ビジネスで法律の抜け穴や脱法行為を探す起業家は三流以下です

法律知識一般

こんにちは。司法書士の甲斐です。

ビジネスとは第三者との取り引きであり、取り引きとは「法律行為」です。

つまり、ビジネスパーソンであれば法律に関する知識は常に意識する必要があるのですが、中にはちょっとずる賢いことを考える人がいます。

「法律の抜け穴はないのか?脱法行為が出来る余地はないのか?」と。

いや、気持ちは分からないでもないんですよ。稼ぐ為にはイチイチ法律なんて意識してられない。違法行為じゃなければ何をやっても良いでしょ?と言う気持ち。

法律家のキレイゴトなんて聞いてられないですよね?

・・・と共感してしまった起業家の人、残念ながらあなたは起業家として三流以下です。

1.法律の抜け穴、脱法行為とは?

そもそも法律の抜け穴や脱法行為とは何なのか?と言うお話ですが、一般的には法律上の条文の曖昧さや反対解釈を使って規制を逃れたり、具体的に法律で禁止されていたとしても、他の方法を用いることによって、禁止されている内容を実質的に達成しようとする事を指します。

具体例の一つが、金利の上限を定めた昔の利息制限法と出資法のグレーゾーン問題です。

この二つの法律は金利の上限を定めた法律なのですが、その上限が利息制限法と出資法上で異なっていました。その為、消費者金融は金利が高い方の出資法の規定に基づきお金を貸しだしていたと言う現状がありました。

バブル経済が崩壊し不景気になり、多重債務者問題がクローズアップされ、結果的に最高裁でグレーゾーン金利は無効であると判断され、法改正がされる事になりました。

違う例を出しますと、学校教育法題11条と言うのがあります。

第十一条 校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、監督庁の定めるところにより、学生、生徒及び児童に懲戒を加えることができる。但し、体罰を加えることはできない。

学校教育法 | e-Gov法令検索

このように、学校教育法では実は体罰が禁止されているのですが、実は強制力を伴ったものでもなければ、罰則も定められていません。その為、実質的に機能しておらず「穴だらけ」の条文なのです。

このような法律の抜け穴を使ったり、脱法行為を行うのは一見違法行為ではないとも言えますが、ただ実際に問題になった場合、条文の曖昧さ等は裁判所が解釈次第で適切な運用にもっていこうとするのです。

と言う話をしますと、「じゃあ、裁判所で判断されるまではOKでしょ?」と考える人が非常に多いのですが、その考えがそもそも起業家としての姿勢としてダメなのです。

2.法律の抜け穴や脱法行為を行うのがなぜダメなのか?

① 法律は後追いだから

法律の穴をついたり、脱法行為を行ったとしてもすぐには違法行為にはなりません。その為、「違法じゃなければOKでしょ?何で問題になるの?」と不思議に思う個人事業主や会社経営者がいます。

確かにその通りですね。違法じゃないのですから。

ただ、ここで問いたいのですが、違法でなければ何をやってもOKなのでしょうか?

まず基本的に法律と言うのは後追いになります。何かしらの問題が発生して、その対策の為に法律が出来たり改正されます。

その為、現時点では違法ではないけど、法律面以外から考え(モラルとか職業倫理とか)、色々と問題がある行為と言うのが多々存在しているのが事実なのです。

その、「現時点では違法じゃないけど、どう考えてもおかしいよね?」と言う感覚を持つのが、起業家として必要なのではないでしょうか?

② 法律が存在する「目的」を遵守した方が良いから

さらに、ビジネスにおける規制を定めた各法律には「目的」と言うのが存在します。だいたい各法律の前の方に規定されています。例えば消費者契約法の第一条を見てみましょう。

(目的)
第一条 この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に鑑み、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合等について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とするほか、消費者の被害の発生又は拡大を防止するため適格消費者団体が事業者等に対し差止請求をすることができることとすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

消費者契約法 | e-Gov法令検索

ちょっと長い条文ですが、要するに事業者の不適切な行動から消費者を守る事で、国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的としています。

このような目的を前提とした場合、いくら違法じゃないからと言っても「法律の抜け穴をついたり脱法行為を行う事はおかしい」と思いませんか?

③ マーケティング的にNGだから

マーケティングの定義は色々とあるのですが、その本質は「人間を理解する事」です。つまり、常にお客さんの視点に立って物事を考える事です。

では、そのお客さんの視点に立って考えたときに「違法じゃなければ何やってもOKでしょ?」と正々堂々、信念を持って言えますか?

つまり、そう言う事なんです。

3.まとめ

以上、非常に小うるさい事を述べてきましたが、ここまで読まれてどのような感想を持たれたでしょうか?

  • 「うるせえなぁ。ビジネスはキレイゴトじゃないんだよ」
  • 「司法書士なんてビジネスの事を分かっていないくせに」

等々、辛辣な感想をもたれた方もいらっしゃると思います。

僕としてはそれも一つの意見で正解だと思います。

ただ、一つだけ言わせて下さい。先程と同じ趣旨の事ですが、それってお客さんから見たらどうなのでしょうか?

違法じゃなければ何をやってもよいと言う「何も考えていない、お客さんに対する不誠実な姿勢」は、いずれお客さんに見抜かれてしまいます。

お客さんに簡単に底の浅さを見抜かれてしまう起業家は三流以下です。

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司法書士 甲斐智也

熱き志を持つ起業家を法律とマーケティングで支援する司法書士。趣味はキックボクシングと朗読。

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