こんにちは。司法書士の甲斐です。
会社を作った当初、多くの方が役員の任期を「10年」にしていると思います。
つまり、会社を作って10年後には就任(重任)による役員の変更登記を行う必要があるのですが、この変更登記を行わなかった場合どうなるのか?と言うのが今回のお話です。
登記をそのまま放置すれば、みなし解散になってややこしい事になりますので、必ず対応をするようにしましょう。
「どう言う対応すれば良いか分からん\(^o^)/」
とお困りの場合は司法書士へご相談を😊
— 甲斐智也@司法書士×マーケティング思考 (@tomoya_kai) September 30, 2020
この役員の変更登記やその他の登記を行わなかった場合、「みなし解散」と言って、会社が解散したものとみなされ、さらに100万円以下の過料に処せられる可能性があるのです。
目次
1.法務局からの通知が来たら要注意!みなし解散とは?
事業を止めたい場合、株式会社は株主総会の決議で解散をする事ができますが、みなし解散とは、最後の登記から12年間登記事項に変更がない会社について、経営実態がないと判断され、登記上解散したものとみなされる手続きです。
実は、登記上は存在しているけれど、実体のない休眠会社と言うのが日本には沢山存在します。
休眠会社になっている理由は様々ですが、休眠会社が増えていけば登記制度自体の信頼が無くなってしまいます。
この問題を解決するために、法務局では休眠会社の整理の手続きを年1回を行っています。
具体的には、12年間何も登記がされていない株式会社で、みなし解散の対象になった会社について、代表取締役宛に法務局から通知書が送付されます。
その通知書の内容は下記の通りです。
- 12年間何らの登記がされていない為、みなし解散の対象になっている事。
- 会社の経営が継続しているなら、2か月以内に廃業していない旨を届けるか、何らかの登記申請を行う事。
上記の廃業していない旨の届出や登記申請を行わなかった場合、対象の会社について、法務局から解散の登記がなされます。
2.なぜ「12年間」変更登記がされていない場合、みなし解散の対象となるのか?
会社の登記事項は商号、目的、本店所在地、役員等、様々な記載事項があり、この登記事項に変更があった場合、2週間以内に登記申請を行う必要があります。
また、役員の任期は最長で10年である為、どんな会社でも10年間経過したら役員の変更登記申請が行われるはずであり、それがなされていないと言う事は、「会社としての実績がないでしょ?」というのがみなし解散の根拠です。
その為、「会社を作ってから10年」と言うのが一つのポイントとなるのです。
3.法務局からみなし解散の対象となった通知が来た場合、どうすれば良いのか?
みなし解散の対象となった会社には、上記のように法務局から通知がきますので、廃業をしていない旨の届出か、役員変更等、何らかの登記申請を行えば大丈夫です。
なお、法務局の通知は登記上の本店所在地宛てに送られますので、本店所在地を変更していない場合、法務局からの通知が届きません。
この場合は知らない間に解散登記がされますので、役員の任期はキチンと把握しておくべきでしょう。
4.みなし解散の登記がされた場合、どうすれば良いのか?
解散とみなされてしまった会社は、その後3年以内に限り、株主総会の特別決議によって会社を継続する事が可能となります。
ただし、その手続きは複雑ですし、「2週間以内に登記を行う」と言う義務を怠った事による過料(100万円以下)に処せられる事があります。
みなし解散から会社継続の方法は下記ページをご覧下さい。
5.まとめ
役員の最長任期である10年と言うのはアッと言う間で、気が付いたら会社を作ってから10年経過していた事なんて良くある話しです。
せっかく事業を行っているにも関わらずみなし解散になってしまったら、対外的な信用も失う事になるでしょう。
役員の任期や登記事項は定期的にチェックを行い、何か分からない事があればいつでも司法書士に相談できるような体制を整えるようにしましょう。