スモールビジネスでの安売りは、マーケティング的にも法律的にもNGです

マーケティング・集客

こんにちは。司法書士の甲斐です。

新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

2021年はより一層マーケティングに絡んだ法律の事を発信していき、主にスモールビジネスを行っている方にとって有益な情報を発信していきたいと思います。

さて本年最初のブログですが、価格競争、つまり「安売り」についてマーケティングと法律の双方の視点から考えてみたいと思います。

どのような業界で起業したとしても競合他社の存在は必ずあり、価格競争に巻き込まれる可能性があります。

そんな時に容易に安売りに走ってしまうと、「マーケティング的にも法律的にも大変危険」と言うお話です。

1.マーケティング視点から考える「安売り」

価格戦略はマーケティングミックスである4Pの1つにも組み込まれている大切な項目です。

4P
(製品:Product、価格:Price、場所:Place、プロモーション:Promotion)

自社の商品・サービスの価格をどのように設定するか(プライシング)は非常に悩ましい部分ですが、安易に安くすればその分利益が無くなるのは当然です。

大手企業のように体力や様々なリソースがあれば「薄利多売」で乗り切る事ができますが、スモールビジネスでそのような事を行えば、すぐに立ち行かなくなってしまいます。

勿論、戦略的に安売りを行う事は問題ないなのですが、安易な安売り戦略は大変危険であると言わざるを得ません。

スモールビジネスでは安売りではなく、しっかりと商品・サービスに付加価値を付け、ライバルと差別化するのが基本です。

2.法律的な視点から考える「安売り」

さて、この安売りですが、法律的にも問題になる事があります。

それが独占禁止法上の「不当廉売(ふとうれんばい)」です。

廉売・・・安く売ることです。

(1) 独占禁止法第2条第9項第3号
正当な理由がないのに、商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給することであつて、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの

(2) 不公正な取引方法第6項
法第2第9項第3号に該当する行為のほか、不当に商品又は役務を低い対価で供給し、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあること。

単純に「安い事」が違法行為に該当するわけではありませんが、上記に該当した場合、「不当廉売」に該当する可能性が出てきます。

その要件を細かく見て行きましょう。

① 供給にかかった費用よりも著しく安い価格で継続して提供すること

「商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価」とありますので、商品・サービスの価格が、それらを供給する為の全ての原価(総販売原価)を下回ってはダメ、と言う事です。

いわゆる「原価割れ」で商品を販売する事ですね。

なお、不当廉売に該当する為には、一定の期間に渡って安売りを繰り返すことが必要になってきます。

② 他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあること

廉売を行う事業者の規模や対象商品の特性などから、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがある必要があります。

現実に他の事業者の事業活動が困難になることは必要なく、諸般の状況から事業活動が困難になる結果が予測される事が認められる場合も含みます。

➂ 正当な理由がないこと

例えば、下記のようなケースに該当しない場合です。

  • 需要の見込み違いにより大量に在庫化した商品を原価割れで販売するケース
  • 節遅れ・流行遅れの商品のバーゲンセール
  • 生鮮食品や使用期限のある商品を見切り品として販売するケース
  • キズ物、半端物などの商品を原価割れで販売するケース

これらのように通常の商慣習として認められるケースは「正当な理由がある」と言えるでしょう。

3.不当廉売の具体例

不当廉売の具体例として、スーパー2社がキャベツ等を1円で販売し、公正取引委員会から警告を受けた事例があります。

スーパーAが出店している町に同業他社がスーパーBを出店し、A店とB店がキャベツ等の価格を相互に下げ合い、最終的に野菜を1円で約1週間にわたって販売しました。

野菜を安く販売する事で来店する消費者が増えるので、他の商品も買ってもらえる。その結果として店全体の売上があがる、と言う戦略でしょう。

「1円」という著しく低額で継続的に野菜を販売し続けると、A店とB店に消費者が集中する一方、両スーパーの周辺に出店する八百屋には消費者が行かなくなる可能性があります。

また、このような低価格で販売を行えば市場全体で値崩れが起きる可能性もあり、公正な競争を妨げる原因にもなる、と公正取引委員会は判断したと考えられます。

4.まとめ

実際に不当廉売にあたるかどうかは、事業者の意図・目的、廉売行為が及ぼす影響、市場全体の状況等を基に個別の事案ごとに判断される事になります。

その為、単純に「安くする事」だけでは違法行為とはなりませんが、それでも安売りは体力勝負を求められます。

大手企業のような体力がないスモールビジネスで安売りを行う事は、即死亡を意味します。

スモールビジネスにおいては、マーケティングの視点で見ても法律の視点で見ても、安売りを行う事はNGである事は常に意識しましょう。

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司法書士 甲斐智也

熱き志を持つ起業家を法律とマーケティングで支援する司法書士。趣味はキックボクシングと朗読。

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熱き志を持つ起業家を法律とマーケティングで支援する司法書士。趣味はキックボクシングと朗読。 (詳しい自己紹介は画像をクリック!)。

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