こんにちは。司法書士の甲斐です。
今回は定款の記載事項や登記事項にもなっている会社の事業目的のお話です。
先日、たまたまとある会社の登記事項証明書を取得したのですが、会社の目的が凄い事になっていました。
とび・土木業から始まり、エスティックサロンやアロマテラピー店、果てはアプリの企画や開発まで、何と20個以上記載されていました。
一体、何屋さんなのでしょうか(笑)
実際にこの会社の社長とお会いしたのですが、申し訳ないのですが、登記事項から読み取れた「あなたは何屋さん?」的な胡散臭さが、やっぱりにじみ出ていたんですね。
登記事項証明書は新しい取引先が出来た場合、高確率でその取引先から取得されます。
「この会社と本当に取り引きしても良いのか?」と言う企業調査ですね。
この時に、上記のような「何やっているか良く分からない会社だなぁ・・・。」と言う印象を持たれた場合、ビジネスを行う上でマイナスになる事は当たり前ですよね?
なので、今回は「登記事項である会社の目的」は雑にしないで真面目に考えましょう、と言うお話をしたいと思います。
1.取り敢えず、将来行う予定の事業を入れる?
「取りあえず、今はやらないけど将来的に行いたい事業を全部ぶち込みたい!」と思われる方が一定数存在します。
目的の変更は定款、登記変更が必要でお金がかかりますので「将来的に行う予定の事業を取り敢えず入れたい」と言う気持ちは良く分かります。
でも、何ら関連性がない事業を何でもかんでもぶち込んでしまえば「いや、結局何をやっている会社なの??」とマイナスのイメージを持たれても仕方がありません。
関連性の無い事業目的を入れすぎると銀行から法人口座の開設を断られる、なんて噂もあるぐらいです。
一度「胡散臭い会社」と言うブランディングがなされた場合、そのイメージを覆すには非常に労力が必要になってきます。
2.海外で行われているカッコ良い事業をやりたい
「海外で行われている最先端なカタカナの事業をやりたい!」
ビジネスは先を見通す必要がありますので、この「海外で行われている最先端な事業をやってみたい!」と言う気持ちは十分すぎるぐらい分かります。
例えば「コーチング」。
今はある程度メジャーになったコーチングですが、昔はコーチングと言っても「一体何をやる人なの?」と言うイメージが圧倒的だったでしょう。
そんな時代に会社の事業としてコーチングを行うのはまさに最先端ですよね。事業目的に「コーチング」と入れると、何だかカッコ良いですし個性的なイメージがします。
でも、これも注意が必要です。
あまりにも意味が良く分からない目的は、やはり「胡散臭さ」がにじみ出てきますので。
とある会社の登記事項証明書に、会社の目的として「サムライ業」と言うのがありました。
全く意味が分からないですよね(笑)
また、登記される会社の目的には「明確性」が求められます。日本語として意味が通じるか?です。
この明確性の一つの判断基準は、辞書等で載っているか否かであり、海外の新しすぎる事業等の場合、もしかしたら登記出来ない可能性があります。
3.まとめ
先程お話したとおり、登記事項証明書は実は結構色々な人から見られており、場合によっては悪い先入観を持たれてしまう事もあります。
その為、あなたが既に会社を経営している場合は、登記されている会社の目的を第三者の視点から見て見直しても良いかも知れません。
あなたが今後、会社を作る予定であれば、会社の目的は雑に作らず丁寧に考える事をお勧めします。
会社はただの箱ですが、その箱を丁寧にしっかりと作れないと言う事は、ビジネスもしっかりと丁寧にしない、と言うイメージを持たれてしまう可能性があるので。