こんにちは。甲斐です。
世の中には沢山の法律があり、フリーランスや会社経営者にとっても無視する事が出来ない法律があります。
特にフリーランスは不安定・弱い立場であり、法律知識で武装しなければ、取引相手と簡単にトラブルになってしまいます。
しかし、全ての法律や条文を全て暗記する事は不可能でしょう。
ではどうすれば良いのか?
ベストな方法は、取り引きの場面場面で「適用される法律がある」事を意識して、その都度その法律を確認すると言う方法です。
そこで今回は、フリーランスとして独立する際に知識として必要である法律をご紹介します。
まずは法律名とその法律が適用される場面を覚え、各ビジネスの場面で活用してみて下さい。
1.全ての法律の基本「民法」
まずは絶対に押さえるべき法律である「民法」のお話をします。
民法は人と人との基本的なルールを定めた法律で、当事者間の契約で決めていない事は民法のルールに従う事になります。
なお、基本的に契約の内容については、当事者間で自由に決める事ができますが、民法の強行規定(絶対的なルール)に反する内容は無効になります。
例えば公序良俗に反する内容や、権利の濫用と言った事です。
民法で意識すべきところは「債権法」に関する部分です。
「債権」とは、人が人に対して何らかの行為を請求する事ができる権利で、民法の債権法には契約に関する一般的なルールや売買、請負、委任と言った個別具体的な契約のルールが定められています。
法律家は何かしらの法律問題を解決する際、まずは民法に立ち戻って考えます。
それほど、民法は重要で基本的な法律なのです。
2.BtoCで必要になる「消費者契約法」
消費者契約法は事業者・消費者間の取り引きに関するルールを定めた法律です。
つまり、BtoCの事業を行う時は意識するのが必須の法律です。
具体的には、消費者との契約において下記の内容は無効になると理解しておきましょう。
- 事業者の行為によって消費者に損害が発生した場合に、その責任を全部免除する条項。
- 消費者の違約金や損害賠償額を定めた場合で、その額が一定の金額を超える場合。
- 消費者の権利を制限したり、義務を重くする内容で、民法の基本原則に反して消費者の利益を一方的に侵害する内容。
なお、これが全てではないので、「これって、消費者にとって不利になるのでは?」と思われる内容を契約としたい場合、消費者契約法を確認するようにしましょう。
3.特定の事業を行う場合に守るべき「特定商取引法」
特定商取引法はある特定類型の商取引についてのルールを定める法律です。
具体的には下記のビジネスを行う場合、特定商取引法を意識する必要があります。
- 訪問販売
- 通信販売(ネットショッピング等)
- 電話勧誘販売
- 連鎖販売取引(マルチ商法)
- 特定継続的役務提供(エステサロン等)
- 業務提供誘引販売取引(仕事を提供するので収入が得られる等)
これら特定商取引法で定められた取引類型は、消費者トラブルが多発し社会問題に発展したものがあります。
その為、逆に言えば独立を行う場合、これらの類型に当てはまるビジネス(通信販売は除いても良いでしょう)を行うのはガチガチの規制があり、難易度が高いと思って下さい。
4.クリエイターに敬意を表明する「著作権法」
著作権とは、作品を創作した者が有する権利で、またその作品がどのように使われるかを決める事ができる権利です。
作者の思想や感情が表現された文芸・学術・美術・音楽などを著作物といい、著作物を創作した人を著作者と言います。
誰かが撮影した写真も著作物ですし、あなたが書いたブログも著作物です。
そして、著作物は引用等の例外を除いて、著作権者に無断で使用する事はNGです。
著作権法の具体的な内容については、下記のページをご覧下さい。
2020.08.01
コンテンツマーケティングで必要な法律(著作権)と引用の方法とは?
こんにちは。甲斐です。2014年頃からコンテンツマーケティングの重要性が指摘されるようになり、個人事業主や各企業がこぞってブログ等のWe...
5.マーケティングで重要な「景品表示法」
正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」で、
- 商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを厳しく規制するとともに、
- 過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額を制限する事によって、
消費者の利益を保護する為の法律です。
例えば、
- 「パソコンがあれば出来る仕事で、月○○万円はみんな稼いでいる。」
- 「サンプルは無料(実際は小さい文字で定期購入の契約になっている)」
このような不適切な表示を規制する為の法律です。
コピーライティング、LP等で意識すべき法律と言えます。
6.自分を守ってくれる「下請法」
正式名称は「下請代金支払遅延等防止法」で、
- 資本金が大きい会社が
- 資本金が小さい会社や個人事業主に対して
- 発注した仕事について
- 不当に代金を減額したり、不当に返品を求めたりする事を
禁止する法律です。
正に受注者側であるフリーランスを守る為の法律ですが、下請法が適用される取り引きは下記の4つの取り引きです。
- 製造委託(製造や加工の委託)
- 修理委託
- 情報成果物作成委託(システム開発やコンテンツ制作の委託)
- 役務提供委託(運送や情報処理等の再委託)
これらの取り引きにおいて発注者側の不当な行為を規制するのですが、発注者側の資本金の規模が具体的に下請法で定められています。
この辺りは取引類型によって細かく規定されているのですが、分かりやすく発注者側の企業が資本金が1,000万円以下の場合、下請法の適用は無いと覚えておきましょう。
7.まとめ
最初にお伝えした通り、これらの法律について細かい内容を記憶する必要はありません。
しかし、このような法律がある事は頭の片隅に入れておいて、「この場合、〇〇法で何かしらのルールは存在しないのか?」と言ったように、いつでもその法律の存在を思い出す事ができるようにしましょう。
それが、フリーランスや会社経営者であるあなたを守る唯一の方法となるのです。