株式の無償割当てと登記申請手続きについて

会社設立・商業登記

こんにちは。司法書士の甲斐(@tomoya_kai)です。

株式を発行する目的は出資を募る事にありますが、実は出資を受けなくても株式を発行する手続きが会社法上存在します。

それが今回お話する「株式無償割当て」です。

株主に対する利益還元であったり、株式の流動性の確保が株式無償割当ての目的なのですが、(自己株式を割当てない限り)発行済み株式の総数が増え、登記申請も必要になってくる手続きです。

今回は、株式無償割当てに関する手続き、登記申請に関することをお話したいと思います。

1.「株式無償割当て」とは?

「株式無償割当て」とは、文字通り株主に対して、新たに出資させないで自社の株式の割当てを行う事です。

株主から見れば「タダで新たな株式を貰える」手続きです。

ポイントは「株主に平等に割り当てる必要がある」と言う点です。

例えば、会社の株主がA、B、Cの3名で、株主Aが100株、株主Bが70株、株主Cが30株保有している場合、新たに100株を割当てる場合、

  • Aに10株
  • Bに20株
  • Cに70株

と言う割当てが出来ないと言う事です。こんな事をやってしまえば不公平ですからね。

2.種類株式を発行している場合の株式無償割当て

例えば、普通株式と甲種類株式を発行している会社が株式無償割当てを行う場合、

  • 株主全員を対象。
  • 普通株式の株主のみを対象
  • 甲種類株式の株主のみを対象

とすることができます。

ちなみに、割り当てる株式について普通株式の株主に種類株式を割り当てることもできますが、会社法第322条1項3号による種類株主総会を開催する必要がありますのでご注意下さい。

なお、株式無償割当てでは自己株式を交付することも可能です。この場合、発行済株式数に変動はないため、登記申請をする必要がありません。

3.株式無償割当ての手続き方法

株式無償割当てを行うには、定款に別段の定めがある場合を除き、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の普通決議によって行います。

決議の内容は下記の通りです。

  • 株主に割り当てる株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法
  • 株式無償割当てがその効力を生ずる日
  • 株式会社が種類株式発行会社である場合には、当該株式無償割当てを受ける株主の有する株式の種類

【株式無償割当ての株主総会議事録(例)】

第1号議案  募集株式の発行に関する件

議長は、下記の要領で株式を無償で割当てたい旨を述べ、その可否を諮ったところ、満場異議なくこれを承認可決した。

1 株主に割り当てる株式 普通株式●●株
2 効力発生日 令和●年●月●日
3 割当方法 令和●年●月●日現在の株主名簿に記載されている普通株式の株主に対し、その所有する普通株式1株につき、普通株式1株の割合をもって割り当てる。

株式の割当てを受けた株主は、上記の効力発生日に、割当てられた株式の株主となります。

4.割当てを受けた株主への通知

株式の無償割当てを行った株式会社は、その効力発生日後すぐに、株主及びその登録株式質権者に対し、当該株主が割当てを受けた株式の数を通知する必要があります。

また、当然ながら各株主の保有する株式数も変更になる為、株主名簿の書き換えも必要となってきます。

5.株式無償割当てによる登記申請(登記申請書)

自己株式を割当ないで、新規に発行する株式を無償割当てした場合、発行済みの株式数が増えます。

その為、効力発生日から2週間以内に発行済みの株式数の変更登記申請を行う必要があります。

株式会社変更登記申請書

1.会社法人等番号 0000-00-000000
フリガナ     ヤマダショウカイ
1.商 号    株式会社ヤマダ商会
1.本 店    東京都町田市〇〇一丁目2番3号
1.登記の事由  株式無償割当て
1.登記すべき事項 別紙のとおり
1.登録免許税    金3万円
1.添付書類
株主総会議事録 1通
株主リスト   1通

上記のとおり登記の申請をします

令和●年●月●日
申請人  東京都町田市〇〇一丁目2番3号
株式会社ヤマダ商会
東京都港区港123番地456
代表取締役 山田 太郎 ㊞(会社実印)
連絡先の電話番号 〇〇〇ー〇〇〇ー〇〇〇〇

〇〇法務局 御中

別紙 (登記すべき事項)
「発行済株式の総数並びに種類及び数」
「発行済株式の総数」●●株
「原因年月日」令和●年●月●日変更

6.まとめ

株式の無償割当ては募集株式の発行と比較して、手続きが簡易になっています。

ただし、募集株式の発行では行わない手続きもありますので、募集株式の発行との違いを理解して、登記申請までしっかりと行うようにしましょう。

ご不明点等ございましたら、お気軽にご相談下さい。

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