取締役の任期に関する基本的な知識(任期の計算方法と権利義務取締役)

会社設立・商業登記

こんにちは。司法書士の甲斐です。

株主会社で重要な登記の一つに、取締役等の就任その他の変更登記があります。

取締役の任期は最長で10年(株式の譲渡について制限がついている会社:非公開会社)にする事が可能なのですが、一方で最後の登記から12年間何も登記がされないと「解散されたものとみなす」制度があります。

「解散したものとみなされた」会社はその旨が登記されますので、取引先や銀行からの対応に追われる事になり、不利益が生じます、その為、取締役の任期の管理は徹底すべきでしょう。

とは言え、会社を作った後に取締役の任期についてそのルールを正確に理解しようとする機会は皆無なのではないでしょうか?

そこで本ページでは、取締役の任期に関するルールを分かりやすくお話したいと思います。

1.取締役の任期の基本的な考え方

取締役の任期について、定款上このような決まりになっている会社がほとんどです。

取締役の任期は、その選任後●年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。

始期:選任時
終期:定時株主総会の終結の時

こんな感じなのですが、文字だけだと良く分からないと思いますので、具体例を出してみましょう。

事業年度が毎年4月1日~3月31日まで、定時株主総会を事業年度終了後3ヶ月以内に開催する会社で、取締役の任期を「2年」とした場合を考えてみましょう。

Q1:令和2年度の定時株主総会を令和3年6月30日に開催した会社で、同日就任した取締役の任期はいつまでか?

まず、「2年以内」に終了する「事業年度」を考えます。

令和3年6月30日の2年後は「令和5年6月30日」で令和5年6月30日以内に終了する事業年度は「令和4年度」です。

つまり、令和4年度に関する定時株主総会を令和5年6月30日に開催したら、その終結の時までとなります。

Q2:令和3年11月12日に開催した臨時株主総会で、同日就任した取締役の任期はいつまでか?

同じようにまず、「2年以内」に終了する「事業年度」を考えます。

令和3年11月12日の2年後は「令和5年11月12日」で、令和5年11月12日以内に終了する事業年度は「令和4年度」です。

つまり、令和4年度に関する定時株主総会を令和5年6月30日に開催したら、その終結の時までとなります(この場合、Q1と比較して任期が結果的に短くなります)。

これが取締役の任期の計算方法です。

このように、取締役の任期は就任した時期によってその期間はバラバラになりますし、終わりである任期満了時もバラバラなる事があります。

取締役が複数いた場合、任期がバラバラであれば管理が大変ですので、通常は定款に下記のような規定を設け、取締役の任期を一緒にしているはずです。

もし定款に下記の規定が無ければ、株主総会で定款変更の手続きを行う事をお勧めします。

補欠又は増員により選任された取締役の任期は、前任者又は他の取締役の任期の残存期間と同一とする。

2.取締役の選任を怠った場合

このように取締役には任期があり、任期満了したら取締役としての地位を失うのが原則です(任期満了前に辞任した場合も同様です)。

しかし、例えば一人会社の社長の場合、任期満了したにも関わらず(本人も含め)後任の取締役が選任されなければ会社は困った事になります。

なにせ、法律上は取締役が一人もいなくなってしまいますので(実際はいますが)。

その為、このような場合は、その取締役は後任の取締役が就任するまで、取締役としての権利を持ち続け、義務を負う事になります(これを「権利義務取締役」と言います)。

なのですぐに取引先等の対応に困る事はないのですが、放置しておくと上記の「みなし解散」や取締役の選任懈怠による過料に処せられる可能性がありますので、速やかに取締役の選任手続きを行った方が良いでしょう。

3.まとめ 定期的に登記事項証明書と定款のチェックを

取締役の任期の管理は登記事項証明書と定款のチェックが必要不可欠です。

定期的にこの2つをチェックするようにし、登記を放置する事による不利益を回避するようにしましょう。

この記事の執筆者(文責)
司法書士 甲斐智也

起業支援と商品・サービスのコンサル化のお手伝いもする司法書士|マーケティング思考でコンセプトをしっかりと考えた会社設立します|2級FP技能士|たまに心理カウンセラー|某球団マスコットの中の人の経験あり

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