こんにちは、甲斐です。
起業家であれば何かしらの事業を行っているかと思いますが、そもそも「自分の事業とは?」について深く考えた事はありますでしょうか?
事業とは辞書的な意味だと『生産・営利などの一定の目的を持って継続的に、組織・会社・商店などを経営する仕事』と定義されていますが、では『あなたの』事業は何?と質問された場合はどうでしょう。
お客さんの資産を預かり管理・運用している会社であれば「資産管理・運用事業」でしょう。
レストランを経営している人であれば「飲食店事業」かも知れませんね。
今までは事業と言えばこのような定義が一般的だったのですが、ただ今後はこのような定義の仕方では、あなたのビジネスが上手くいかなくなる危険性があります。
その問題を解決するためには「事業の再定義」が必要ですよ、と言うのが今回のお話です。
1.アメリカの鉄道会社が衰退した理由
事業を再定義する必要を語る為には、マーケティングの教科書で良く出てくる「アメリカの鉄道会社が衰退した理由」についてお話する必要があります。
アメリカの鉄道は1827年に建設が始まり、1848年のゴールド=ラッシュを契機に急速に発展、 1869年に大陸横断鉄道が開通、その後路線を増やし、広大な国土の東西をむすぶ重要な輸送の役割を果たす事になります。
この「多くの人や物を大量に輸送する事ができる」鉄道が発展した事によりマーケティングと言う考え方も発展する事になったのですが、それはさておき、その後、車や飛行機と言った新たな輸送手段の出現により、鉄道会社は衰退するようになりました。
その理由ですが、「車や飛行機と言った新たな輸送手段の出現したから」と言った単純な話ではなく、どうやら鉄道会社が抱えていた根本的な考え方に理由があったようなのです。
その根本的な考え方とは、鉄道会社は自分たちの事業を「鉄道事業」と思っていた事です。
「自分達は鉄道事業であり、車や飛行機は鉄道事業ではない。だからライバルではない」的な考え方で、本来はライバルである車や飛行機について見向きもせず、なんら調査や分析・対策を行わなかったんですね。
だからこそ、お客さんを車や飛行機に取られて、鉄道会社は衰退していった、と言う流れです。
鉄道会社がもし自分達の事業を「輸送事業」と定義していたのであれば、もしかしたら今よりも衰退しなかったのかも知れませんね。
2.変化の激しい時代だから、事業の再定義が必要
ではこのアメリカの鉄道会社の事例を元にして、事業の再定義が必要な理由を考えてみましょう。
例えばあなたがエステティックサロンを経営していて、「手技や化粧品等を用いた全身美容」が事業だとします。
事業内容としてはそのものズバリな内容ですが、ただ、事業と言うのは流行り廃りがあります。特に今までの前例が通用しないVUCA(ブーカ)と呼ばれる時代、事業の定義が硬直化したままであれば、時代の変化の早さについていく事は困難でしょう。
エステティックサロンの場合、「全身美容」が他の方法によってその目的が達成する事ができるのであれば、エステティックサロンの存在意義が無くなるかも知れません。
その時に「ウチは手技や化粧品等を用いた全身美容のエステ事業だから」と考えていたら、臨機応変に時代の変化についていく事は難しいでしょう。
一方、エステ事業を「女性を美しくする事で、その人らしい生き方を応援する」と定義している人(お店)の場合、エステと言う手段にこだわっているわけではありませんので、時代の流れの変化に合わせて、柔軟に対応する事が可能でしょう。
3.事業の再定義はお客さんにも喜ばれる
日々お客さんと接していると、あなたの商品・サービスに対して様々な要望が出てくると思います。「もっとこうして欲しい」とか。
基本的にはお客さんの声には真摯に耳を傾けるべきですが、一方でお客さんの声が常に正しいと言うわけではありません。
専門家のあなたから見て、お客さんの声が的を射ていない事だってあるでしょう。
例えば、お客さんがインターネットで拾ってきた情報を元に「節税になるからお願いします」と顧問税理士に言ったとしても、税理士から見ればどう考えても脱税になったり。
このときに事業をしっかりと再定義していると、躊躇する事なく「間違っている事は間違っている」とハッキリと言えるんですね。
再定義した事業と言うのは、ある意味でお客さんの「あるべき姿」です。
そのあるべき姿に対してズレた内容であれば、そのズレた理由も専門家としてきちんと説明できますし、あるべき姿に対しての前向きな提案を行う事も可能です。
前向きな提案であればお客さんにも喜ばれますし、競合他社に対する大きな差別化にもつながるでしょう。
4.まとめ
事業の再定義は質の悪いお客さんを避け、理想のお客さんを引き付ける事も可能になります。
お客さんの「あるべき姿」に対して間違った事を間違っていると言うので、それに納得しない質の悪いお客さんは自然に離れてくれます。
「お客さんに対して間違っているなんて言うのはとんでもない!」と思われるかも知れませんが、間違っている事を伝え前向きな提案をする事は、逆にあなたのファンを作る事にもつながるのです。