「会社設立が自分で出来るサイト」を使用する際のポイントをお話します

会社設立・商業登記

こんにちは。司法書士の甲斐(@tomoya_kai)です。

個人事業主が法人成りを考える際、会社の設立登記を行う必要があります。

この設立登記と言えば原則として司法書士の独占業務なのですが、昨今はインターネット上で定款や設立登記に必要な書類を作成する事が出来るサイトが多々あります。

ユーザーの利便性を考えた場合、このように自分で簡単に登記申請に必要な書類を作成できる事は非常に喜ばしい事かもしれません。

しかしその一方で、会社法や商業登記法と言った会社設立に必要な法律知識がない状態で、本当に適切な会社が作れるの?と言う疑問も出てきます。

この点が非常にモヤモヤしていたのですが、実は知り合い(司法書士ではない)が、某「会社設立に必要な書類が自分で作れるサイト」を利用していましたので、ちょっと見させて頂きました。

確かに、会社法・商業登記法の前提知識がない人でも、簡単に会社設立に必要な書類を作成する事ができますが、ちょっとしたポイントがあり、このポイントを外すと大きな不利益になる可能性があります。

今回はその「会社設立を自分で出来る」サイトを利用する場合のポイントをお話します。

1.商号調査の必要性

商号と言うのは会社の名前の事です。

使用できない文字等を除いて、原則として好きな名前を付ければ良いのですか、商号については一つだけ注意点があります。

それが、同一本店所在地において同じ商号が使用されていないか?と言う商号調査です。

同一本店所在地で同一の商号が使用されている会社が先に登記されている場合、登記申請が却下されますので、物件を借りる時に商号調査を行うべきです。

仮に同一本店所在地で同一の商号の会社が登記されている場合、所在地を変更するか商号を変更する必要があります。

「会社設立を自分で行うサイト」では、この商号調査は出来ないようですので、別途調査を行うようにして下さい。

2.役員の任期について

役員の任期は原則として2年間、株式に譲渡制限を付ける事で10年まで延長する事が出来ます。

サイトで初めに設定されている任期は2年間となっており、それをそのまま利用している会社が結構あります。

しかし、特に何の理由もなく2年にしている場合、2年毎に役員の選任登記を行う煩雑さがあり、実際にこの「2年毎」の登記を忘れている会社が多いのです。

その為、特に理由が無いのであれば、株式に譲渡制限を設けて、役員の任期を10年とした方が良いでしょう。

ただし、任期10年は長く、役員の選任登記を忘れがちになります。任期の管理はしっかりと行うようにして下さい。

3.目的について

会社は目的の範囲内でのみ活動をする事が出来ます。

また、許認可が絡む事業を行う場合、適切な目的が入っていなければ許認可が認められません。

ですが、「会社設立を自分で行うサイト」では、あくまで目的を自分で選ぶ方式になっていますので、適切な許認可の為の目的について、別途検討する必要があります。

4.役員の構成について

仲間内で会社を作る場合、その出資比率をどうするのか?取締役会を設置するのか否か?と言う事を検討する必要があります。

「会社設立を自分で行うサイト」は基本的にこれらの事を事前に決めた上で後は入力するだけ、と言う体になっていますので、ご自身で検討し決める必要があります。

基本的に仲間同士での会社設立は色々と問題があり(ケンカ別れ等)お勧めはしないのですが、それでも仲間と一緒に会社を設立した場合、出資の比率を調整して、一人だけでも会社の意思決定を行えるようにした方が良いでしょう。

5.定款について

定款は会社の基本的なルールを定めたものです。

「会社設立を自分で行うサイト」を利用した場合、商号や本店所在地等、決められた項目を入力すると、定款も自動的に作成される仕組みになっています。

基本的には入力した項目+ひな形として用意された条文が合体され、定款が作成されるようになっているのですが、このご自身で入力した条項以外の「ひな形」の部分について、実際に作る会社の実態に即して問題がないか?と言うチェックは誰も行ってくれません。

公証人は法律上問題がある項目は指摘してくれますが、会社の実態や経営上問題がある項目はチェックしてくれません。
その為、何十条にも渡る条文について問題がないか、一つ一つご自身でチェックする必要があるのです。

6.まとめ

「会社設立を自分で行うサイト」は便利ですし、専門家に支払う費用を抑える事が出来ます。

ただし、ここまでお話して分かるとおり、「会社設立を自分で行うサイト」は商号や本店所在地等、自分で決める事を前提として、後は決められたフォームに入力するだけ、と言う体になっています。

つまり、商号、本店所在地等、会社設立について必要な事項をご自身で全部決めて、その事項について問題が無いかをご自身でチェックする必要があるのです(サイト側はチェックしてくれません)。

「会社設立を自分で行うサイト」はテキトーに項目を入力する事で書類が簡単に作成できますが、そのようなテキトーに作られた会社に、どれだけの価値があるでしょうか?

「会社設立を自分で行うサイト」は非常に便利ですが、何かあった場合の責任は自分で負うと言う前提で利用するようにしましょう。

「いや、ちょっと自分では無理そう。そもそもテキトーにしたくないし。」

と思われた場合は、お気軽にご連絡下さい。

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