会社設立代行0円の税理士事務所のデメリット・問題点

会社設立・商業登記

こんにちは。司法書士の甲斐です。

インターネットで「会社設立」と検索すると、多くの会社設立代行業者の広告が出てきます。

こんな感じですね。

(最後の「会社設立は司法書士じゃない?」って酷いですね。後でご説明しますが、会社設立の専門家は司法書士であり税理士ではありません。それなのに「専門家」を名乗るとは不誠実ですね。

もしかしたら、この記事をご覧になられている方の中にも、このような「会社設立代行業者」を使って会社を設立をされた方もいらっしゃるかも知れませんね。

もう既に会社設立をされた方はどうしようもないのですが、これから「会社設立を考えている」と思われている方は、このような「会社設立代行業者」には十分ご注意下さい。

今回はこの「会社設立代行業者」の問題点を徹底的にお話したいと思います。

「会社設立を0円でやってくれるのに、それの何が問題なの?」

と思われるかも知れませんが、上手い話しには必ず裏があります。起業するのであれば、耳ざわりの良い、上手い話しの裏に必ず着目するようにしましょう。情弱認定されない為にも・・・。

1.税理士はそもそも「会社設立手続き」を行う事ができない

まず、ここでハッキリとさせる必要がある点をお話します。

会社設立は税理士の業務ではなく、司法書士の法定業務です。これは士業間の業際争いでもありませんし、明確な司法書士の業務です。つまり、税理士が会社設立の代行や具体的な相談を行うと司法書士法違反となり、刑事罰の対象になります。

(実際には色々な屁理屈をつけて、会社設立の相談はOK!と自分勝手な解釈をしている税理士がいますが、当然それもNGです。)

その為、会社設立そのものの手続きは司法書士に丸投げし、司法書士への報酬(それも相当低い報酬)は税理士事務所が支払っているのです。

なお、このように間接的に司法書士が関与していればまだ良いのですが、税理士事務所の中には本人申請の形で登記申請に必要な書類を作成している所もあります。当然これは違法です。

ではなぜ、法律上会社設立が出来ないのにホームページやランディングページで会社設立の広告を税理士は出し、わざわざ司法書士への報酬を負担しているのかと言うと、会社設立後の税務顧問契約を取りたい為です。

つまり、会社設立代行にかかる費用を0円にして、後からそれを回収するスキームです。

税理士と言えば企業の税務顧問が主な業務です。ただ、最近はfreeeやマネーフォワードと言った会計ソフトが広く認知されており、競争が昔と比べ激化しています。

その環境の中、いかにして顧客を獲得するのか?と言うことに着目した施策が「会社設立代行0円」なのです。

・起業したい人は0円(場合によっては実費の負担なし)で会社設立をする事ができる。会社設立後の税務顧問も安い場合が多い。
・税理士事務所は最初は司法書士報酬の負担が発生するが、税務顧問契約する事で長い目で見れば収支がプラスになる。

と言ったメリットがある為、「会社設立代行0円」の条件が税務顧問契約となっている(しかもその顧問料も結構安いケースがあるのです。

このように、会社設立手続きが出来ないのに広告を出している(税務顧問契約を取りたい為)と言う大きな矛盾点があるのです。

「なんだ。結局会社設立もその後の税理士顧問料も安くなりそうだし、良い事ばかりでしょ?」

と何も問題がなさそうに見えますが、実は問題点が沢山存在するのです。

2.コンプライアンスの意識の欠如。できない業務での広告

先程お話した通り、税理士は法律上、会社設立を行う事は出来ません。これは紛れもない事実です。

それなのに会社設立をフロントエンド商品とし、バックエンド商品を税務顧問としているのはおかしいと思いませんか?

逆に考えると分かるのですが、司法書士が税務顧問についてこんな広告を出したらどうでしょうか?

「月額3,000円と言った非常にリーズナブルな価格で税理士と顧問契約ができます。ただし、当事務所で会社設立を行うのが条件です。」

どう考えてもおかしいと思います。

安ければそれで良いやん!と言う考え方もあると思いますが、集客の為には手段を選ばない」と言うスタンスは思考プロセスに問題があると言わざるを得ず、本業の税務業務についても何からの判断ミスが起こる可能性も高いでしょう。

3.司法書士のモチベーションが低い

先程お話した通り、会社設立手続きは法律上、税理士は行う事ができません。その為、実際の業務は司法書士に丸投げしている事があるのですが、司法書士への報酬が「0円」であれば、当然司法書士は事務所経営が成り立ちません。

