高校生(未成年者)が株式会社を設立する場合のポイントと注意点

会社設立・商業登記

こんにちは。司法書士の甲斐です。

最近はTV等で「インターネットで稼ぐ未成年」が特集され、またSNSやブログが充実している事があり、起業家の低年齢化が進んでいるように感じます。

個人事業主で起業を行い、事業が順調に上手くいっていると、次は「会社設立」を考える起業家も多いと思うのですが、「未成年者は会社設立をする事が出来るのか?」と言うのが今回のお話です。

結論を先にお話すると、「印鑑登録ができる15歳以上」であれば、会社設立は出来ます。

1.未成年者の法律上の位置づけ

未成年者は法律(民法)上「制限行為能力者」と定められています。

「行為を制限する」なんて、ちょっとイヤな感じの言葉ですが、その意味は

「契約やその他法律行為は未成年者単独で行う事はできず、親権者の同意を得たり、親権者が未成年者を代理する必要がある。」

と言う事です。

ただし、例外があります。例えば親からお小遣いを貰った子供がコンビニ等で買い物をする際、いちいち親の同意を得たりしませんよね?このようなケースは親の同意等は不要なのです。

会社設立も「法律行為」である為、未成年者が会社設立を行う場合、親権者の同意を得るか、親権者が未成年者を代理する必要があります。

この点について、「定款作成」と「取締役就任」の2つの視点から見て行きましょう。

2.未成年者は発起人(会社を作る人)になれるのか?

① 定款作成時について

会社の発起人とは、会社を設立する事を企画し、定款に署名又は記名押印をした人の事です。

発起人の資格には制限はなく未成年者や法人でもなる事が出来ますが、会社設立行為は「法律行為」であり、定款作成もその法律行為である会社設立行為の一部です。

その為、

  • 親権者が定款作成について同意する。
    (この場合、定款に署名又は記名押印するのは未成年者です。)
  • 親権者が未成年者を代理して定款作成をする。
    (この場合、定款に署名又は記名押印するのは代理人である親権者です。)

のどちらかの方法で定款を作成する必要があります。

② 定款の認証について

株式会社の場合、作成した定款について公証人の認証を得る必要があるのですが、定款の作成方法によって手続きや必要書類等が変わってきます。

親権者の同意を得て、未成年者が定款を作成した場合

以下の書類が必要になってきます(詳細は公証役場によって違う可能性がありますので、必ず事前にご確認下さい。)

  1. 印鑑証明書(未成年者及び親権者)
  2. 戸籍謄本(親子のつながりが分かるもの)
  3. 同意書(親権者)

※ 親権者も全員発起人になる場合には同意書は不要の場合もあります。

親権者が未成年者を代理して定款を作成した場合

以下の書類が必要になってきます(詳細は公証役場によって違う可能性がありますので、必ず事前にご確認下さい。)

  1. 戸籍謄本(親子のつながりが分かるもの)
  2. 印鑑証明書(親権者)

ここからがポイントになりますが、未成年者が親権者の同意を得て定款認証を公証人に依頼する場合、未成年者自身の印鑑証明書が必要になってきます。

しかし、15歳未満の者は印鑑登録をする事が出来ないケースが多いので、当然ながら印鑑証明書を用意する事が出来ません。

その為、15歳未満の未成年者が株式会社の定款を作成をする場合、「親権者が代理する」一択となります。

3.未成年者は取締役になれるのか?

もう一つの問題が「未成年者は取締役になれるのか?」と言う点です。

株式会社では必ず取締役が必要になってくるのですが、取締役の年齢については法律上の制限はありません(ただし、あまりにも幼い子供は能力的に無理でしょう)。

その為、未成年者であっても原則として取締役になることは可能です。

ただし、「取締役に就任する事」も法律行為になる為、親権者の同意を得る必要があります。

さらに、またもや印鑑証明書に関する事が問題になってきます。

会社設立の登記申請において、取締役就任の際に印鑑証明書の添付が必要になる場合があります。

その為、印鑑証明書の添付が必要となる場合は未成年者でも15歳以上である必要があります。

具体的には設立する会社が、取締役会設置会社か取締役会「非」設置会社かによって変わってきます。

① 取締役会設置会社の場合

取締役会設置会社の取締役就任の際には、印鑑証明書の添付が不要なため15歳未満の未成年者でも取締役になることが可能です。

ただし、「代表」取締役としての就任については印鑑証明書が必要になってきますので、上記の場合は取締役にはなれるけれど「代表」取締役にはなれない、と言う事になります。

② 取締役会「非」設置会社の場合

取締役会「非」設置会社の取締役就任の際には、印鑑証明書の添付が必要なため15歳以上の未成年者でなければ取締役になる事が出来ません。

4.15歳未満の者は代表取締役になれるのか?

印鑑証明書の問題はさておき、そもそも未成年者が代表取締役になれるのか?と言う論点があります。

代表取締役は文字通り対外的な「代表権」を有する者です。

その為、一般的は15歳未満の者がなることは困難であると考えられています。

法的に特に禁止されているわけではありませんが、代表取締役になるには最低でも15歳以上の者、と解されているのです。

5.まとめ

印鑑証明書やら色々と論点が飛んで分かりにくくなりましたが、簡単にお話すると印鑑登録が出来ない15歳未満の未成年者は会社設立は難しい、と思って下さい。

それまでは個人事業主として来るべき時に備えて実績を積むのが良いでしょう。

当然、学業をおろそかにしてはダメですよ。

この記事の執筆者(文責)
司法書士 甲斐智也

起業支援と商品・サービスのコンサル化のお手伝いもする司法書士|マーケティング思考でコンセプトをしっかりと考えた会社設立します|2級FP技能士|たまに心理カウンセラー|某球団マスコットの中の人の経験あり

SNSをフォローする
【起業や会社設立等に関するコンサルティング】
【起業のご相談はお任せ下さい。国家資格者である司法書士がしっかり対応致します】当事務所では起業や会社設立、その他コンサルティングに関するご相談を随時行っております。ご相談はzoomでのご対応が可能ですので、お気軽にお問い合わせ下さい。
会社設立・商業登記
SNSをフォローする
司法書士×起業・マーケティング思考ブログ