こんにちは。司法書士の甲斐です。
会社設立の代行業者の広告を見ますと、まず「0円」と言った費用面が安い事をアピールしている広告が目立ちます。
その他で言えば、いわゆる「ワンストップサービス」をセールストークにしている業者も多く見受けられます。
この「ワンストップサービス」、利用者から見れば非常に魅力的ですよね。
まるでそこに行けば会社設立について全ての事が出来そうなイメージがありますから。
ただ、会社設立については「ワンストップサービス」と言うのは、殊更気にする必要はないのです。
その理由は単純明快で、会社設立の専門家である司法書士であれば、他の士業もきちんと紹介する事ができ、「ワンストップサービス」的な事が十分に対応可能だからです。
1.「ワンストップサービス」を気にしなくても良い理由
そもそも、会社設立とは
- 定款の作成
- 定款の認証(株式会社)
- 登記申請に必要な書類の作成、登記申請
の一連の流れです。
この流れにおける全ての手続きは司法書士が単独で行う事が出来ますので、ワンストップサービスと言うのはあり得ません。
仮に会社設立後の手続き、例えば許認可に関する事や税務に関する事は、それぞれ行政書士・税理士が専門家です。
このような場合に、
「同じ事務所内に異なる士業がいれば、それでワンストップサービスできるでしょ?同じ事務所にいるし、便利でしょ?」
と言う意見が出てきそうですね。
確かに、広告で出てくる「ワンストップサービス」の事務所とは、
- 同じオフィス内に司法書士や税理士や行政書士がいて、
- そのオフィス行けばまさにワンストップでサービスを受けられる!
と言うイメージだと思います(実際は違う場合があるのですが・・・)。
一見、会社設立をしようと考えている起業家にとっては非常に便利なように思えます。でも、このタイプのワンストップサービスだったら、普通の士業であれば当然に出来ます。
例えば司法書士であれば、普段から仲の良い税理士や行政書士は沢山います。
会社設立の前後で税理士や行政書士の力が必要であれば、彼らと共同で仕事を行う事でワンストップサービスは簡単に実現できるのです。
同じオフィスにいるかいないかは、そこまで大きな差にはならないのです。
2.「士業グループ」は会社のような組織ではない
ここでちょっとしたアドバイスを。
もし仮に、ワンストップサービスを売りにしている士業グループに会社設立を依頼する場合、この質問をしてみて下さい。
「業務の指揮命令系統はどうなっていますか?」
この質問に対して、特定の士業が他の士業に対して業務上の命令をしていたり、全くの無資格者が士業に対して命令を行っていると回答した場合、そのグループには依頼しない方が良いでしょう。
それはなぜか?
各士業は国家資格者であり、依頼者の為に自由・独立した立場で、依頼者の利益の為に判断し、その仕事を全うする義務があります。
つまり、他の士業の指揮命令系統に入ると言う事は、自由・独立した立場で判断できなくなるんですね。
例えば、税理士が行った指示が、司法書士が依頼人にとって不利益になると判断して拒否しようとしても出来ないんです。
仮に拒否したら「だったら次から仕事を回さない」と言われてしまえば、それでお終いです。弱みを握られていれば、依頼者の不利になると思っていても従わざるを得ないでしょう。
だから各士業は誰からも指揮命令されない、自由・独立な立場である必要があるのです。
その為、「業務の指揮命令系統はどうなっていますか?」と言う質問に対して、特定の士業が他の士業に業務上の命令を行っている場合、あなたの不利益になる危険性があるのです。
「士業グループ」は会社のような組織では絶対にあってはいけないのです。
3.まとめ
「ワンストップサービス」って非常に耳障りの良い言葉なのですが、会社設立については、殊更その事をアピールしなくても司法書士だけで十分対応可能です。
許認可、税務関連は知り合いで信頼のおける行政書士・税理士をご紹介出来ますので、普通の司法書士であれば「ワンストップサービス」は十分に対応可能なのです。
当然、当事務所で会社設立される場合も、行政書士や税理士のご紹介を行う事は可能です。
会社設立の事でお困り・お悩みの場合は、お気軽にご相談下さい。