相続が起こった場合、社長の株式はどうなってしまうのか?

事業承継・社長の相続

こんにちは。司法書士の甲斐です。

以前、「起業家は遺言を書くべき!」と言った内容のブログを書いた事があるのですが、今回はそれに関連する「会社の相続」のお話です。

あなたがもし交通事故等で突然亡くなった場合、あなたの財産は原則として相続人に引き継がれる事になります。

あなたが株式会社の経営者でその株式を持っていた場合、その株式も当然に相続人が相続する事になります。

で、この株式は会社を運営する上で重要になるので相続における株式のルール(議決権)をちゃんと知っておきましょう!と言うのが今回の趣旨です。

1.相続の基本「最初は共有」

相続が発生して亡くなった方(被相続人)が遺言を残していない場合、遺産は各相続人の共有状態になります。

その後、遺産分割協議を相続人全員で行い、「誰が何を相続するのか?」を具体的に決めていく事になります。

被相続人がひとり株主として会社を経営していた場合、その株式も当然遺産となり、遺産分割を行うまでは共有状態になるんですね。

で、この株式の「共有状態」、良く勘違いされるのですが、あくまで株式1つについて、それぞれが共有状態になるんです。

例えば被相続人が120個の株式を持っていた場合で、相続人が配偶者と子供が2人の合計3人の場合、法定相続分で割ってそれぞれ取得する株式が

  • 配偶者 60個
  • 子供A 30個
  • 子供B 30個

と言う感じになるのでは「ありません。

あくまで、株式1つについて、それぞれ法定相続分で共有している状態になるのです。

2.株式が共有状態の場合、会社の運営はどうするの?

取締役の選任や解任、事業目的の変更、本店移転等、会社の重要事項を決める場合、株主総会で決定する必要があります。

でも、相続が発生して遺産分割協議をしなかったら株式が共有状態になるので、どのように株主総会で決定すれば良いのか?と言う問題が出てきますよね。

実際に相続発生~遺産分割協議を行うまでの期間は長くなる事もありますので。

この点は、

議決権を行使する人を一人決め、会社に対して通知する。

と言うルールになっています(会社法第106条)。

この議決権行使代表者を決めて会社に通知すれば、株式が共有状態であっても、「以後」その権利行使者が単独で議決権を行使する事ができます。

そして、「議決権行使代表者を誰にするか」は、相続人の相続分の過半数で決定する必要があります。

つまり、上記の相続人が3人(配偶者及び子供が2人)の場合で、配偶者が議決権行使代表者になりたくても、持分の過半数を持っていませんので、子供の内の一人が同意する必要があります。

同意してくれれば良いのですが、そうじゃない場合、会社経営がストップしてしまう可能性があります。

新しい社長(取締役)すら決める事ができない状況になりますので。

なお、議決権行使代表者を決めない場合、議決権は、「毎回」、相続人間で協議した上、会社の同意を得て行使する事が必要になってきます。

どちらにしても、面倒な事になってしまいます。

3.株式の相続の視点から考えても、遺言は必要

株式の相続(議決権)のルールについて簡単にお話しましたが、正直、面倒で良く分からないと思います。

ただ、遺言を残していればこのような面倒な手続きを踏まず、株式を相続した人が色々な事を決める事ができます。

なので、会社を経営している起業家は、家族の為にも遺言を残した方が良いですよ、と言うお話になるんです。

家族の為に、少しでも負担を減らしてあげるのが起業家の責任ですから。

で、遺言の残し方なのですが、出来れば全株式数の3分の2は会社を任せたい誰かに相続させるようにして下さい。

通常の決議は過半数、定款の変更のような重要事項は3分の2以上の議決権を持っていれば可能ですので。

お勧めしないのは、法定相続分でそのまま相続させる方法です。

議決権の過半数を持つ株主がいない状況になる可能性が出てきますし、株式を分散させてもあまりメリットはありませんので。

4.まとめ

会社を経営すると言うことは様々な責任を負うと言うことですが、家族に対してもそれは同様です。

売上のことだけを意識するのではなく、経営者としての「責任」についても目を向けるようにしましょう。

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熱き志を持つ起業家を法律とマーケティングで支援する司法書士。趣味はキックボクシングと朗読。

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