一般社団法人の基本知識と設立の全手順【司法書士が解説!】

会社設立・商業登記

こんにちは。司法書士の甲斐(@tomoya_kai)です。

起業家が法人を作りたい場合、株式会社や合同会社がすぐに思いつくと思いますが、実は法人はこれだけではありません。

「一般社団法人」と言う法人の形態があり、法務局では株式会社、合同会社に続く設立件数があります。

ただ、一般社団法人ってそもそも何なのか?株式会社や合同会社と何が違うのか?と言う点について疑問に思う人がいらっしゃると思いますので、今回は一般社団法人の基本的な知識と設立までの全手順をお話したいと思います。

一般社団法人の設立を考えている方は、参考にしてみて下さい。

1.一般社団法人とは?

一般社団法人は、人の集まりに法人格が与えられた団体です。

【法人】
法律によって作られた人みたいな存在です。人みたいな存在なので、法律上の権利や義務がその団体名で発生します。

人の集まりに法人格が与えられている為、株式会社のような「資本金」と言う概念は存在しません。

また、営利を目的としない「非営利法人」である事が、一般社団法人の特徴の一つです。

(ただし、資本金の概念が無ければ法人運営に支障をきたす事があります。その為、一般社団法人には「基金」と言う制度が存在します。)

勘違いをしやすい部分なのですが、「営利を目的としない」とは、事業活動をして稼いではいけないと言う意味ではなく、「利益を構成員に分配してはいけない」と言う意味です。

株式会社で言えば株主に株主配当をしてはいけない、と言う意味であり、役員や従業員に対しては報酬や給料を支払っても何ら問題はありません。

2.一般社団法人の歴史

実は一般社団法人は2008年に施行された法律に基づき誕生した法人の形態です。

それ以前にも社団法人の制度がありましたが、旧制度における社団法人は民法にもとづく許可制の公益法人でした。

公益目的の法人で、かつその設立に主務官庁の許可が必要だったんですね。

しかし、上記の2008年に施行された法律により、登記のみで設立できる「一般社団法人」と、公益認定を受けた「公益社団法人」の2つの形態の社団法人が誕生しました。

(従来から活動していた社団法人も一般社団法人と公益社団法人に分かれることになりました。)

このような経緯があるので、一般社団法人について「何かしらの公益的な活動を行うのでしょう?」と言うイメージが強いのです。

3.一般社団法人はどのような事業で活用されているのか?

一般社団法人は株式会社と同様、公序良俗・法令に違反しない限りはどのような事業でも設立する事が可能です。

ただ、上記の通り従前の社団法人の制度が「公益法人」であった為、公益性が高い事業を行う場合に一般社団法人が設立されるケースが多く見受けられます。

具体的には下記の活動・事業を行う団体が一般社団法人を設立しています。

  • ボランティア団体
  • サークル・同好会活動や趣味団体
  • 同業者団体、業界団体、同窓会など共益を目的とする団体
  • 地域振興団体
  • 学術団体、研究団体、環境保護団体、福祉団体などの公益を目的とする団体
  • 検定認定団体
  • スポーツ団体
  • 医療学会の運営
  • 文化振興団体、等々。

最近では協会ビジネスを行う場合に一般社団法人を活用する事が増えてきています。

協会ビジネスと聞くとネガティブは印象を持たれる方もいますが、公共団体と連携しファンを増やすと言った戦略を取りたい場合、一般社団法人を活用するメリットはあるでしょう。

4.一般社団法人とその他の法人との違い

① 株式会社との違い

株式会社との違いは、「営利か非営利か」です。

株式会社は構成員である株主に対して利益を分配(株主配当)できるのに対し、一般社団法人は構成員(社員)に対して利益を分配する事が出来ません。

【社員】
一般的な意味で使われる「従業員」ではなく、その法人の構成員と事を指します。株式会社で言う「株主」がこれに該当します。

なお、株式会社よりも法人税の優遇を受けることができますが、非営利性を徹底させること等の要件が必要になります。

② 公益社団法人との違い

上記でお話したとおり、一般社団法人と公益社団法人は元々は同じ制度だったのですが、2008年に施行された法律に伴い、従前の社団法人が2種類の形態に分かれる事になりました。

公益社団法人とは「公益」の文字通り、「公益事業を主な目的とし活動している法人」です。公益とは「不特定かつ多数の者の利益」を表します。

一般社団法人は(そのイメージはありますが)公益事業を目的とする必要はないのですが、公益社団法人は「公益事業を主な目的とし活動する」必要があり、また主務官庁の許認可が必要になります。

