経営を安定させる為に持ち株比率(議決権)をどうすべきか?

法律知識一般

こんにちは。司法書士の甲斐(@tomoya_kai)です。

数人の仲間と会社を設立する、と言うパターンが実務上良くあるのですが、その時に問題になってくるのが各株主の「持ち株比率(出資比率)」です。

会社の持ち主は株主であり、株主は会社に関する様々な事を決める事ができます。

その方法は簡単に言うと「多数決」なのですが、そのルールを知っておかないと思いもよらない落とし穴に落ちてしまう危険性があるのです。

今回は、会社設立時に注意した方が良い、持ち株比率のお話です。

1.株主は何ができる?株主議決権について

会社を設立する場合、創立者である発起人は資本金を払い込む必要があります。そして、払込をした発起人には会社設立後、その会社の株主となります。

株主は会社の所有者として会社運営の様々な意思決定を行う事ができます。

株主が一人であれば、一人で全て決める事ができるのですが、株主が複数いる場合は事情が少し変わってきます。

例えば発起人がA、B、Cの3人、Aが300万、Bが100万、Cが100万円をそれぞれ払い込み、資本金が500万円の会社を作ったとします。

この場合、Aが300株、B、Cがそれぞれ100株づつ所有しているので、議決権もAが300個、B、Cがそれぞれ100個取得する事になります。

株主は会社運営の意思決定に際して、様々な意見を主張する事ができますが、最終的には議決権の多数決で決める事になります。

簡単に言うと、全議決権の過半数の賛成で、様々な意思決定が出来るのです(普通決議)。

正確には、会社法や定款で規定された場合の除き、すべての株主の議決権の過半数に当たる株式を保有する株主が出席し、その出席株主の議決権の過半数で決議を行う必要があります。

さらに定款変更と言った重要な事項については、3分の2以上の議決権の賛成が必要になります。

このように、株式の議決権は会社運営にとって非常に重要な意味合いがあるのです。

2.会社を安定経営させる為には、最低でも過半数の議決権を持つ

それでは具体的に普通決議で行う事ができる事項の一部を挙げてみましょう。

【株主総会の普通決議で出来る事】

  • 取締役等の役員に関する選任・解任
  • 役員の報酬決定
  • 役員等の競業取引の承認・利益相反取引の承認
  • 計算書類の承認、等。

ポイントは取締役の選任、解任に関する事項です。総株式の過半数の議決権を持つ株主であれば、例え代表取締役(社長)であっても、株主総会でクビにする事ができ、株主にとって都合の良い人間を取締役にする事が可能になるのです。

なので、社長(代表取締役)として会社を設立する場合、過半数の株式を確保するのがポイントになってきます。

さらに、3分の2以上の議決権の賛成が必要な事項もあります(特別決議)。

【株主総会の特別決議で出来る事】

  • 募集株式の事項の決定
  • 募集新株予約権の事項の決定
  • 定款の変更
  • 事業の全部の譲渡
  • 事業の全部の譲受け
  • 解散、等。

定款の変更や募集株式の発行は、会社経営上必要不可欠な事項です。その為、最低でも過半数、可能であれば3分2以上の議決権を確保した方が良いでしょう。

3.株主を増やしたくないのであれば、融資を受ける事も検討する

起業時も含め、会社は資金調達の問題を抱える事があります。

その時に株式を発行した場合、その持株比率が代わる事により、会社の経営権に影響が出てくる事があります。

その為、資金調達を考える場合、株主からの出資ではなく金融機関からの融資を検討するのも一つの方法です。

会社設立したばかりの創業時であれば、日本政策金融公庫の創業に関する融資制度があります。

創業時は銀行からの融資は難しいかもしれませんが、日本政策金融公庫を利用して、事業資金を借り入れで対応するのもアリでしょう。

借入金を資本金に組み入れるのはNGです。あくまで事業資金として借入をしましょう。

4.まとめ

会社設立の際の持ち株比率の怖さについて、十分に理解ができたと思います。

数人の仲間と会社を作るメリットは、みんながお金を出し合う事で最初の事業資金が多く集まる事ですが、持ち株比率(出資比率)を良く検討しないと、会社の運営が滞る危険性があります。

良く「友達と二人で会社を作りたいんです。ケンカをしたくないので同じ金額ずつ出資したいんです」と言うご相談を受ける事がありますが、これはお勧めしません。

どんなに仲が良くても、ビジネスにおいては意見が対立する事があります(どちらが良い悪いという話しではなく)。

そんなとき、全く同じ持ち株比率であれば何も決められず、会社の運営が滞ってしまいます。

ビジネスは仲良しごっこでは成り立ちません。会社設立時の持ち株比率(出資比率)は十分に検討するようにしましょう。

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