その為、実際は税理士事務所から司法書士事務所にお金が流れているのですが、これが非常に低額なのです(聞いた話だと相場の半額以下だとか・・・)。

そんな安い金額で司法書士を使っているのは問題ですし、司法書士としてもモチベーションは低いでしょう。

そのようなモチベーションが低い司法書士が、きちんと会社設立手続きを行うのかは大いに疑問です。

なお、これは司法書士側にも問題があります。安い報酬でも税理士にくっ付いていれば仕事が貰えます。プライドを捨ててしまった司法書士側の問題点もあります。

4.実は税理士事務所側もモチベーションが低い

起業家にしてみれば「会社設立代行0円」は非常に嬉しいサービスなのですが、税理士事務所から見れば結構負担が大きいサービスなのです。

まず、上記の通り、丸投げしている司法書士への報酬は税理士事務所の負担となっています。

さらに実費として20万円ほどかかるのですが、この実費も税理士事務所が負担しているケースがあります。

つまり、税理士事務所にとって最初の時点でキャッシュフロー的にはマイナスであり、色々な意味でその負担が税理士事務所の従業員にかかっており、離職率も高くなっている場合もあるようです。

それは仕事に対するクオリティにも繋がっているとか・・・。

ホームページやランディングページをしっかりと作っていて、いかにもちゃんとした税理士事務所に見えても、組織的にはズタボロ、何てこともあり得るのです。

あと、あえてストレートな表現をしますが「0円」と言う安さだけで反応するお客さんは正直言って質が悪いんですね。

これは起業しようとしている人であれば絶対に理解してほしい事です。

大企業のようにとにかく沢山集客したいと言うのであればともかく、小規模でビジネスをスタートさせる場合、お客さんの「質」と言うのは大変重要です。

人的、時間的リソースがないスタート段階で質の悪いお客さんばかり集まった場合、その対応にリソースが奪われ、本来やるべき事が出来なくなってしまいます。

せっかく夢を見て起業するのであれば、精神的な負担を極力排除して、自分がお付き合いしたいお客さんとだけ向き合う必要があるのです。

5.依頼者に対するリスペクトを欠く

個人的にはこちらが一番重大だと考えています。

「会社設立」で検索した時に出てくる広告で表示している税理士事務所のウリが「とにかく安い」事です。

代行手数料0円は当たり前、場合によっては実費(定款認証代や登録免許税)すら税理士事務所が負担すると言う所もあります。

マーケテイング的に言えば金額は顧客がそのサービスを選択する重要な要素なのですが、どこもかしこも「0円」「安い」「地域最安値」を必要以上にアピールしています。

これはつまり、広告は出しているけれど税理士は会社設立手続きの専門家ではないので、「安さ」しかアピールできないんです(後は税務上の視点に持って行ったり・・・)。

「0円」は嘘じゃないし、安い事をアピールしていれば、取りあえず集客できるでしょ。依頼者は法律上、誰が会社設立手続きが出来るかなんて分からないんだから。

まるで依頼者の事を情弱認定し、リスペクトを欠く態度。そんな思いが見え隠れしているのを感じるのは、私だけでしょうか?

依頼者は彼らの事を「会社設立の専門家」だと思っているはずなのに・・・。

6.顧問税理士を変えるのは結構大変

これは一般論ですが、顧問税理士を変えるのは結構大変なんです。

税理士は顧問先の会計上・税務上に関する沢山の書類やデータを管理しており、それらを新しい税理士事務所に移管する作業は結構大変であり、「一度顧問契約を行うと数十年は税理士を変えない」と言う企業も沢山あります。

その為、「何か問題があれば税理士を変えれば良い」と言う考え方が通用しない事があるのです。

7.まとめ

反対の立場で考えて頂きたいのですが、あなたがとあるサービスを行っていて、競合他社Aが同じサービスの広告を出しました。

勿論、A社はそのサービスの専門家のように広告を出しています。

でも実際はA社はその仕事を行うスキルもノウハウもなく(でも専門家のように装う)、お客さんを別のB社に流している、これが会社設立代行業者の真実なのです。

「お客様の利益の為に」を錦の旗にすれば、何でもかんでも出来るわけではありません。

また、会社設立代行0円の税理士事務所はいわゆる薄利多売的な価値観で仕事をしています。

この点「自分はお客さんをいっぱい集めるのではなく、信頼できるお客さんとだけ仕事をしたい!」と思われている場合、このような税理士事務所の価値観と合わない可能性があります。

さらに、法律上できない業務で集客していますので「コンプラ的にもどうなのか?」と言う疑問もあります。

いやいや、そんな細かい事はどうでも良いから、とにかく安ければそれで良い!」と思うのか、「そんな不誠実な態度の税理士はどうなのか?」と思うのか。

起業家としてあるべき姿はどちらでしょう?

起業家として、あなた自身はお客さんからどう思われたいですか?

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熱き志を持つ起業家を法律とマーケティングで支援する司法書士。趣味はキックボクシングと朗読。

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