その為、一般社団法人と比較して設立手続きが複雑になっています。

③ 一般財団法人との違い

一般社団法人と言葉が似ていますが、一般社団法人が人の集まりに法人格を与えたのに対し、一般財団法人は「財産の集まり」に対して法人格を与えたものです。

財産の集まりに対する法人格なので、一般財団法人を設立する場合、300万円以上の財産の拠出が必要になります。

④ NPO法人との違い

NPO法人は「特定非営利活動促進法」という特別法に基づく公益法人であり、設立手続きも複雑になっています。

なおNPO法人が税制優遇などが受けやすく、収益を活動資金として活用しやすいメリットがあります。

5.一般社団法人設立のメリット

① 法人名で契約や財産を持つ事ができる

これは株式会社と同様のメリットですが、一般社団法人を設立すると法人名で契約や財産を持つ事ができます。

オフィスを借りるときもそうですし、誰かと取り引きする場合も法人名で行う事が出来ます。

② 設立手続きが簡単

公益社団法人やNPO法人の設立は複雑で煩雑な手続きを行う必要がありますが、一般社団法人はこれらと比較して設立手続きが簡易になっています。

③ 原則としてどのような事業もできる

一般社団法人は非営利法人ですが、NPO法人のような事業分野の規制がありません。

つまり、営利を目的としないのであれば、収益事業を行う事が可能です。

④ 公益性・信頼性があるイメージを持たれる

従前の社団法人の制度が「公益法人」となってい為、一般社団法人を設立すると公益性が高い団体と言ったポジティブなイメージを持たれる事があります。

6.一般社団法人設立のデメリット

① 二人以上の社員が必要

株式会社や合同会社は一人でも設立する事が可能ですが、一般社団法人は最低でも構成員(社員)は二人必要になってきます。

その為、信頼できる人と一緒に一般社団法人を設立するのが一つのポイントになってきます。

なお、設立後に社員が一人になっても大丈夫です。

② 株式会社のように投資家を募る事が難しい

一般社団法人は株式会社のように「株式」が存在しません。

その為、投資家から出資を募るのが非常に難しいのが特徴です。

③「上場」と言う制度が存在しない

上記でお話した通り、一般社団法人には「株式」と言う制度が存在しません。

その為証券取引所に上場する制度も存在しないので、会社を大きくしたい場合は一般社団法人は不向きです。

7.一般社団法人設立の流れ

一般社団法人を設立する場合、およそ以下のような流れになります。

① 2名以上の社員を確保し、理事を1名以上決める
② 必要事項を決め、定款を作成する
③ 公証人に定款を認証してもらう
④ その他、登記申請に必要な書類を作成する
⑤ 登記申請を行う

① 2名以上の社員を確保し、理事を1名以上決める

一般社団法人のデメリットでお話した通り、設立には2名以上の社員が必要になる事です。

まずは一般社団法人の社員になってくれそうな信頼ができる人物に声をかけてみましょう。

社員が決まったら、設立時の理事となる人を1名以上決めます。

法人も社員になれますが、理事になる事はできません。

なお、理事以外にも理事会や監事、会計監査人を設置する事も可能です(理事会を設置する場合、理事は3名以上必要です。)

② 必要事項を決め、定款を作成する

一般社団法人の定款に必ず記載しなくてはいけないのは下記の7項目です。まずはこの7項目を決め、必要に応じて他の項目を決めるようにしましょう。

【定款に絶対に記載が必要な事項】

  • 目的
  • 名称
  • 主たる事務所の所在地
  • 設立時社員の氏名又は名称及び住所
  • 社員の資格の得喪に関する規定
  • 公告方法
  • 事業年度

なお、定款に記載しないと効力が生じない事項(相対的記載事項)もあります。相対的記載事項は下記のとおりです。

【相対的記載事項】

  • 設立時役員等の選任の場合における議決権の個数に関する別段の定め
  • 任意退社に関する定め
  • 定款で定めた退社の事由
  • 社員総会の招集通知期間に関する定め
  • 議決権の数に関する別段の定め
  • 社員総会の定足数に関する別段の定め
  • 社員総会の決議要件に関する別段の定め
  • 社員総会以外の機関の設置に関する定め
  • 理事の任期の短縮に関する定め
  • 監事の任期の短縮に関する定め
  • 理事の業務の執行に関する別段の定め
  • 代表理事の互選規定、等々

なお、定款は設立時に社員になる人全員が共同で」作成し、全員の署名または記名押印が必要です。

定款の雛型については、日本公証人連合会の下記ページを参照下さい。

定款等記載例(Examples of Articles of Incorporation etc) | 日本公証人連合会

③ 公証人に定款を認証してもらう

定款を作成したら、株式会社の設立手続きと同様に、公証人に定款の認証をしてもらいます。

定款認証は、主たる事務所所在地を管轄する法務局等に所属する公証人に依頼する必要があります。

公証役場のホームページ等で管轄を確認し、事前に予約の上、定款認証を行ってもらいましょう。

④ その他、登記申請に必要な書類を作成する

一般社団法人の設立には定款以外にも必要な書類がありますので、その登記申請に必要な書類作成します。

【登記申請に必要な書類の一例】

  • 一般社団法人設立登記申請書
  • 設立時社員の決議書(設立時社員が設立時理事を選任した場合や事務所の詳細な所在地等を定めた場合)
  • 設立時代表理事の互選に関する書面(互選した場合)
  • 設立時理事及び設立時代表理事の就任承諾書、
  • 印鑑届出書、印鑑カード交付申請書、等々

⑤ 登記申請を行う

登記申請は一般社団法人の事務所所在地を管轄する法務局に必要書類を提出して行います。

登記完了までには数日~1週間程度かかります。なお、法人の設立日(法人の誕生日)は法務局に申請書類を提出した日です。

登記が完了したら、登記事項に間違いがないか登記事項証明書を取得してチェックしましょう。

一般社団法人の登記申請の具体的な内容は下記法務局のページも参照して下さい。

一般社団法人/一般財団法人:法務局

8.まとめ

一般社団法人の設立は公益社団法人やNPO法人の設立手続きと比較すれば簡易ですが、それでも株式会社とほぼ同様の手順を行う必要があります。

つまり、ある程度の勉強が必要になり、忙しい等の理由で挫折される方もいらっしゃいます。

当司法書士事務所では一般社団法人の設立手続きの代理も勿論行っておりますので、一般社団法人の設立手続きについてお困り、お悩みの場合はお気軽にご相談ください。

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