こんにちは。甲斐です。
日本経済の先行きの不透明さ、また日本政府の度重なる悪手の政策により、正社員になったとしても一生安泰ではない時代、正社員でもフリーランスのような意識の働き方やいざとなれば(副業も含め)独立・起業を行っても良い準備をしている人が増えてきています。
また、超高齢化社会を反映して、昨今様々なメディアや場所で老後資金に関するセミナーも開催されていますね。
このように「会社がある日突然無くなっても困らない準備」について、ありとあらゆる事例や対策方法が紹介されていますが、それにともない様々なトラブルも起こっています。
例えば、このような投資詐欺ですね。
高配当を得られるとうたい、無登録で暗号資産(仮想通貨)ビットコインでの出資を勧誘したなどとして、警視庁生活経済課は10日までに、金融商品取引法違反(無登録営業)容疑で、投資グループ「ジュビリー」の運営に関わっていた会社役員ら7人を逮捕した。同課は認否を明らかにしていない。
このように怪しい儲け話に騙される人がいる一方、将来について何らかの対策を行っていなかった結果、再起不能になる人もいます。
どうして人は将来起こり得るリスクに対し何も対策しなかったり、逆に騙されてしまうのか?
今回はその心理面にスポットを当ててお話をしたいと思います。
1.リスクに対して防止・予防する視点がなかった為、法律トラブルに発展した事例紹介
まずは将来発生する可能性があるリスクに対して何も対策を行わなかった結果、どのようなトラブルに発展したのか、身近な相続の具体例を挙げてお話してみたいと思います。
① 数万円と引き換えに、数百万円余計に相続税を支払ったケース
山田さん(仮名)は某税理士事務所に相談に訪れていました。
目的は、もし自分が亡くなった場合に、相続税の支払い義務が発生するのか?発生するとしたら、相続税を安くなる方法があるのか?と言うご相談です。
つまり、相続税対策ですね。
山田さんの遺産は複数の種類に渡っており、税理士はその場では具体的な相続税対策のアドバイスが出来ませんでした。
その為、詳しく調査の上、後日レポートとして相続税対策を提案すると言う流れになったのですが、その為には数万円程の費用が発生する事を税理士は山田さんに伝えました。
しかし、山田さんとしては相談は全て無料で行ってもらうつもりで考えており、例えレポートであってもお金を支払うつもりはありませんでした。
その為、山田さんは相談を打ち切ったのですが、その後他の税理士事務所に相談する事なく、数年後に亡くなりました。
山田さんの相続手続きは滞りなく進んだのですが、相続税の申告の段階で問題が発生しました。
もし山田さんが生前に相続税対策をしっかりと行っていたら、相続税が数百万円安くなっていた事が分かったのです。
相続人にとってみれば、本来必要のなかった必要のない出費を行う結果となったのです。
② 前妻との子供がいたが、何も相続対策をしなかったケース
再婚をされた方で、前妻との間に子供がいる方は、ほぼ確実にトラブル(相続トラブル)が発生すると言えます。
前妻との子供と、現在の家庭の間に交流がある事はごくまれなはずです。ほとんど交流の無い人間どうしの遺産分割協議はまとまらない事が多いのです。
鈴木さん(仮名)も再婚しており、前妻との子供とは数十年間会っていません。
今の家庭を守る為に、相続トラブルを未然に防ごうと遺言に関する相談を何度も専門家にしていました。
何度も専門家から相続対策の重要性の説明を受け、その必要性は十分に理解していたのですが、鈴木さんは当時50代であり、まだ遺言を書かなくても大丈夫だろうと思っていました。
しかしそのまま60代、70代になっても鈴木さんは「まだ大丈夫だろう」と思って、結局遺言を作成しないまま亡くなりました。
その後、前妻との子供とその他の相続人との間で遺産分割協議がまとまらなかった事は、容易に想像できるでしょう。
2.人はなぜ将来のトラブルについて対策・予防をしないのか?
現在は情報社会です。法律トラブルを含む、様々なトラブル関して沢山の情報が溢れ、簡単にその情報にアクセスする事ができます。
そうであれば、誰もが将来のトラブルに対する対策の重要性が分かっているはずなのに、どうして何も対策・予防を行わないのでしょうか?
一言で言ってしまえば、将来のトラブル・リスク対策を考える段階では、「まだ痛みを伴っていない」からです。
痛みを伴わない、つまり、具体的なトラブルのイメージが湧かないから、「予防って大切だ」と分かっていても、具体的な行動を起こさないのです。
分かりやすい例が虫歯です。
虫歯になって歯が痛くなったら、人は歯医者に行きます。
しかし、虫歯予防の為に歯医者に行かれる方は少数派ではないでしょうか?わざわざ歯が痛くないのに、歯医者に行くなんて普通の人は考えられないと思います。
でも、虫歯予防の為に歯医者に通院している方もいらっしゃるのも、また事実です。
彼ら彼女らは、どうして虫歯でもないのに歯医者に通うのでしょうか?
色々な回答があると思うのですが、やはり一番は「虫歯になった時に被る損害・大変さを身をもって知っているから」ではないでしょうか?
虫歯になれば歯を削ります。
もっと虫歯が進行していれば抜歯が必要になるかも知れません。
つまり、自分の歯が永久に無くなると言った大きな損害が発生する事を自分事として理解しているのです。
それは自分自身が痛い思いをしたらから、もしくは周りの人間が痛い思いをしたから、具体的にイメージをする事が出来て、だからこそトラブル対策・予防の重要性を身に染みて理解しているのではないでしょうか?
将来のトラブル・リスク対策もこれと同じです。
世間にある法律トラブルは所詮は他人の家庭・会社でのトラブルです。
だから具体的なイメージが湧かない為、これをご自身の家庭や会社に置き換えて考える必要があります。
- 自分が勤めている会社の現状はどうなのか?
- 将来の経済・市場予測は?
- 老後の資金は本当に大丈夫なのか?そもそもいくら必要なのか?老後になっても働く事ができるようにした方が良いのでは?etc。
このように多方面から具体的に検討し、将来のトラブルに関する「痛み」を具体的にイメージする必要があります。
それでもイメージが出来ないのであれば、そこはきちんと専門家を頼るべきです。
「当事者として具体的にイメージをする事」これが将来トラブルが発生して、多額の損害が発生するかしないかの境界線になるのです。
3.まとめ
人は自分にとって不都合な事は知りたくなく、めんどくさがりやで、腰が重く動かない生き物です。
だからこそ、世間にはどのようなトラブルがあるのかを徹底的に知り、世に溢れているトラブルを自分事に置き換えて考える必要があります。
これは大変な作業ですが、この手間をかける事で、将来発生するかもしれない莫大な損害を予防する事が出来るのです。
無知は罪です。
「勉強なんて嫌い」なんて思わずに、しっかりと学んでいきましょう。