会社の成長規模にあわせて見直した方が良い定款の内容とは?

法律知識一般

こんにちは。司法書士の甲斐です。

一人社長として起業し、事業が順調に成長した場合、新しい役員を入れたり外部の株主から出資してもらうと言った事があります。

それはそれで非常に素晴らしい事なのですが、ただ一つ注意点がありまして、「定款」については状況によっては見直す必要があるでしょう。

なぜなら、一人社長として会社設立した場合の定款はシンプルな場合が多く、役員や株主が増え、組織としての規模が大きくなった場合、一人社長時代の定款では会社の現状とは大きく乖離している場合があり、そのままでは様々な問題をはらむ危険性があるからです。

では実際にどのように定款を見直していけば良いか?詳しくお話していきたいと思います。

1.役員の任期は本当に10年で良いのか?

株式に譲渡制限がついている「非公開会社」では、役員の任期を最大で10年とする事が出来ます。

そのため、一人会社で会社設立をした場合の定款で任期を10年としている会社が多いのですが、他の役員が入ってきた場合、10年だと色々と問題が出てくる場合があります。

例えば新しく入ってきた役員を何らかの理由で解任したい場合、原則として任期までの報酬を支払う必要があります。

つまり意見の不一致とかで解任したい場合、損害賠償として多額の報酬相当分の金銭を支払う必要があります。

そのため、新たな役員を入れて人数を増やしたい場合、例えば会社法の原則である2年にするなど、役員の任期を短くした方が良い事があるのです。

2.役員責任の限定に関すること

取締役や監査役と言った役員は、その職務を遂行するにあたって、任務を怠った結果会社に損害を与えた場合には、会社に対して損害賠償責任を負います(会社法代423条1項)。

これは、役員が個人で会社に対して責任を負うものですので、非常に重い負担となる事があります。

一人社長であれば社長=会社のようなものですのであまり関係がないかも知れませんが、役員が新しく入りその人数が増えていくと、影響が出てくる事があります。

そのため、会社法426条1項は、役員が職務を行うにあたって、「善意で重大な過失」がないと言った一定の要件を満たす場合には、取締役会の決議によって損害賠償責任の一部を免除することができるとしています。

【注意】
ただし、監査役設置会社である事が必要です。

そして、この免除を行うに当たっては、あらかじめ、定款に責任免除の規定を置いておくことが必要なので、役員が増え規模が大きくなった場合、この役員責任限定に関する事も検討した方が良いでしょう。

3.発行可能株式総数の定め

定款の記載事項かつ登記事項である発行可能株式総数ですが、一人社長の会社の場合、少ない数字になっている可能性があります。

会社の規模が大きくなり、ベンチャーキャピタルと言った出資者を外部から募った場合、多くの株式を発行する事があります。そのため、発行可能株式総数を見直し、場合によっては定款変更をした方が良いでしょう。

【注意】
株式の譲渡制限をつけていない公開会社の場合、「当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数の四倍を超えることができない。」と言うルールがあります(会社法第113条第3項)。

4.種類株式のこと

種類株式とは、普通株式とは別に「権利の内容が異なる株式」の事です。

例えば出資はしてほしいけど株主としてはあまり口を出してほしくない株主候補者がいた場合、「株主総会の議決権はないけど、配当を優先して受ける権利」の種類株式を発行する事で、会社が行いたい事を実現する事が出来ます。

種類株式について詳しい事はこちらのページをご覧下さい。

5.株式譲渡が承認されたものとみなされる規定

一人社長の会社の場合、先程少しお話しました通り定款に「譲渡制限の定め」として、「株式を譲渡する場合、会社の承認が必要」の旨の記載がある事があります。

そして、「株主に譲渡した場合、会社の承認があったとみなす」と言う定めをしている会社もあります。

これは身内と言った、会社にとってリスクのない者が株式を譲り受けた場合は、手続きをスピーディーにするため会社の承認は不要とする趣旨です。

ですが、会社の規模を大きくするために外部から出資を募って株主を増やした場合、この規定がある事で会社の想定外の筆頭株主が出現する可能性があります。

その為、このみなし規定をこのままにするのか、それとも現状維持にするのかと言った検討はした方が良いでしょう。

6.まとめ

まだまだ一人社長の会社の定款について見直した方が良い事があるのですが、取り敢えず代表的なものを挙げてみました。

定款(のデータ)は会社設立後に無くされる方が非常に多いのですが、会社の基本ルールを定めた重要な物です。

万が一、失くされた場合の対応もあるにはあるのですが、時間や手間・専門家への報酬が発生しますので、必ず大切に保管し、会社の成長度合いによって定期的に見直すようにしましょう。

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熱き志を持つ起業家を法律とマーケティングで支援する司法書士。趣味はキックボクシングと朗読。

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