こんにちは。甲斐です
最近、ありがたい事に契約書のチェックのご依頼を頂く事が多くなってきています。
で、ほとんどの方からこんな事を言われます。
「他の人に契約書のレビューを依頼した時は2~3個ぐらいしかアドバイスをされずに満足度が高くなかったのですが、今回は沢山アドバイスを頂いたので良かったです。」
最初、このお話を聞いた時に私は「?」と思ったんです。
だって、プロなら契約書のアドバイスは無限に出来るはずなのに、2~3個ってどういう事?って。
でも良く考えてみると、多分それは契約書レビューに関する基本的な考え方の違いかなーと思ったんです。
私が契約書のレビューを行う時の大前提の考え方は、
- お客さんのクライアントから見て、この契約書はどう受け取られるのか?
- お客さんは、お客さんのクライアントから契約書を通してどのように見られたいのか?
この2点です。
つまり、お客さんのクライアントから「この人(会社)はしっかりとしているから、取引をしても何ら問題がない」と思ってもらえるかどうか?と言う視点です。
つまり、契約書をしっかりと作る事は、究極的には売上に繋がるのです。
以下、詳しくお話していきます。
1.私が契約書レビューで気にしている事
① 契約書の各条文の法的なチェック
これは一般的な法律上のチェックですね。
- 当事者や仕事の内容が適切に表現されているか?
- 報酬の額や支払期限が明確になっているか?
- 一方当事者に有利(もしくは不利)になっている条項はないか?
- 契約を解除した場合の報酬の取り扱いはどうなっているか?、等
上記のような内容をチェックします。
② 漏れ・ダブり・矛盾点のチェック
個別の条文を確認したら、契約書全体を通じて漏れ・ダブり・矛盾点がないかチェックします。
例えば、ある条文で定義した言葉が別の意味で使われていたり、同じ内容の条文が別の所にないかをチェックします。
③ 表題と内容のチェック
『第●条(●●●●)甲と乙は~』と言ったように、その条文が何を言っているのかを端的に表す「表題」を入れる事があるのですが、この表題と条文の内容が一致しているかチェックします。
例えば表題が「業務内容」となっているのに、その条文に書かれている事が「取引の目的」であれば、内容が一致しないので修正します。
④ 構成のチェック
条文は大きい括りの順番から
- 第●条
- 第●項
- 第●号
と言う感じになっています。例えを出すとこんな感じですね。
第10条 (反杜会的勢力の排除)
1 甲および乙は、それぞれ自己が下記の各号の一に該当しないこと、および今後もこれに該当する行為を行なわないことを表明・保証し、相手方が各号の一に該当したときは、何ら催告を要せず即時本契約を解除することができる。
⑴ 暴力団、暴力団関係企業、総会屋等の反杜会的勢力(以下、「反杜会的勢力」という。)の構成員であること。
⑵ 反杜会的勢力、またはそれらの構成員と杜会的に非難されるべき関係を有していること。
⑶ (省略)
2 甲および乙は、前項により本契約を解除されたことを理由として、相手方に対し、損害の賠償を請求することができない。
3 (省略)
第10条が『条』、通常の数字が『項』、カッコ書きの数字が『号』です。
このような構成になっていなければ修正を行います。
2.ちゃんとした契約書を作れば、相手から信頼される
他にも見るべきポイントはありますが、だいだいこのような感じでやっています。
で、純粋に「法的な判断」と言う視点で見ているのは、実は1と2だけなんですね。
法律家であれば、1と2をしっかりやれば何も問題ないでしょう。3、4は条文そのものに法的な問題がなければ、特に問題になる部分ではありません。
単なる分かりやすさ、読みやすさの問題ですから。
でも、
- お客さんのクライアントから見て、この契約書はどう受け取られるのか?
- お客さんは、お客さんのクライアントからどのように見られるのか?(見られたいのか?)
この視点で考えれば、分かりにくい・読みにくい契約書を相手に渡した場合、相手から
「この会社、大丈夫?」
なんて思われるかもしれません。場合によっては相手から「ちゃんとしていない会社」と思われ、お客さんがビジネス上、舐められる事になるかも知れません。
そんなの、契約書のチェックをご依頼した、私のお客さんの趣旨に反する事になります。
だからこそ、私は単純な法的チェックだけではなく、お客さんのビジネスにとってプラスになるにはどうすれば良いか?と言う視点で契約書に向かい合っています。
3.まとめ
実は契約書と言うのはフリーランスにとって大変重要な武器になる事もあり、契約書をしっかりと作る事によって大手企業との取引が可能になるケースもあるのです。
その為、マーケテイングや営業活動の一環として、「契約書をしっかりと作る事」を意識した方が良いでしょう。
その姿勢が回りまわって売上に繋がるのですから。