会社の登記の添付書類で押印が必要な場合と必要ではない場合

会社設立・商業登記

こんにちは。司法書士の甲斐です。

昨今のコロナ禍の影響により、テレワークの積極的推奨が行われていますが、その妨げの一つになっているのが「印鑑の押印」です。

テレワークを行っているにも関わらず「上司のハンコを貰うため」だけに出社すると言った笑い話もありますが、脱印鑑の流れは少しずつ進んでいるように見えます。

行政手続においてもデジタル庁が新設されることになり、行政手続きにおける押印廃止の方針が示されています。

この流れを受け、会社の登記(商業登記)においても法令上、押印又は印鑑証明書の添付を必要とする規定がない書面については、押印の有無について審査を必要としない事になり、押印が必要なくなりました。

ただ、登記申請の添付書類については様々な種類があり「どれが押印が必要でどれが必要ないのか?」と混乱する事があると思います。

その為、本ページで良くある会社の登記の添付書類について、押印が必要な物とそうではない物を分かりやすく解説したいと思います。

1.個人の実印や会社実印の押印が必要な添付書類

今までどおり登記の添付書類として押印(個人の実印)が必要な書類の一例は下記の通りです。

① 個人の実印の押印が必要な添付書類

  • 取締役会設置会社における代表取締役の就任承諾書(再任を除く。)
  • 取締役会を設置していない会社における取締役の就任承諾書(再任を除く。)
  • 取締役会設置会社で、取締役会で代表取締役を選定する場合の取締役会議事録
  • 取締役会を設置していない会社で、代表取締役を選定する場合の取締役の互選書、株主総会議事録
  • 代表取締役が辞任する場合の辞任届(会社実印の届出をしている代表取締役のみ。会社実印の届出をしている代表取締役がいない場合は、代表取締役全員に適用される。)

② 個人の実印の代わりに会社実印でもOKなケース

上記の例外として、個人実印の代わりに会社実印を押印しても良いケースが商業登記規則上ありますが、このルールは今まで通り継続になります。下記がその一例です。

  • 取締役会設置会社で、取締役会で代表取締役を選定する場合の取締役会議事録で、変更前の代表取締役が届出をしていた会社実印を押印する場合。
  • 取締役会を設置していない会社で、代表取締役を選定する場合の取締役の互選書、株主総会議事録で、変更前の代表取締役が届出をしていた会社実印を押印する場合。
  • 代表取締役が辞任する場合の辞任届で、その代表取締役が届出していた会社実印を押印する場合

2.押印の必要がない添付書類

会社の登記で法令上押印が必要とされていない書類の一例は、下記の通りです。

  • 取締役会設置会社における取締役、監査役の就任承諾書
  • 取締役会設置会社における取締役、監査役の辞任届(取締役については例外あり)
  • 取締役会を設置していない会社における監査役の就任承諾書
  • 株主の氏名又は名称、住所及び議決権数等を証する書面(株主リスト)
  • 募集株式の引受の申込書
  • 募集株式の総数引受契約書
  • 資本金の額の計上に関する証明書
  • 新株予約権の引受の申込書
  • 新株予約権の総数引受契約書
  • 新株予約権の行使があったことを証する書面
  • 払い込みがあったことを証する書面(募集株式、募集新株予約権)
  • 定款の原本証明(設立時の原始定款は押印が必要です
  • 添付書類について原本還付請求を行う場合のコピー
    (「原本に相違ありません」と代表取締役、氏名の記載が必要)

3.登記申請において押印が必要ではなくても、押印した方が良い理由

上記の「登記申請において押印が必要ではない添付書類」を見ると多くの書面について押印が不要となりました。

しかしそれはあくまで「登記申請における添付書類」として押印が不要になっただけです。

これらの書類は社内の保管書類であり重要な書類である事には変わりはありません。例えば本人の承諾なく取締役として就任させる事もでき、後から法的なトラブルに発展する事が十分に考えられます。

その為、書類作成の意思、書類の内容の意思を担保する為、今までと同様に押印する事をお勧めします。

4.まとめ

もし司法書士に登記申請を依頼した場合、添付書類として押印が必要がない書類であっても、司法書士から押印を求められる事があると思います。

その理由は上記でお話した通り、法的トラブルを未然に防ぐ為、「書類作成の意思」「書類の内容の意思」を担保する事にその目的があります。

その為「法律で押印が必要なくなったんでしょ?」と思われててもご協力をお願いします。それが皆様の利益にもつながる事になりますので。

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