こんにちは。甲斐です。
YouTuberとしても有名な、Candy Foxx、DJ社長のとある動画が話題になっていたので、見てみました。
内容をザックリとご紹介すると、こんな感じです。
- とある人物から会社設立の話しを持ちかけられた。
- その人物が全額出資したが、「いずれ株式を渡す」と約束した。
- それにも関わらず株式を渡してくれない
裁判が進行中のようですので、どのような結果になるか分かりません。
しかし、大学生のような若い起業家が良くこの手のやり方で騙される事があるので、今回は注意喚起の為に記事を書きました。
会社と株主(株式)の関係のお話ですが、結論を先に言うと、株主は会社の中では圧倒的に強いのです。
1.会社は誰の物?社長?従業員?社会?
まず、大前提のお話です。会社は株主の物です。
これはホリエモンがライブドアの社長をしていたときに良く話題になった内容です。
「会社は従業員の物」「社会の物」等々の説はあり、確かに会社は従業員や社会に対する責任があります。
しかし、「所有しているのは誰?」との問いに対する回答は、間違いなく「株主」です。その為、株主は基本的に会社の様々な事を決める事ができます。
例えば取締役の解任。
取締役を解任したい場合は株主総会を行う必要があるのですが、50%を上回る議決権を有する株主が解任に賛成すれば、取締役を解任する事が出来ます。
つまり、代表取締役が社長であった場合、株主は社長の首を簡単に切る事が出来るのです。
会社は社長が偉いのではなく、株式を持っている株主が一番偉いのです。
2.若手起業家を狙う詐欺?が横行している
実はこう言ったケース、良くあるんです。
起業したいと考えている大学生等、若い人を狙って投資家を名乗る人物が近づき、「自分が出資するから社長になろうよ」等、言葉巧みに誘うんですね。
そして、ここからがポイントなのですが、その投資家が必ず株式の全てや半数以上を保有する事にするんです。そして、
「事業が軌道にのれば、株式を全部君に渡すよ」
と言ってくるわけです。
起業家から見れば非常においしい話しですよね。出資して会社を作ってくれて、さらに実際の経営もできるわけですから。
でも実際は出資した投資家が何だかんだと理由を付けて経営にガンガン口を出し、事業が軌道に乗れば社長をクビにする、なんて事があったりするんです。
さらに、万が一会社がトラブルを抱えても矢面に立つのは株主ではなく、社長(代表取締役)です。
自分の身替わりを立てて会社経営をすると言う、ある意味で上手いやり方なのです。
あなたがどんなに投資家の事を責め立てようとも、株式を持っていない起業家は非常に不利な状況に立たされるのです。
3.起業家が詐欺にあわない為の方法とは?
先程から「詐欺」と言う言葉を使っていますが、実はこのようなケース、法律上の「詐欺」とは言い難いのです。
例えば、刑法上の詐欺罪の場合、「財物の交付」が必要になってくるのです(刑法第246条)。
(詐欺)
第246条
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
社長としてクビになった場合、株主としての権利を行使されたまでです。それに不服であれば損害賠償を会社に請求すれば良いだけの話しであり、これは詐欺に該当しないでしょう。
「株式をいずれ譲渡する」と言う約束は嘘をつかれただけであり、「財物の交付」はありませんので、やはり詐欺と言うには無理があるでしょう。
このように、起業家としては一方的に不利なんですよね。
とは言え、このような話しは千載一遇のチャンスなので、話に乗っかりたいと言う気持ちも分かります
ではどうすれば良いか?
「株式をいずれ譲渡する」と投資家が言ってきたときに、株式の譲渡契約書を作成すれば良いのです。
「いずれ」が明確に決まっている期限なのか、将来の発生が不確実な事実なのか、どちらの場合でも契約書は作成できます。
法的トラブルになった場合、証拠が全てとなります。
株式の譲渡契約書さえあれば、相手が株式を渡さないと言っても債務不履行を原因として、契約書を武器に相手と戦う事ができるのです。
4.まとめ
会社はあくまで株主の物であり、株主は株式と言った巨大な力を持っています。
起業家として活躍したいのであれば、その力を十分に理解して投資家と接するべきです。
また、株式をいずれ譲渡すると言っているのに、株式の譲渡契約書を作成しない投資家とは、そもそも取引をしてはダメです。
会社を作り起業家として活動すると言う事は法律行為を連続で行う事を意味し、法律を甘く考えると言うのはノーガードでヘビー級のボクサーと戦う事を意味します。
ビジネスの世界は想像以上に弱肉強食のサバイバルです。自分の身は自分で守る事を徹底しないと、即ゲームオーバーですよ。