みなし解散から会社継続を行う場合の登記とその他の注意点

会社設立・商業登記

こんにちは。司法書士の甲斐(@tomoya_kai)です。

突然ですが、「みなし解散」をご存知ですか?

実は最近この「みなし解散」に関するご相談が増えています。

「登記事項証明書取ってみたら、ウチの会社が解散した事になっているけど、どう言う事!!!」と。

取引先や銀行からガンガン問い合わせがあってどうすれば良く分からない!ビックリしてしまうかも知れませんが、ご安心下さい。

適切な期限内に対応を行えば取引先や銀行に迷惑をかける事なく、みなし解散の状態を脱する事は可能です。

今回は、みなし解散になった場合における会社の継続方法とその他の論点になるお話しを分かりやすくしていきたいと思います。

1.みなし解散とは?

みなし解散とは、文字通り会社が「解散されたもの」とみなされる制度です。

12年間登記に変更がない株式会社は法務局の登記官によって「みなし解散」の登記がなされます。

なぜかと言うと、役員の任期は最長でも10年ですので、

12年も何も登記がされていない会社は、もう会社としての実態はないでしょ?活動していないんでしょ?

として「解散されたもの」とみなされ、その旨の登記が登記官の職権でされるのです。

役員の重任(任期満了+再任)登記を放置していた会社が、この「みなし解散」になっている事が非常に多く、たまたま自社の登記事項証明書を取ってみたらみなし解散になっていてビックリ!なんて事があります。

本来は法務局からみなし解散の対象となる会社に対して「事業をしているのであれば届け出てね」と言う通知がなされます。

しかし、本店や代表取締役の住所変更を行っていなかったり、通知が来ても放置をしてしまうと、みなし解散の登記がなされるんですね。

で、このみなし解散、非常に困る事があるのです。

会社が解散した場合、法律上は清算に関する活動しか行う事はできず、通常の事業を行う事はできません。

また、みなし解散の登記が入ったままだと、銀行から融資を受ける際にも支障をきたすでしょう。

その為、みなし解散の登記が入ってしまったけれど、事業をこのまま継続する意思があるのであれば、早急に「会社継続」の登記申請を行う必要があるのです。

2.会社継続に必要な手続き(登記申請)

会社を継続させる為に必要な登記申請は、以下の3つです。

① 清算人、代表清算人就任の登記
② 会社継続の登記
➂ 取締役、代表取締役選任の登記

① 清算人、代表清算人の就任の登記

会社の業務を執行するのは取締役ですが、会社が解散するとその取締役は退任することになります。

この取締役に代わり、会社解散後の業務執行をするのが、清算人です。

通常、会社が解散した場合、必ず清算人、代表清算人の登記申請を行う必要があるのですが、法務局の職権によるみなし解散の場合、清算人の登記はされません。

その為、会社を継続する前提として、清算人、代表清算人の登記申請を行う必要があります。

【誰が清算人になるのか?】
基本的には従前の取締役が清算人になります。ただし、定款に定めている人がいる場合は、その人が清算人になります。また、株主総会で決める事も可能です。

② 会社継続の登記

株主総会で会社を継続する事を決めます。

なお、この決議は「特別決議」と呼ばれる決議で行う必要があります。

【特別決議】
議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権数の2/3以上をもって可決となる決議です。

➂ 取締役、代表取締役の選任

会社がみなし解散をした事により従前の取締役や代表取締役が退任していますので、新たに取締役、代表取締役等の役員を選任する必要があります。

なお、従前の取締役、代表取締役を選任しても問題はありません。

3.会社継続に関する株主総会議事録(例)

臨時株主総会議事録

 令和2年10月1日午前10時00分当会社本店において臨時株主総会を開催した。

株主総数    3名
発行済株式の総数    300株
議決権を行使できる株主の数  3名
この議決権の数  300個
出席株主数(委任状による者を含む)  3人
この議決権の数 3個
出席清算人(3名) 山田太郎、鈴木一郎、佐藤次郎
議長兼議事録作成者    山田太郎

上記のとおり定足数にたる株主の出席があったので、代表清算人山田太郎は議長席に着き、議事に入った。

第1号議案  会社継続の件

議長は、「当会社は令和●年●月●日付けをもって会社法第472条第1項の規定により解散とみなされたが、今回これを解散前の状態に復活し、会社を継続して社運の進展を図ることとしてはどうか」と述べ、その承認を求めたところ、満場一致をもって会社を継続することについて承認可決した。

第2号議案  取締役選任の件

議長は、会社継続に伴い、改めて取締役を選任する必要がある旨を述べ、その選出方法について議場に諮ったところ、出席株主中より議長の指名に一任したい旨の発言があり、議長は、その可否を議場に諮ったところ、満場これに賛成したので、議長は、次の者を指名し、満場一致をもって選任可決した。 なお,被選任者は席上その就任を承諾した。

