こんにちは。甲斐です。
昔の日本とは異なり、今は頭を使わなければ商品が売れない時代になりました。
昔ながらの浪花節的な営業ではなく、しっかりと消費者の事を理解し戦略的に商品を開発・販売しましょう!と言う意味でマーケティングに力を入れている会社が増えてきているのですが、その一方で「マーケティングなんて必要ない」と言う声もあります。
まぁ、「マーケティング」の意味を宣伝とか広告とかの意味で捉えてる、誤解されているケースもあるのですが、綿密にマーケティングを行っていなくても売れている商品は実在します。
それでは本当にマーケティングは必要ないのか?実はそう簡単な話しでは無いんですね。
1.優れた商品は、「プロダクトアウト」でも売れる?
いわゆる企業側の視点で商品を開発・生産・販売を行う、マーケティング用語の「プロダクトアウト」と言うのがあります。
企業側の視点なので、会社の技術を駆使した「優れた商品」を市場に出すと言う意味で、製造業が発展した日本では、長らく「プロダクトアウト」で商品が作られてきました。
分かりやすい例で言えば液晶テレビですね。
画面の奇麗さ、解像度等の技術を各社が競い合い、技術的に非常に優れた液晶テレビが沢山出てきましたが、メーカーが競い合ったその技術は、消費者にとって認識する事が出来ない価値となっています。
元々の考え方がプロダクトアウトであり、綿密に市場調査を行ったわけではないので当然と言えば当然なのですが、日本の製造業はいまだにこのプロダクトアウトの感覚が抜けきれず、苦戦を強いられているメーカーが存在しています。
このように、基本的には消費者の都合を無視したプロダクトアウトでは商品を売るのは難しいのですが、それでもプロダクトアウトでは絶対に物は売れないのかと言えば、けっしてそうじゃないんですね。
2.iPhoneはプロダクトアウトで生まれた。けれど・・・
プロダクトアウトで生まれた商品の代表例が、iPhoneでしょう。
消費者のニーズを普通に調査する、普通のマーケティング手法を用いても、iPhoneは絶対にこの世には生まれていなかったはずです。
(そもそも消費者が電話とパソコンの機能がくっ付いた、まだ誰も見た事がない物をイメージ出来たとは言えないので。)
また、かのスティーブ・ジョブズは、どうもマーケティングは嫌いだったようで、
・消費者は自分たちが欲しいものをわかっていない。
・消費者もまだ気づいていないような新しい価値を提供する。
と言うスタンスを大切にしており、そこで生まれたのがiPhoneなのです。
その為、一周回って「消費者の理解を行うマーケティングなんて意味ないのでは?」なんて意見も出てくるようになったのですが、実はそんな簡単な話じゃないんですね。
3.プロダクトアウトで売るためには、突き抜けた情熱が必要
もう一度言いますが、単なる企業側の都合で作った商品の場合、その価値が消費者側に認識できない場合が多く、認識できない価値は価値ですらありません。
では、単なる企業側の都合で作った商品とiPhoneのようにプロダクトアウトで成功した商品の差はどこにあるのでしょうか?
その差は「突き抜けるレベルの情熱が有るか無いか」です。
iPhoneを作ったジョブズやデザイナー、エンジニアはプロダクトアウトの考えと言っても、単なる会社の都合や技術の押し売りをした訳ではないんですね。
・消費者は自分たちが欲しいものをわかっていない。
・消費者もまだ気づいていないような新しい価値を提供する。
自分たちが世界を変えると言った、突き抜けるレベルの情熱を持って仕事を行った結果、その突き抜けるレベルの情熱がiPhoneと言う形に具現化され、消費者の感情を突き動かしたのだと思います。
つまり、このレベルのプロダクトアウトで商品を開発・販売しないのであれば、消費者を徹底的に理解する姿勢を示す、マーケティング活動を行った方が良いですし、当然その方が売れます。また、その方が消費者に対する誠実な態度となるでしょう。
4.まとめ
プロダクトアウトかマーケットインか?と言う議論はマーケティングの世界では度々行われるのですが、どちらが良くてどちらが悪いと言うものではありません。
ただ、プロダクトアウトの場合は企業の都合が優先されやすく、消費者の心には中々響かない事があるのです。
そうであれば、突き抜けた情熱を持って商品を開発し、その情熱をきちんと消費者に伝える必要があるでしょう。突き抜けた情熱を持って作られた商品であるならば、消費者の心も突き動かされるはずですので。