ネット銀行の住宅ローンを利用する時の指定司法書士の注意点

不動産登記

こんにちは。司法書士の甲斐です。

マイホームを購入する際にまとまった現金を用意出来ない場合、金融機関の住宅ローンを利用する事が多いでしょう。

住宅ローンは銀行が提供する商品として一般的なイメージがあると思いますが、最近は店舗を持たない「ネット銀行」も各種住宅ローンを提供しています。

このネット銀行の住宅ローン、手続きがリアル銀行より簡易だったり様々なメリットがあるのですが、反面デメリットもあります。

それが今回ご紹介する、

抵当権設定登記申請について、ネット銀行が指定する司法書士を利用する事

と言う住宅ローンの融資を受ける条件です。

1.融資の条件として司法書士が指定される事の問題点

① 消費者契約法上問題じゃないのか?

金融機関の住宅ローンを利用する際、お金を借りる契約(金銭消費貸借契約)と、マイホーム(土地・建物)に抵当権を設定する契約を締結する事が一般的です。

ネット銀行も同様なのですが、多くのネット銀行が融資を行う際の条件として、

住宅ローンの抵当権設定登記申請に際して、そのネット銀行が指定する司法書士を利用する事

が明記されています。

その為、所有権移転(保存)登記と抵当権設定登記の司法書士が別になると言う事も実際に起こっています。

この融資(契約)の条件、個人的な見解ですが、消費者契約上問題があるのでは?と思っています。

消費者契約法第10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
民法 、商法 (明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

どの司法書士に登記申請を依頼するかは、本来依頼する側の自由です。

しかし、融資の条件として「指定司法書士を利用する事」を入れると言う事は、顧客の契約の自由を奪う事であり、「消費者の権利を制限する」事になりますので、この融資条件は無効であると考えています。

実際の最高裁判所判例はありませんので(似たような下級審の判例はありますが)個人の見解の域を超える事は出来ませんが、それでも論理的に考えればこの融資条件はどうなのか?と言う疑問は残ります。

(どこかの適格消費者団体がこのネタを取り扱ってくれたら嬉しいです。)

② 実は登記費用が高い

これは一般の方は分からなくても仕方がないのですが、ネット銀行の指定司法書士の抵当権設定登記費用は相当高いです。

いわゆる実費、登録免許税ではなく単純な司法書士報酬です。

司法書士報酬は自由化されており、各司法書士によって多少の違いがあるのですが、それでもある程度の相場があります。

あくまで感覚ですが、特別な事情を考慮しない、単純な抵当権設定1件であれば、3万~5万ぐらいだと思います。

しかし、ネット銀行指定の司法書士はこれよりも多く、抵当権1件で10万近くする事務所も存在します。

「ここまで金額の差が出るのはおかしい!」

と思われるかも知れませんが、実際にこのような事は良くあるのです。

2.ネット銀行側の言い分

ここまでネット銀行の指定司法書士の問題点を指摘しましたが、ネット銀行側にも言い分があります。

Twitterでたまたまネット銀行に勤めていると言う方の意見を聞く事ができましたので、ご紹介します。

(ツイートを消される可能性があるので、一部引用しておきます。)

でも店舗を構えていないネット銀行が、顧客にも1度も会わずに実行する中で、どうやって信用できる司法書士なのか見極めるのですか?悪意ある司法書士、きっとたくさんいますよね?

いや、あんたらの会社の事情なんか知らんがな。

と言うツッコミが聞こえてきそうですが、まぁ、この言い分も分からなくはないですよね。

ご指摘のとおり、リアル店舗が無いというデメリットをネット銀行側が信用している司法書士に委ねるわけですから。

でもそれって、ネット銀行が信用しているから、顧客もその司法書士を信用できると言う話には繋がらないですよね?

登記費用の全てをネット銀行が負担するのであれば整合性は取れる話です。

しかし実際はそうでなく、通常の抵当権設定よりも高い費用を支払うのは顧客です。ネット銀行側の事情を転嫁されるのは、やっぱりモヤモヤしませんか?

3.まとめ

このように、ネット銀行及び指定司法書士を利用する事はメリット・デメリットが存在します。

ネット銀行の住宅ローンを利用されようと思われている方は、十分に検討して判断するようにして下さい。

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