債権譲渡登記の基本について

会社設立・商業登記

こんにちは。司法書士の甲斐(@tomoya_kai)です。

登記の代表格と言えば不動産登記と会社の登記ですが、実は「債権譲渡登記」と言う制度も存在します。

不動産や会社の登記と比較してマイナーなのですが、それでも資金調達の方法の一つとして、年間の登記申請件数は増えています。

今回はその債権譲渡登記について、基本的な事をお話したいと思います。

1.債権譲渡登記とは?

金融機関が会社等に事業資金を貸し付ける場合、万が一返済不能になった場合の担保として、会社が所有している不動産に対して(根)抵当権を設定することが良くあります。

ただ、逆に言えば担保価値のある不動産を所有していない会社は、銀行からの事業資金の借り入れが難しくなってしまいます。

そこで会社が持っている取引先への売掛債権等を担保的に活用し、金融機関から融資を得る事ができる簡易的な制度として誕生したのが債権譲渡登記の制度です。

債権は原則として自由に譲渡することができますが(民法第466条)、それを債務者に対して対抗するには債務者への通知もしくは債務者の承諾が必要になります。

さらに、当事者(債権者、債務者)以外の第三者に対して債権譲渡を対抗するには、上記の通知や承諾は確定日付のある証書で行う必要があります(民法467条)。

例えば債務者が複数いる場合、この民法の手続きを行うには非常に手間がかかり煩雑です。

この民法の例外として考えられたのが債権譲渡登記の制度で、債権譲渡の「登記」を行う事で、債務者に通知する事なく、債務者以外の第三者に対する対抗要件を備える事ができます。

2.債権譲渡登記申請の方法

登記申請書、添付書類及び登記すべき事項等を記録したCD-R(又はCD-RW)が必要になります。

必要な添付書面の一部は以下のとおりです。

  • 債権の譲渡人(法人)の代表者の資格証明書及び印鑑証明書(発行日から3ヶ月以内のもの)。
  • 債権の譲受人が法人である場合、代表者の資格証明書(発行日から3ヶ月以内のもの)。
  • 債権の譲受人の住所証明書(譲受人が法人の場合は、代表者の資格証明書をもって住所証明書を兼ねる事ができます。)
  • 取下書(注)

※資格証明情報・・・法人の登記事項証明書や代表者事項証明書。

※取下書の添付は任意ですが、登記申請に誤り等があった場合、取下書の添付がない限り登記申請は却下され、提出した登記申請書等及び登記申請書に貼付された収入印紙は返却されません。

また、後ほどお話しますが、債権譲渡登記は不動産や会社の登記のような「補正」(申請の取り下げや却下を必要とせず、登記申請の内容を訂正できる制度)がありません。

その意味でも取下書を添付した方が良いでしょう。

「登記すべき事項等」はXMLファイルで作成し、CD-R(又はCD-RW)に記録します。

詳細は下記法務省のサイト「(3)申請データ(債権譲渡登記・質権設定登記のみ)」をご確認下さい。

法務省:第2 登記申請の手続
法務省のホームページです。

3.債権譲渡登記の管轄

全国の債権譲渡登記を取り扱う登記所として、中野にある東京法務局民事行政部債権登録課が指定されています(つまり、全国で一か所だけです)。

申請は来所、郵送のどちらでも出来ますが、「この日に絶対に登記しなければいけない事情がある!」と言った場合は中野への来所が必須です。

なぜなら、債権譲渡には補正と言う概念がなく、万が一誤った内容の登記申請だった場合、その場で取り下げて同日中に再度申請する必要があるからです。

4.債務者側の注意点

債権者から債権譲渡の通知を受けた場合、又は債権を譲り受けた者から債権譲渡の登記事項証明書と併せて債権譲渡通知を受けた場合、債務者はその後、債権の譲渡を受けた者を債権者として扱えば大丈夫です。

同じ債権について競合する内容の通知を複数受けた場合は、

  • 全ての通知が登記事項証明書を交付してされたものであれば、登記事項証明書に記載された登記の日時により先後関係を確認し、先に登記された者を債権者として扱う
  • 登記事項証明書の交付を伴う通知と民法の確定日付ある証書による通知とが競合した場合、登記事項証明書に記載された登記の日時と民法の通知が到達した日時との先後関係により、その優劣を判断する

必要があります。

債権譲渡登記では,「登記の年月日」に加えて「登記の時刻」も記録されるため、登記された時が明確になります。

5.まとめ

債権譲渡登記は年々件数が増えていますが、その手続きは登記の中でもトップクラスで煩雑です。

その為、債権譲渡登記をお考えの場合は、お近くの司法書士にご相談する事をお勧めします。

当事務所でもご相談を行っていますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

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