東京都新宿区北南新宿一丁目2番3号
取締役 山田 太郎

東京都渋谷区渋谷中町1234番地
取締役 鈴木 一郎

東京都世田谷区世田谷大橋4567番地3
取締役 佐藤 次郎

以上で本日の議事を終了し、議長は午前10時30分に閉会を宣した。

以上の決議を明確にするため、本議事録を作成し、議長及び出席取締役が記名押印する。

令和●年●月●日

株式会社YSSコーポレーション
臨時株主総会において

議    長・
代表清算人・ 山田太郎 
代表取締役

取締役 鈴木 一郎 

取締役 佐藤 次郎 

その他、代表取締役の選任に関する書面が必要になる場合があります。

4.みなし解散→会社継続の事業年度にご注意

ここからは、みなし解散状態から会社を継続する上での注意点になります。

まず、会社を解散した場合、事業年度が特殊になり、「本来の事業年度の初日から解散した前日まで」が一つの事業年度になります。

そして、会社継続をした場合、「解散した日から会社継続の前日まで」が事業年度になります。

具体例を出してみましょう。

事業年度が毎年6月1日から翌年5月31日の会社で、みなし解散の登記が12月1日に入り、翌年の3月1日に会社継続をした場合、

【1】6/1~11/30
【2】12/1~翌2/28
【3】2/28~5/31

が事業年度となります。

上記のように、みなし解散がされると、変化した各事業年度について確定申告が必要になります。

でも、1年間の間にこんなに確定申告するの、正直面倒ですよね。

その対応方法として、株主総会で事業年度の変更を行い確定申告を上手く減らす方法が考えられます。

さらに問題は上記【2】の解散時の事業年度は会社は通常の事業を行う事が出来ず、清算に関する業務しか行う事が出来ません。

つまり、清算活動に関する確定申告になります。

でも、みなし解散がされた事に気が付いていない会社は、通常の事業を行っていますよね?

その場合、「通常の事業としての確定申告」を行っても良いのか?と言う問題点が出てきます。

この辺りは税務署と要相談になってきます。

5.会社継続の前提として代表取締役の住所変更が必要?

みなし解散がなされた場合、上記の清算人の登記が必要になってきます。

元々の取締役が清算人になった場合「法定清算人」と呼ばれるのですが、この法定清算人の登記を行う場合、注意点があります。

それは、元々の(代表)取締役の住所が変更された場合、元々登記されていた(代表)取締役の住所変更の登記を行うべきか?と言う論点です。

法定清算人と言うのは元々の取締役が横滑りしてなるものです。

だから、元々の取締役と清算人の同一性が無ければおかしな話になります。

その為、元々の(代表)取締役の登記されている住所が違うのであれば、その変更登記が当然必要でしょう?と言う理屈です。

ただし、元々の(代表)取締役の登記はみなし解散によって抹消されています。抹消されている登記をどうやって変更するのか?と言う別の問題も発生します。

実はこの問題に対する回答として、「昭和49年11月15日付け民四第5938号民事局第四課長依命通知」と言うのがあります。

簡単に言いますと、「法定清算人の登記を行う前に従前の取締役について変更が生じている場合、法定清算人の登記を行う前提として取締役の変更登記が必要」と言うのがその内容です。

この取締役の住所の変更もこの「取締役の変更」に含まれているので、元々の(代表)取締役の住所が変更している場合は、住所変更の登記も必要」と言うルールになっているのです。

上記は某法務局から指摘があった内容なのですが、法務局によってはこの先例を把握してない可能性があります。その為、事前に法務局に確認することをお勧めします。

6.まとめ -「みなし解散」が入るとややこしい-

このように、実際に事業をバリバリやっているにも関わらず「みなし解散」の登記が入ってしまうと、考えるべき事が色々あって非常にややこしいんですね。

融資を受けている場合、銀行への対応が必要になってくるかも知れませんし。

なので、

そろそろ会社作って10年かも?

と思われる方は、大至急、自社の登記事項証明書を確認した方が良いですね。

みなし解散がされると、会社継続させる為に税理士報酬や司法書士報酬等で数十万円単位のお金を失う事になるかも知れませんので。

そして、万が一事業をバリバリ行っているにも関わらず、みなし解散の登記が入ってしまった場合、直ぐに司法書士に相談して下さい。

「まぁ、後でいいか」ではなく、直ぐにです!!!

みなし解散の登記が入って何もしないまま3年が経過したら、会社の継続は出来なくなります。

その為、大至急司法書士に相談する様にして下さい(当然、当事務所でもOKですよ!)。

 

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