債権回収において裁判手続きを行わない自力救済は違法です

法律知識一般

こんにちは。司法書士の甲斐です。

BtoBであれBtoCであれ、起業をして誰かと取り引きをし商品の販売やサービスを提供した場合、何らかの金銭債権が発生します。

売買契約であれば商品の代金であったり、業務請負であれば請負の報酬であったり。

このような取り引きを行い何も問題がなければ良いのですが、取引相手の何らかの事情によりこのような金銭が支払われない事があります。

商品・サービスの提供側から考えると非常に腹立たしいと思いますが、では取り引き相手が悪いのだから、相手方の会社等に出向いて強引に現金等を持って行く行為は許されるのか?と言うお話になるのですが、日本ではこのような「自力救済」は禁止されています。

1.自力救済とは?

自力救済とは、何らかの権利を侵害された人が、裁判手続きを行わずに侵害された権利の回復を行う事です。

例えばとある企業と売買契約を締結し、その契約に基づき商品を納品したにも関わらず、相手企業が契約に定められた期限までに商品代金を支払わないケースを考えてみましょう。

この場合、相手企業に乗り込んでオフィスにある現金を相手企業の了承を得ずに回収しても良いか?と言う話しですがこれはNGで違法行為になります。

また、相手が商品代金を支払わないので売買契約を解除し、相手企業に納品した自社の商品を勝手に引き上げてしまって良いか?と言う話しですが、これもNGで違法行為になります(窃盗罪になる可能性があります)。

別の例で考えてみましょう。

アパートを貸している大家が、入居者が家賃を何ヶ月も滞納しているので、留守中に部屋に入って荷物を処分したうえで、鍵を取り替えてしまう行為、これも違法行為となります。

大家の立場で考えると非常に腹立たしいと思いますが、これが現実です。

また、このような債権回収について具体的な行為を行わなくても、相手先に押しかけて暴力や脅迫、強要と受け取られるような請求(例えば誰かに代わりにお金を用意させろと迫る等)を行うのは自力救済となり、違法行為になる可能性があります。

このような自力救済を行った場合、民事・刑事の両面から責任を追及される可能性がありますし、そうなると完全に形勢逆転して債権回収は不可能となるでしょう。

2.なぜ自力救済は違法なのか?

先程お話したとおり、日本では自力救済は禁止されています。「悪いのは相手なのに、なぜこちらが我慢しなくてはいけないのか?法は弱い者の味方ではないのか?」と疑問に思われるかも知れませんね。

なぜ自力救済が禁止されているのか?それは日本が法治国家だからです。

仮に自力救済が認めら、全ての債権者が実力に訴えて問題の解決を図ることができるとすれば、過度の暴力や強要が行われたり、権利がないのに実力行使がなされたりといったことが起こりうるため、社会秩序の維持が難しくなるからです。

なお、司法救済を待っていたのでは権利の実現が不可能になるケースもあり、このような場合には一定の範囲において自力救済が許されるとされていますが、それはあくまで一定の範囲であり例外と考えて下さい。

「例外があるから大丈夫」と安易に素人判断を行うと手痛いしっぺ返しをくらう事があるのです。

3.まとめ

自力救済が行われる根本的な原因は「正義の暴走」にあります。

相手が悪い事をしたのだから、こちらはどんな事をしても許される。悪いのは相手だ。自分は絶対に悪くない。相手に原因がある。」と言う価値観です。

お気持ちは非常に分かるのですが、この理屈は漫画やTVドラマでは許されても、現実社会では許されないので注意が必要です。

【お気軽にお問い合わせ下さい】
集客と法律のお困りごとを解決します。提供中サービスはこちら(※ご相談はzoomで全国対応可)

司法書士 甲斐智也司法書士 甲斐智也

司法書士 甲斐智也

熱き志を持つ起業家を法律とマーケティングで支援する司法書士。趣味はキックボクシングと朗読。

関連記事

特集記事

司法書士 甲斐智也司法書士 甲斐智也

司法書士 甲斐智也

熱き志を持つ起業家を法律とマーケティングで支援する司法書士。趣味はキックボクシングと朗読。 (詳しい自己紹介は画像をクリック!)。

問題解決能力を高めませんか?

集客に困らない会社設立手続き

攻めと守りのコンサルティング

電子書籍販売中

人気の記事

  1. 1

    会社の登記の添付書類で押印が必要な場合と必要ではない場合

  2. 2

    【代表取締役社長の死亡】登記手続を司法書士が分かりやすく解説

  3. 3

    一人会社の場合はどうなる?取締役と会社の「利益相反取引」とは?

  4. 4

    法務局の登記相談は親切丁寧に教えてくれない当然の理由

  5. 5

    会社への貸付金を現物出資(DES)し資本金を増やす方法と登記

最近の記事

  1. 自分の会社に素人の投資家から投資をしてもらう時の注意点とは?

  2. 認知症の人の不動産を売却・購入するリスクとは?

  3. 遺留分対策(相続対策)で生命保険活用時の注意点

  4. 経済産業省が創設したスタートアップの法務支援を行う専門家チームとは?

  5. デジタル遺産(遺品)の相続対策のポイントとは?

TOP