ひとり会社の経営者は絶対に活用すべき「みなし株主総会」とは?

会社設立・商業登記

こんにちは。司法書士の甲斐です。

今回はひとり会社の株主総会のお話です。

ひとりで会社を作った人、「社長(代表取締役)=株主」で、株主も社長一人のケースです。

会社法では、(代表)取締役が業務を執行して、株主総会で株主が重要な事について決めて・・・
と言う建前ですが、ひとり会社の場合、上記の通り(代表)取締役=株主です。

なので

「重要事項なんて言ってもイチイチ株主総会なんてやってられねーよ」

と思われる方が多いでしょう。

まぁ、実態に則さないですので・・・。

とは言え、法律で決まっている事は守らなくてはいけません。

ウダウダ言っても仕方がないのです。

その点はちゃんとしましょう。

「株主総会を開催した事にして・・・」

なんてのは本来NGです。

じゃあ、会社法上、株主総会を開催しなくてはいけない場合どうするか?

もっと簡易な方法はないのか?

その問題を解決するのが、今回のテーマである「みなし株主総会」です。

1.みなし株主総会とは?

株主総会を開催する場合、まずは原則として株主へ株主総会を開催する事を通知する必要があります。

株主総会の2週間前とか1週間前とかです(一定の条件が揃えば、期間の短縮は可能です)。

そして開催日に株主総会を開催して、議長が司会進行して株主が決議を行い・・・と言う流れです。

しかし、ひとり会社は議長も株主も代表取締役もみんな同じ人物です。形式的にせよ、ちょっとおかしな感じがしますよね?

そこで会社法第319条第1項の「みなし株主総会」の出番です。

この方法は

  • 取締役または株主が株主総会で決議する事項について提案し、
  • 全ての議決権のある株主が、
  • 賛成・同意する旨の意思表示を
  • 書面または電磁的記録による意思表示をした場合に

株主総会の開催および決議を省略できる制度です。

第三百十九条 取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。

株主総会の開催も決議も(ついでに招集通知も)省略できる、すごい手続きです。

ポイントは、書面または電磁的記録による意思表示が必要になる点です。口頭での同意はNG、電子メールでの同意はOKということになります。

ひとり会社は株主も代表取締役も同じ人物ですのでこれは使わない手はないと思います。

例えば、本店を東京都港区から横浜市へ移転したい場合、定款の変更が必要になってきます。

その時に、本店について書かれた定款の条項について、取締役として東京都港区から横浜市へ
変更する提案を行い、その提案について株主として同意した事を書面(若しくはメール)で残せばOK、と言う事になります。

2.みなし株主総会でも議事録の作成は必要!

このみなし株主総会の制度、ひとり会社の場合は積極的に活用した方が良いのですが、注意点が一つあります。。

それは、みなし株主総会を行ったとしても議事録は作成する必要があると言う事です。

登記申請の添付書類にもなりますし、記録を残す事は会社運営上、重要となります。

株主総会の議事録の作成は、絶対に省略しないようにして下さい。

なお、通常の株主総会議事録とは異なり、下記の内容を盛り込む必要があるでしょう。

① 株主総会の決議があったものとみなされた事項の内容。
② ①を提案をした者の氏名又は名称。
➂ 株主総会の決議があったものとみなされた日
※株主全員の同意書面等が到達した日に、株主総会の決議があったものとみなされます。
④ 議事録の作成を行った取締役の氏名

みなし株主総会の議事録(例)

臨時株主総会議事録

 当社臨時株主総会は、会社法319条第1項の規定に基づき、株主総会の目的である事項につき、当社株主全員が同意したので、本議事録を作成し、議事録作成者が記名押印する。

1.株主総会の決議があったものとみなされた事項の提案者
代表取締役 山田 太郎

2.株主総会の決議があったとみなされた事項の内容
下記、当会社の定款の本店所在地を変更する件。

●現行定款
(本店の所在地)
第3条 当会社は、本店を東京都港区に置く。

●変更案
(本店の所在地)
第3条 当会社は、本店を横浜市に置く。

3.株主総会の決議があったものとみなされた日
令和2年5月10日

議事録作成日:令和2年5月10日

株式会社山田商店

議    長・
代表取締役  山田 太郎 (会社実印)

3.まとめ

このようなお話をしますと、

「ひとり会社がわざわざ株主総会議事録なんて作るわけないじゃん。これだから司法書士は社会の事を全く分かっていないw」

と言う批判(?)が巻き起こる事がありますが、会社は社会を構成する需要な要素であり、ルールはルールとしてしっかりと行う必要があります。

むしろ株主総会の議事録と言った記録をしっかりと残さない会社の場合、通常の仕事でも「雑さ」が目立つのではないでしょうか?

その「雑さ」を社会の常識と言い訳をせず、やるべき事は丁寧にやる「姿勢」は身に付けるべきだと思います。

なお、何らかの登記申請を行う上で株主総会の手続きや議事録は重要な要素の一つです。

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