書の提出を求められる事もありますので、印鑑の届出は行った方が無難です。

13.【Step7】登記申請書作成、登記申請手続き

必要書類が全て整いましたら、登記申請書を作成し、印鑑届出書、印鑑カード交付申請書と共に管轄の法務局へ登記申請書を提出します。

登記申請書の具体的な作成方法は下記法務局のサイトをご確認下さい。

商業・法人登記の申請書様式:法務局

なお、登記申請書に添付する書類についてはコピーを添付する事で原本還付が可能です。

【★実務の視点その9★】法務局は会社設立の手続きについて親切丁寧に教えてくれません

「会社設立は法務局がやり方を親切丁寧に教えてくれるので、自分でやっても大丈夫」と言う情報がインターネットで出回っていますが、この情報は本当なのでしょうか?

確かに、(全ての法務局がそうではありませんが、)「親切丁寧に教えてくれる法務局がある」のは事実です。

しかし、このような法務局の対応は本来間違っているのです。

その理由は単純明快で、会社設立の登記申請は「審査」があり、その審査基準に満たない申請は却下される性質のものだからです。

分かりやすく補助金を例にしてお話します。

補助金とは国や地方公共団体が事業者に対して、原則返済不要なお金を支給してくれる制度で、一定の条件や申請、審査が必要になります。

「審査が必要」、つまり「誰でも受け取れるものではない」んですね。

その為、事前に「補助金を受け取りたいんです。その方法を教えて下さい。」と国や地方公共団体に相談したとしても、必要書類の案内はあるかも知れませんが、申請に重大な影響を及ぼす中身まで親切丁寧に教えてくれません(そんな事すれば大問題です)。

会社設立の登記申請も「審査」がなされるものであり、事前に審査が通るような書類の作り方等を手取り足取り法務局が教える事は本来NGです。

しかし、現状ではこのルールが厳格に守られておらず、なし崩し的に手取り足取り教えてしまっているのです。

その為、

「会社の目的、こんな感じで問題ないですよね?」
「定款作ったんですが、問題がないかチェックしてもらえますか?」
「事業年度、税金面的にOKですか?」

なんて質問しても、法務局からの回答は一切ありません!

法務局に相談すれば、素人でも確実に会社設立の事を親切丁寧に教えて貰える訳ではありませんし、丁寧に教えて貰えなかったとしても文句を言うのは筋違いなんです。

どのような申請でもそうですが、申請に必要な事項や書類は、自分で勉強して作成するのが基本です。

「法務局でチェックして貰えば良い。親切丁寧に教えて貰えるから」

なんてビジネス系インフルエンサーの話は鵜呑みにしないように十分ご注意下さい。

「法務局が会社設立の手続きをちゃんと教えてくれない!しょせんは役所か!」なんて批判は的外れですし、「すげぇ親切丁寧に教えてもらった!」場合は本来出来ない事をやってもらったルール違反なので、ラッキー程度に思って下さい。

14.まとめ -起業の相談はお任せ下さい!-

最後までご覧頂き、ありがとうございます。

ここまでご覧になって頂いたと言う事は、あなたは会社設立に非常に真剣に考えていらっしゃると思います。

そこで正直な感想をお聞きしたいのですが、会社設立って簡単だと思いましたか?それとも難しくてとても無理だと思いましたか?

会社設立について解説したWebサイトは山ほどありますが、多分ここまで細かく解説して、司法書士自らが作ったページは他にないと思います。

ただそれでも伝えきれていない部分が実は沢山あるんです。

もしこのページをご覧になられて「自分でやってみよう!」と思われたら、それで大丈夫です。

でも、「こんなの無理。時間がない!」と思われた場合、お気軽に当事務所にご連絡下さい。

当事務所の会社設立は、司法書士が行う一般的な会社設立は勿論、マーケティングの視点にたった会社設立であなたのビジネスをサポ―トします。

ご相談は全国対応可能です。あなたからのお問い合わせ、お待ちしております。

マーケティング思考の会社設立・起業支援
具体的なビジネスコンセプトの相談も含めた会社設立会社を設立する為には登記が必要です(会社法第49条)。会社設立に関しては定款をはじめ様々な書類を作成する必要があり、またそれらの書類は会社法や商業登記法等に照らし合わせて適切に作成する必...
タイトルとURLをコピーしました