こんにちは。司法書士の甲斐です。
昔と比べて、最近は本当に起業がしやすくなりましたね。
株式会社の最低資本金が撤廃され、一人でも株式会社は設立できるようになりました。また、そもそも会社を作らずとも個人事業主として起業もできます。
業務内容によっては商品在庫を持たなくて良いですし、何よりインターネットを利用すれば店舗を持たずに自宅で起業する事ができます。
SNSやブログを活用すれば多額の広告費をかけなくても集客して売上を作る事ができますし、ちょっと前では考えられないぐらい、起業に対する難易度がグッと下がっています。
だからこそ勘違いしている人が多いんですね。「起業はチョロい。責任も軽い」と。
この、「起業家が負うべき責任」を勘違いしたまま起業してしまったら、仮に収入面で恵まれたとしても、人生そのものは不幸になります。
今回はまだ起業していない人や、起業をしたばかりの超初心者の方向けの「起業家の責任」に関するお話です。
1.社会に対する起業家としての責任
まずは抽象的で概念的な話しになります。
起業家って、社会に対してどのような責任を負うのでしょうか?言い方を変えると「社会が起業家に対して期待している事」です。
起業家と言えど社会の一員です。その構成員として期待されている事が当然あります。
まず、起業家は社会を構成する一員として、良い商品・サービスを提供する責任があるでしょう。良い商品・サービスを提供し、価値を提供することで、社会はより良く豊かになりますので。
また、社会に価値を提供する結果しっかりと稼いで適切に納税したり従業員を雇用することも大切でしょう。
納税することは当然社会を潤すことになりますし、従業員を雇用すること=雇用の創造も社会にとって必要になってきます。
このように、例え一人で起業したとしても、社会に対する責任はあるのです。
2.法的な責任
先程から「責任」と言う言葉を使いましたが、今までの話しはあくまで観念的・道義的な話しであり、法的な話しではありません。
それでは起業家が負うべき「法的な責任」は全くないのかと言えば、そのような事はけっしてありません(まぁ、納税は義務ですが)。
起業家は誰かしらに商品・サービスを提供しますが、商品・サービスを提供すると言う事は、誰かと取り引きをすると言うことです。
取引とは契約であり、専門用語的に言えば「法律行為」ですね。商品の売買とかサービスの(準)委任とか、請負とか。
つまり、取引が法律行為であれば、起業家には当然法的な責任が発生するのです。
例えばあなたが商品・サービスの提供者側であれば、きちんと商品・サービスを提供する必要がありますし、それができないのであればお客さんに代金を返したり、お客さんに損害が発生していれば、その損害を賠償する責任を負います。
あなたが商品・サービスの購入者であれば、決まった代金をちゃんと支払う必要があります。
代金を支払わなければ、最終的に裁判を行われる可能性もありますし、強制執行と言う国家による責任の履行が行われる事もあるのです。
このように、起業家は法的にも非常に重い責任を負うのです。
3.まとめ
もう一度言いますが、確かに起業は簡単に行う事ができます。しかし、起業家の責任が簡単になったり、軽くなったわけではありません。
一旦約束をしたことは死んでも守る。これぐらいの強い気持ちが無いかぎり、起業しても不幸になるだけでしょう。
今回お話した内容は全然難しい内容ではなく、ごくごく当たり前の事です。
ただ、これができない人が結構多いんです。大学のサークルのような遊びのノリでは、起業はできませんし、やっては駄目でしょう。
自分自身も周りの人も不幸になる結果が見えていますので。